6/6 キリンジが有名じゃないのは神の悪戯?
キリンジって誰?キンモクセイの仲間?デュオだからゆずとかコブクロみたいな系列?なんか熱くて感動的な歌歌ってる?
ていうかよく見るこの画像、脂コッテリすぎだろ…
キリンジを一聴する4ヶ月ほど前の私の対キリンジイメージです。
キリンジは、1998年にメジャーデビューし、弟の堀込泰行と兄の堀込高樹さんの2人で活動していました。弟の泰行さんの脱退後の現在は兄の高樹さんと、ほか多数の新メンバーで「KIRINJI」に表記を改めて活動中(詳細は割愛させて頂きました)。
音楽好きがやたらと推してるイメージがあるんですよね。ひねくれた感性を持った(たぶん)ネットコミュニティの住民の声からは、キリンジについて語っているのがよく聞こえていました。しかも、私のYouTubeのレコメンドにもキリンジの「エイリアンズ」が頻繁に出てきていました。そして、やたらと再生回数も多い…
意を決して、か気まぐれかは忘れましたが、ついに「エイリアンズ」のMVを見ました。
めっちゃ大人。おしゃれ。
さっきの脂コッテリショット(?)からはイメージできない、垢の全くない完成された音楽です。この2人のルックスの飾ってないところ、映像のシンプルさも天才感あって好き。もっと竹原ピストルとかサンボマスターみたいなのだと思ってたのに…
それからは当然のように、その日のうちにキリンジあさりがスタートしたのでした。
以下、私のお気に入りのキリンジの曲をパラパラ紹介したいと思います。
まずはファーストアルバム「ペイパードライバーズミュージック」(1998)。ブックオフの選ぶ名盤リストにはこちらが載っていました。コアなファンの人気がすごいようです。
1stアルバムの一曲目「双子座グラフィティ」。この曲のシングルでメジャーデビューします。イントロからラッパが効いてます🎺。ノリも強め。でも全体的に気だるい感じですね。
これは弟の泰行さん作詞作曲だそうです。そうそう、キリンジは双子ではなく兄弟です。
初めて聞いた時は小沢健二の「天気読み」を思い出してしまいました。ラッパの感じや出て来るコード、全体的な気だるい雰囲気などが似てますよね?
5曲目の「雨を見くびるな」。最初は変なタイトルだと思いました。このアルバムで一番好きです。こちらは兄の高樹さん作詞作曲です。
歌詞の世界は、倦怠期なのかうまくいっていない、ケンカ中のカップルについてのようです。歌詞の素晴らしさだけでも語りたくなってしまいます。
初っ端から
あぁ、口づけで責めてみても
カエルの面にシャンパンか
と独特なフレーズ。これ、調べてみると、酷いことをされても平気でいるさまという意味で「カエルの面に水」、または「カエルの面にションベン」(!)という慣用句があるそうです。さすがインテリ高樹氏。勉強になります。
キリンジの歌詞はこんな風に、一つのフレーズに裏の意味だったり背景があったりすることがとても多いですね。
歌詞についてはネットの先人達による解釈が存在するので深くは触れませんが、本当に全てのフレーズが冴え渡っています。
悪意の波長は荒れ模様
この雨を見くびるな
みぞおちを蝕んでいくだろう
深く深く
こんな鬱屈としたフレーズすらキレイに聴かせてしまう曲もすごいです。どうやらコード進行がえげつないらしいです。私には音楽理論を紐解いて解説するとかはできないのですが、コード譜を見ると確かに凄く複雑で感心します(というかキリンジのコード進行は簡略化して出回っているものでも難しくて覚えづらい…)。
そんな(個人的)歴史的大名曲「雨を見くびるな」に続くのが、またも兄高樹氏の作詞作曲「甘やかな身体」。このタイトルの語感が非常に好きです。
すごく上質な子守唄ですね。The Beatlesの「Golden Slumber」は高揚してしまって寝られなさそうですが、こっちは本当に眠れそうです。
こんなに落ち着く曲ってなかなかないです。泰行さんの低音ボイスが堪能できるAメロ終わりは集中してでも耳を傾けたいです。
本編(?)が終わった後のパートがとても幸せで気持ちがいいです。すぐに次のインスト曲「PDM」に自然に移行してしまうのですが、このパート2倍は長くていいですね。
歌詞は正直何言ってるか私には分かりません。正直キリンジの歌詞ってかなり難しいですよね?だからこそ陳腐にならないというメリットが確実にあるのですが。
次は本命、3rdアルバム「3」(2000)。「スリー」と読むようです。3枚目だから「3」。メジャーデビュー3年目だから「3」。なんてシンプル!
