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乙女ゲーム「大正×対象アリス」感想

しおみず

steamでセールになっていたので買いました。
さくっと遊べる奴が欲しくて、episode1だけ購入したのですが、全部やらないと意味がないと聞いたので結局全部やってしまいました。

雑感（ネタバレなし）

　面白かったです！乙女ゲームというか、乙女ゲームのテンプレを利用したノベルゲームって感じでした。乙女感はない…というか、途中まで乙女ゲーなんだけど、最後の方で乙女ゲーでこれやってもいいの！？ってことをしてくる。私がガチ乙女ゲーマーだったらキレてたかもってぐらい。私は乙女ゲーの在り方にこだわりがないので楽しく読めました！

　良かったところは、とにかくストーリー。それを見せるための演出、声優さんの演技も最高に良かった。おとぎ話モチーフで乙女ゲームを作る意味を最大限に利用してきたなって思います。ゲームという媒体で物語を公開する意味を感じられることに喜びがある人にはとてもおすすめ。モチーフの使い方もうまかった。

　逆にあんまり好きじゃないところは、これは私がまったく適性を持っていないからなんですけど、きらきらふわふわなファンタジー世界観そのもの。薄ピンクのフリフリにはまったくそそられんのだ…。私物がすべて無地のナチュラルカラー人間とはセンスの乖離がある。好きな人は好きでしょう。
　あとは、地の文や掛け合いが面白くないなって…。遠回りな言い方をする割に説明的。そして語彙や表現の魅力が乏しい（これに関しては童話の語り口調を意識した演出かもしれないがそれはさておき）。私は例えば「赤」を”鮮血のよう”とか”林檎のよう”みたいにどう表現するかってのを見るのが喜びなんですけど、これは”真っ赤な”って表現するタイプの文章で面白みに欠けるかなと。あとは、「そこ（喫茶店）からここ（商店街）」みたいに指示語や乖離した表現を使うとすぐかっこ書きで補足を入れるのが美しくないなと思った。キャラの使う語彙も「ツンデレ」とか妙にネットじみた言葉が多かった。
　好きじゃないことが好きの倍になって恐縮なんですけど、以下のネタバレ感想では全部褒めてるんで許してください。

キャラ別感想（ネタバレ有り）

攻略した順。

有栖百合花

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　この女マジでやべえ。
　容姿端麗、文武両道、家柄も良く、家事は万能、気配りやで明るく優しい最強お嬢様。そしてかなり強かなので惚れた男のために嘘は吐くわ、他人を利用するし、家は燃やすし自分の腹は刺す。

　その正体は王子様たちの傷を癒すために作られたヒロイン。現実世界での有栖百合花が夢の世界に自分のアバターである「有栖百合花」という人格を作って操作していた。なぜか？それは惚れた男が多重人格者で昏睡状態に陥った彼を治療し目覚めさせるため。いやこっわ。この無償の愛にして狂気的な執着と悪魔じみた打算が”女”を感じていいですね。気分はよろしくないですけど。普段BLゲームをやっていると触れられない異性愛の部分を感じてよい。でもこの女はやばすぎると思う。


赤ずきん

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100点の童貞。
まじでかわいい。とてもかわいい。なんかもう馬鹿で愛おしい。ずっと笑ってたわ。
虚言癖のストーカーなことがさらっと判明したけどかわいいから問題ないね

シンデレラ

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常識人。なんというか、とても普通。まとも。
高圧的な俺様系男子は実はいちばんまともの法則は健在。いい兄ちゃんだった。中盤でくっついていちゃつくので糖度は高め。
まともなのであまり言うことがない、頼れる兄貴系好きなので普通に好きです。不安定な人が多いので安定したお兄さんは精神的に助かる。

グレーテル

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シンデレラがまともなので刺激を求めて初手監禁する男へ。
いやー彼の「姉さん」呼びは堪らないですね。かわいい。話通じなさすぎて笑った。

そして、姉に恋しつつも家族のつながりを断ち孤独になることをおそれる二律背反。からの精神不安定ジャンキー化。R15で大丈夫か？

このルート、焼死が多くてビビる。エロいことをする選択肢を選んだら弟焼死したわ。姉は姉で家を燃やすしよ。

口にお菓子詰め込んで、カラフルなお菓子がベッドに散らばったまま昏睡するシーンが癖（ヘキ）でした

かぐや

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後ろから刺してくる系男子

どんな属性か全くわからないまま飛び込んだらまさかの女の子大好きゆるふわお兄さんでびっくりした。私、女の子侍らず系もゆるふわも大好物なんですけど！？しかも良く気がつく故に自分を殺して相手に合わせるタイプ。こういうチャラ男大好き。クラスドの色くんやドラマダの紅雀さんみたいなタイプ。この時点でメンタンピン揃ったよ

更に、記憶喪失の自称癖もち。儚いねぇ！好きだねぇ！平和狙ってたら一盃口ついてきた気分だよ！
　
更に更に、侍ってた女の子がじつはたらい回しにされた親戚の家の子で彼に無体を強いていたことが判明。えっ、これは妄想なんですけど男娼的なことなさってました…？だとしたら更にドラがついてくるんですけど。男娼好き…。裏ドラが乗った…

彼を救うためにヒロインは腹を刺してきたのでまあビビりました

白雪

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良かったなぁ、彼。言語化出来ないけど良かった。

儚い美少年、でも男らしいというテンプレにありながら彼に物語から背負わされた役割は、真実。

いちばん、浮世離れしたようで、いちばん生々しい傷を抱えているところが美しいと思った。彼を傷つけた母親を愛していた。その母親への愛が男らしさに反映されていて魅力に感じたのかな、と。

ゴミ屋敷で腐敗した母親と生活する男？性癖だよ。

魔法使い

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お前がナンバーワンだ。

かぐや最推しだなこれは、って思ってたんですよ、なんだお前は

ここで攻略キャラはみな一人の人間の人格であることが判明するんだけど、彼はそれらを統合するために人工的に作り出された人格。そして、その期待に応えられなかった失敗作。
だから全部知ってる。知ったうえで有栖百合花に恋をした。でも彼女が好きなのは自分であって自分だけじゃない。このどうしようもなく残酷な恋。美しすぎる。それに彼には「自分」がない。彼女の気を引くために他の人格の真似をしつつ、自我を獲得していくシーンが良かった。他人を演じるシーンというか、複数の人間がザッピングしているようなシーン、好きなんですよね（例：スロダメの真珠楼）

情緒

アリス

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エピローグと銘打っているだけあって、今までの総括的な内容。
今までのプレイで全員好きになってたから有栖百合花の気持ちがわかるし、でもアリステアの不安感も分かるし…。この辺が、物語をゲームという媒体で出す良さだよなあ。というか、アリステアの精神不安定な描写がすごくうまかった…
全員ハッピーエンドの世界になって良かったなという気持ちです。面白かった～