オンラインで疲れ苦しむ理由と対処法

-「繋がり距離感」再構築のため、具体的にできること-
-「人と会えない」ことで築かれる、新たな関係性を模索する時ー

緊急事態宣言が発令された4月7日より2週間、そして解除予定の5月6日まで約半分が過ぎました。本来ならばこの時期は日本に於ける年度の転換期。新入生・新入社員が緊張感と高揚感で街中を闊歩している時期です。今年はそのやる気が充満した満員電車に揺られるどころか、各家に穏坐しているのを余儀なくされている方も多いのではないでしょうか。

非常事態宣言前から様々な自粛により、当たり前だったものが当たり前でいられなくなってきています。それはただ不便というだけのものでなく、物事に対する関わり方の変化を余儀なくされている状況でもあります。

その大きな変化の1つが人との関係性です。

今回、当然と思っていた「人と会って話をし、共有し物事を進める」ということが急激に、そしてあっけなく崩れてしまうとは思いませんでした。そして今多くの方がこの急激な変化にどう対応していくかを模索しているのではないでしょうか。

何に模索しているか。一番大きなものは距離感ではないでしょうか。これはただ場所としての距離感ではなく、身体性を伴った「共有感」としての距離感です。

普段現代人である私たちは特に文章や声、表情によって「分かり合おう」としています。

現在、直接会えない今、相手と繋がるためには、特に次の3つの方法で行っているのではないでしょうか。
・文章はメールやラインなどのSNS
・声は電話
・表情はオンライン
でもそれらによって相手の全ては伝わりません。

「身体知」という考え方があります。これは「身体に根ざした知」具体的には身体を動かす経験、または身体感覚の深い認知によって身につけられた知恵です。仏教は身体知を高め、自身への深い認知により、他者への慈悲感覚を髙める方法でもあります。その考え方として十八界というものもあります。*いつか講座でお話しします。

分かり合うということは、相手から醸し出されるものを、自らの身体知を発動して感受していくという事です。現在会えないことで限定されて発せられる「声・表情・文章」だけでは感受すべき情報が少なすぎて十分に受け取れない状況になります。今、急激にオンライン化が進んでいる昨今、その受け取れないことでモヤモヤしたり、疲れたり、分かり合えず苦しんでいる方も多いのではないかと思います。*2回ほど、オンラインでの抜け落ち感への考察を記事にしています。


私は人と会うこと以上に分かり合える状態はないと思っております。そして現在会わなければ進むことができない業種もあり、今それらの対人業種は決死で大変重要なお役目だと慮ります。

しかし多くの業種は、当分はコロナ以前の状態にならないと思いますし、今のリモートへの急激な変化により、これからの社会がある程度リモートに傾いていくのだろうと感じています。

そこで人との繋がりにおける距離感の再構築を図っていく必要性が多かれ少なかれあります。人との距離「感」というのは、必ずしも近くにいるからといって近くになるわけではありません。喧嘩をしているときなどは、近くにいても距離感は遠く感じる時があるのではないでしょうか。それは互いに「分かり合おう」とする力を享受しないからこそ興る寂しさ悲しさなのではないでしょうか。

距離感再構築の為には、この「分かり合う」という観点を、どのように扱っていくかを模索していく必要があるのではないでしょうか。

これから、スムーズな「繋がり距離感の再構築」のために、すぐにでもできることのいくつかを示させていただきますのでご参考にしてください。

①身体知を高める
相手から発せられる感覚の機微をキャッチするために、自分の身体知(身体感覚の深い認知)を高めておく。方法として禅セラピーワーク、マインドフルネスを行うのがお勧め。

②オンラインは抜け落ちるものだと認識する
人と会うことと比べてオンラインは相手の総体が表出されないものです。受け取る側としては必ず抜け落ちるものがあります。オンラインで対応する場合は、「絶対に会った時以上には伝わらない」と認識しながらも、できるだけ総体として伝わる対処法を工夫し続けるということが大切だと思います。

③会える時には感謝と喜びを
旧知の深い関わりをいったん築いた方とは、離れていても近い距離感でいられます。学生時代の友人と数10年会わなかった方と会ったとしてもすぐにわかり合えるように。だからこそ会える時にはできるだけ距離感を縮めるため、感謝と喜びの心を持つのが大切。

④定型挨拶や作法を築き、ノル
人類の歴史に於いて大きく繋がり距離感の再構築が図られたことは幾度もあります。「手紙→電話→メール→SNS→ライン→動画→オンライン」など。その度に善き繋がりを維持していこうという試みの中で再構築が図られてきました。そこで円滑な繋がりとなるため必ず登場するのが「定型挨拶や作法」です。例えば手紙であれば「拝啓」などの前文、電話であれば「もしもし」という言葉。SNSであれば「なう」「#ハッシュタグ」など。ラインならば絵文字など。何らかの定型挨拶や作法が確立されれば、それが安心の共通項となり、互いに心許しやすくなります。今まだオンラインでそれが確立されていないようです。自らが入っているコミュニティで築くのでもよいですし(挨拶として数秒の瞑想をするのがお勧め)、流行りとしてできたものにある程度はノッてしまってもよいのかと思います。

⑤常に会う方との距離感を大切に。思いやりを持って。
一緒に暮らす家族などとは、これまで以上に密になっているのではないでしょうか。それにより負担となっている方(特に家庭の切り盛りを任されている女性)も多いのではないでしょうか。また変化によるストレスでDVなども増えていると聞きます。変化した密状態で、家庭での繋がり距離感が離れてしまったら、身体知も鈍り、他者への認知力も低下します。それはオンラインでの対応力がさらに低下することにも繋がります。まずは一番大切な方との距離感を近づけるため、今まで以上に思いやりを持ち、協力し合っていくこと。それがコロナ後の新しい世界への扉として開いていくということを自覚いたしましょう。

まだまだ「人と会えない」ことで不便が強いられる期間でありますが、コロナ後の新しい世界は社会として新たな関係性が求められる時代です。そしてもう以前には戻らないと認識することが大切。今はその上で、具体的なこれらの方法を頭に入れ、新たな関係性を模索し続ける時なのではないでしょうか。それがこれからの社会で安心として生きる力となっていくと思います。

2020.4.23
zafu代表 藤井隆英

◎シェアフリーです。必要な方に届きますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?