徒然サメ映画感想『シャークトパスvs狼鯨』『ランド・シャーク』『エクソシスト・シャーク』

はじまりは友人の一言だった。

「私、サメ映画見てみたいんだよね」

正気か?

彼女はとくにB級好きでも映画好きでもないので驚いた。アイドルマスターSideMが好きなあたり多少トンチキ方面への感性はあるのかもしれない。
ジョーズ以外のサメ映画を経験した人ならわかると思うが、サメ映画はだいたいクソだ。「クソ映画といってもくだらなくて楽しめるんでしょ?」と思ったそこのあなた。クソ映画を舐めるな。あれは苦行だ。楽しめるというのはつまり「内容がある」ということだ。本物のくそ映画は内容がない。川のせせらぎの映像を見た方がまだ有意義だ。

まあ、とにかく、そんな初心な彼女にせめて楽しんでもらえるようAmazonプライムを漁ったのだ。せめて虚無を味わうことがないように『シャークネード』『ファイブヘッドジョーズ』あたりを探した。全部有料だった。
なぜだ。B級なのにこんなもったいぶる必要あるか?
ということで見放題から2つチョイス。
『シャークトパスvs狼鯨』『ランド・シャーク』
見放題に入っている時点で嫌な予感しかしない。夏の繁忙期で荒れた胃がさらに重くなる。無邪気に喜んでいる彼女がまぶしかった。

『シャークトパスvs狼鯨』
率直に言おう。悪くなかった。
前作をみていないためわからない部分もあったが概ね楽しめた。論理が破綻しているようなところもあったが楽しめた。なぜならサメがきちんと出てきたから。
シャークトパスが触手を鞭のようにしならせ人間を吹っ飛ばすだけでなく、吸盤を使って壁に張り付き体を固定し、サメの頭で人間を食い荒らすシーンなど、タコ+サメという設定を思いのほか活かしていた。これはすごいですよ。
主人公がクズ過ぎる、ブードゥー教の首長が人外すぎるうえこいつも屑など人間サイドの面白みはないけれどもサメが出てきたので良いです。

『ランド・シャーク』
虚無
来ちゃったよ…。開幕の女がなっかなか喰われない時点で察した。これは引き延ばすタイプのクソ映画だと。
サメが土中を泳ぐようにミスリードしているが、サメが土中を泳ぐシーンはない。ただ陸上で微振動している。
主人公2人がサメを退治に行くストーリだが、サメと戦うよりは歩いている時間の方が長い。サメ探知機のようなものを持っているが、その電子音がシンプルに不快なうえ眠気を誘う。
ラスト5分で相方の男がサメ人間に返信するが、やるならもっと早くにやってほしい。

彼女はシャークトパスは楽しんでいたが、ランドシャーク視聴中明らかに口数が減っていた。個人的にはまあ見れるものが1本目に来てて良かったと思う。彼女にはこれに懲りてサメ映画からは足を洗ってほしいと思う。

さて、ミッションも終え、これでまた面白い映画を見ようと思ったが、うっかり見つけてしまった。

悪名高きこいつを

わかるんですよ、手を出したらいけないことは。
しかし少しでもサメ映画の情報を知っている人はこいつの噂は聞いているわけで。「ほかのクソ映画とは一線を画す」「ジョーズを入れたサメ映画人気投票一位」ねえ、ほら、そんなん言われたら手を出しちゃうじゃん。

ということで見たが、案の定クソ映画だった。
なんかもう、畏怖を感じるぐらいに。

虚無なのだ。虚無だが他の作品とは違う虚無。
やる気を感じるのだ。
先述したランドシャークや、「ジュラシックシャーク」あるいは「死霊の盆踊り」はなんとか70分映像を流すために”無言で歩いているシーンを5分以上流す”などという方向で虚無なのだが、これはストーリーの気配を感じる。
そう、気配は感じるのだ。でもない。
ただ意味深なシーンを組み合わせただけの映像集。ジグソーパズル開けたら5種類くらい混じっていたようなそんな。
怪奇現象が起こる→それにより被害が出る これをひたすら繰り返しているだけ。サメは出ない。怪奇現象の被害は出るが、それがサメの能力なのかよくわからない。たぶんずっと不穏で後味の悪いホラーが撮りたかったのではと思うがそうと仮定すると「サメいる?」の一言につきる。こんな疑問持ちたくなかった。

ということで久しぶりにクソ映画に手を出した日々の日記でした。
2度とクソ映画に出会わないことを祈ります。