「凄くおおらかだから毎日が楽しそうですね」 酒を飲んでヘラヘラしている僕に、初めて店に来てくれた男性がそう呟いた。 酒を飲んでヘラヘラしてる僕は、彼からすれば毎日を楽しく生きているように見えるらしい。 「他人にも自分にも凄くおおらかにしているように見せないと、人生が嫌で止めたくなるからこうして酒飲んでるんですよ」 満面の笑みでそう返してグラスを空けると、彼は「へえ…」と苦笑いを。 褒め言葉と思って放った言葉は時として、どんな言葉よりも鋭利に無垢に心に突き刺さっていく。
「え? ここから20分!?」 なにもそんなに目を丸くさせなくても。 スマホで地図アプリを何度も確認する友人は、目的地まで徒歩で20分かかることがとてつもなく嫌らしい。 僕はそんな友人を気にともせず、靴紐を結び直す。軽めの散歩、そう思えば20分なんて一瞬だ。 ていうか、その推測『20分』は誰を基準とした『20分』なんだ。 老人ではもちろんないが、成人男女だとしても、体格で歩幅に差はあるので時間も前後する。 友人は『20分』という数字に惑わされているだけだ。会話をし
「スィマセン」 次発の電車を気の抜けた表情で待っていると、後ろから慣れない日本語が聞こえてくる。 「はぇ?」 あまりにも急な出来事だったので、気色の悪い返事をしてしまった。(十中八九表情も同じだろう) 振り返るとそこには外国人の老夫婦がスマホを片手に、これ以上日本人は逃がすまいと、僕の目をじっと見つめて立っていた。 推測するに既に彼らは何人かの日本人に『Q&A』の『A』の部分を断られているのであろう。「あなたは逃げないで!」と言わんばかりの表情だ。よく見ると、彼らの周
最近、無性に観たくなって『トイストーリー』を鑑賞した。 ストーリーは言わずもがな、ピクサーが世界に誇る名作だ。 おもちゃには魂が宿る。見方を変えれば怖い話にもなるが、とても素敵な考えだ。 それを観ながら僕は考えていた。 当時、『おもちゃ』って何を持ってたろう。 僕はメカやミニカーに全く興味がなく、遊ぶとなると、どちらかといえば 剣だったり怪獣・ヒーローの人形を使いこなして妄想を膨らます方だった。 まぁ、それは一般大衆の男の子は大体そうであろう。 ただ、僕の記憶の中のおもちゃ
夏の甲子園。 地元沖縄の代表、興南高校が初戦で敗退してしまった。 悔しい、頑張った。次こそは。 では今年の甲子園、2回戦以降観るか? いいえ、観ません。 そんなもんです。 夏は暑い。 当たり前すぎて鼻で笑ってしまうが、今年は段違いで暑い。 ん? 去年も言っていた? いいじゃないかそんな重箱の隅突くようなこと。 毎年、同じようなこと呟くんです。 あれだ、ボジョレーヌーボの『今年は今世紀最高峰!』と同じことだ。 そんなもんです。 夏はビールが恋しくなる。 僕は、去年1年間ビー