名曲多すぎて胃もたれしそうです。「エイリアンズ」を含み、13曲で70分あります。
これが「3」のジャケットなのでまた油コッテリショットを載せる運びとなりました。もしかしてこれ、「油まみれ=名曲まみれ」みたいなことですか?
先述のエイリアンズはやはりアルバムにおいても素晴らしいので、もう一回動画を貼り付けそうになるのをグッとこらえまして、かわりに2017年にLINEモバイルのCMに起用された時の映像を載せます(?)。
当時の記憶みたいなのが一切なくてショックです。こんなインパクトあるCMを一度も見なかったのか、スルーしてしまったのか…
とりあえず、のんさんが素敵です。
「3」は全部が名曲感あるんですが、一番初見で聴き心地がよかったのは「君の胸に抱かれたい」ですね。タイトルがちょっとダサい感ありますが、そんなの忘れるくらいの至高のポップスです。
このPV最高ですよね?
まさに多幸感が視覚化されています。
この曲の歌詞、様々な古典作品などのタイトルの引用が紛れているらしいです。
私が唯一初見で気づいたのは「陽の当たる大通り」というフレーズです。これ、渋谷系の時代を彩ったピチカート・ファイヴの曲名なんです。こちらも名曲です。特に冴えない人生を送っている人たちに突き刺さってしまうことでしょう。ちなみに、キリンジはこの曲が好きすぎるのか、引用に飽き足らずカバーまでしています。
あと、絶対的に素晴らしいのが、この名盤のラストに立ちはだかる「千年紀末に降る雪は」。作詞作曲は兄高樹さんです。
MVが無いのが悔やまれる名曲ですね。
こちらのコード進行が一番複雑かもしれませんね。
兄の高樹さんの曲は弟の泰行さんと比べて複雑になる傾向があります。
そもそもタイトルがカッコ良すぎます。2000年は本当に千年紀末ですし、このアルバムの発売時期は11月。神に授けられた曲みたいです。
歌詞はというとなんと、キリンジによるクリスマスソングです。といっても、こんなに重い音で始まるクリスマスソング聴いたことありません。
要約すると、現代の東京に迷い込んだ愚直なサンタクロースがプレゼントを配りに一生懸命働くも色々あって精神的にダウンしそうになっていくストーリーですね。
サンタさんが淡々と追い詰められるような描写が重ねられるのが面白いです。
あいつの孤独の深さに誰も手を伸ばさない
たしかに…
歩行者天国
そこはソリなんて無理
横切ろうとするなんて気は確かかい?
サンタさんバカにされてる…?
砂漠に水を蒔くなんておかしな男さ
「おかしな男」呼ばわり…
君の暖炉の火を守る人はいない
悲しい…
千年紀末の雪!
嗚呼、東京の空を飛ぶ夢をみたよ
夢オチ…
極め付けは
知らない街のホテルで静かに食事
遊ばないかと少女の娼婦が誘う
これは、サンタさんのような「善意の使者」にとって一番酷い仕打ちじゃないでしょうか。そりゃあサンタさんがいてプレゼントが貰えようが貰えまいが、娼婦になるような境遇の少女には関係がないことしょう。あまりにも現実的で夢がない。
なんだか曲全体が徹底的なサンタさんいじめソングに思える、偏向報道みたいな切り取りをしましたが、こんなかわいそうなサンタさんにも少しだけ救いが用意されています。
My Old Friend、慰みに真っ赤な柊の実をひとつどうぞ
さあ、どうぞ
クリスマスツリー🎄の装飾に付いている赤いアレが柊の実なんだそうで。調べてみると、クリスマスツリーにおけるヒイラギには、処刑されたイエス・キリストの流した血の赤色から関連づけられて、生命を象徴するような意味があるらしいです。
サンタさん、少しだけでも救われるといいですね。
意外と長々と続いたのでここらで終わりへ。
2ndアルバムにも4thアルバムにも5thアルバムにも現在の新体制KIRINJIにも紹介したいのは山々ですがこの辺でさようなら。
以上、4ヶ月ほど前にキリンジを初めて聴いた、キリンジにわかがお送りしました。
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