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【BLゲーム】Paradise:タカラルート感想&総括

 最後。問題の人。もうしょっぱなから核心的なネタバレをします

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 感想なんですけど………良かったです!!びっくりしたわ!
 食人鬼さんなのは存じ上げていたので、始める前は「これ、恋愛できるの…?」と思ってたんですけど普通に良いシナリオだったので驚きです。

◾️タカラについて

 犯人バレからの脱出をかけてゲームを持ち掛けるって、お前はミステリー漫画の主人公の宿敵の殺人犯か?ノリが高遠遥一なんよ。

 アヅマは俺のものなんだよ、って繰り返し言うんですけど、そのセリフがただ傲慢なだけじゃない不思議な美しさを感じました。一途なんですよね。俺の、俺だけのもの、アヅマは俺のものだから俺の好きなように扱っていい。言っていることは我が儘なこどもみたいなんですけどひたむきな執着がある。言ってることに対して、十数年見続けたという事実に裏打ちされて、この人は絶対にアヅマに対して自分の好きなように与え続けるんだろうなあという確証がある。良いものも悪いものも。

◾️ストーリーについて

 黒幕兼食人鬼さんとどんな恋愛をはぐくむかと思ったら、与えて与えて押し付けて最終的にすべて奪っていくみたいな展開で舌を巻きました。愛に飢えたからっぽな人間に対して満たしてあげるんですけどそれが基本的に有害物質で構成されているというか…。中身はどうであれ満たされたなら幸せだし中には宝石も混じっているような…。
 命を狙う加害者…なのにアヅマくんにとっては自分を救ってくれた神みたいな人。この辺の関係性も人外×人間ジャンルの良さがある。でもタカラはすごい人間らしいんだよなー。ここのバランス感覚がうまいんだよ休養沢脚本。デ王の李京もなんだけど悪役の人外感と人間らしさの同居がすごい。
 真相ルート特有の「こいつでなきゃだめなんだよ」っていうのがちゃんとあったのですごい。これは確かに運命ですわ。

 またまた感覚的な感想なんだけども3月の雪解けの時期のような。
 水の清さや草木の芽生え、冬の終わった安堵感もありつつ、不快な温い気温や妙に強い太陽光、ぬかるんだ泥がまとわりついて虫が蠢きだすようなそんな。清々しさと纏わりつく不快感が良い味を出しているシナリオだった。

 BADENDの話する?しなくていいかな?とりあえずスチル一覧に目つぶしのスチルを並べるんじゃねえ。

■総括

 超面白かった!たくさんやったわけではないけど休養沢先生はBLのライターの中で一番うまいんじゃないかと思う。キャラクターの”居る”感がとんでもないのと、シナリオの安定進行がすごい。ニトキラやアデルタみたいに「待って待ってそうなる!!???」みたいなのがない。それはそれで大好きなんだけども。ヤバ男祭!暴力!グロ!執着!みたいなノリのなかでしっかりと地に足の着いたシナリオと、内臓や骨血肉を感じられる現実味のあるキャラクターで独特の生々しさがあって良いですね。現実味があるからこそ暴力描写が映えるというか…

この辺の人間味がユーモラスですよね。かわいい。