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連帯保証人

昔のバカ真面目で、無計画な私の出来事です。

私には、お付き合いしていた彼女がいました。

彼女はとても勝気でどことなく闇を抱えていた。

それでいて、とても美しい人だった。

こんなオレとよく付き合ってくれたな!

でも、あまり笑顔を見た事がなかった。

彼女は、仕事をしていたがなんの仕事かは、
接客業としかいわなかった。

私は、あまり深く考えない人間なのだ。

誰だって踏み込んで欲しくない部分は、
あるだろうし。

その人が何かあれば、話すだろうと、
思ってしまっていたのだ。

私と言う人間は、
信頼すると、他の事はどうでもよくなるのだ。

だから、
誠心誠意で、彼女を信頼し、愛していた。

彼女が、突然、話があると言うではないか!

マジか!頼られるってなんか嬉しいな!
なんだろう…!オレが全力で助けてやるぞ!

彼女が口を開く、
友達が…部屋を借りたい、らしいんだけど…。
その…保証人?がいないみたいなの…。
あなたの名前、貸してくれない?

ん?オレの?お前じゃダメなのか?

私って、接客業じゃん…。
収入が安定してないから…ダメなの。

へーそうなんだ…なら仕方ないな。
わかった。いいよ!

と、言うとサッ!と紙を出された。

えっ!すでに!用意周到すぎる!

言われるがまま、名前と捺印を押した。

それから、何もなく幸せに暮らしていた。

だが突然、彼女と連絡が出来なくなった…。

あれ?携帯電話…解約してる…。

ん?どう言う事?え?もしかして…。

オレは…捨てられたって事?

何が悪かったんだ…オレが不器用だからか?

うむ…でも、もしかしたら連絡あるかも。

そんな事を考えていると、
知らない番号から、電話が来た。

誰だ!もしかしたら、彼女関連?

電話に出ると、訳のわからない話をしていた。

ちょっと、待って下さい!
順を追って、わかりやすく教えて下さい!

と言うと、電話の相手は、
私は不動産の者です。
あなたが保証人になった部屋。

ずっと家賃滞納していたらしいんです。

住人に電話しても通じなかったので、
大家の方と立ち合いのもと、部屋を、
確認してまいりました所…。

そしたら、いわゆる…その…あの…
デリバリーヘルス…その様な商売してたんですよ!

私たちが部屋に行った時には、
もう誰も居なくなってましたけど、
相当慌ててたんでしょう…部屋はそのままで、
その様なチラシや名簿等が、
残っていたんです。

それで、あなたに電話した次第です。

えっ!なんですか?それ!
私は何も知りませんし、関係ありません!

彼女から、友達が部屋を借りたいからと、
保証人になってと言われただけですよ!


不動産の方は、
あなた、騙されたんですよ。
こう言う手口は、よくある事なんです。

そして…申し訳ないのですが、
あなたが連帯保証人に、なので、
滞納した家賃と、部屋に残ったモノの、
処分する為の、料金をですね…。
あなたに、支払う義務があるんですよ…。

私は、しばらく混乱していた。

マジかよ!なんだよ!それ!
オレ…騙されてたの?嘘だ!嘘に決まってる!

私は、
失礼ですけど、
急に電話してきて、金払えって言われて、
はい、そうですか。なんてなる訳ないでしょ?
あなたこそ、私を騙してるんでしょ?
私は、そんなの信じられません!

そう言うと、
ごもっともな意見です。
少々、お時間いただけないでしょうか、
ちゃんと、お会いして、現場もお見せします。
私の不動産も大手です。
なので、一度、お会いしませんか?

私は、少し悩んだが、

わかりました!今日休みなんで、
今から伺いたいのですが、大丈夫ですか?

と数時間後に会う約束をした。

それまで、頭がおかしくなってきた。

マジかよ…アイツ…デリヘル嬢だったの?

うむ…確かに接客業かもしれない…。

私にはもったいないぐらい綺麗だったもんな。

どっか、闇を抱えていた様に見えたのは、
この事だったんだな…うむ…なるほど!

って、納得してどーすんだよ!

もしかして…これは…夢?

…んな訳ない、ない。ダメだ!頭が!

もしかしたら、間違いかもしれない。

この目で見ない限り、信じないぞ!

と、言う訳で、会いに行きました。

立派なビルに、言われた階に行きくと、
ワンフロアがオフィスになっている。
うむ…大手の不動産屋だった…。

中に入ると、先ほどの電話の相手と、
思わしき人が出迎えてくれた。

名刺も、もらって、疑う余地なし。

まずは、現場を見て下さいと、
不動産屋の車で、その部屋に行く。

そして、部屋を見た瞬間…
現実を目の当たりにされた。

名簿には、数名在籍していた。
写真と自己紹介的なモノが載っていた。

ページをめくると…
そこにいるのは…色っぽい、あの彼女がいた。

いくつもの電話が、置いてあり、
無造作に化粧道具やデリヘルで使うであろう、
道具が散乱していた…。

唖然としている、私の肩をポンっと叩く、
不動産屋さんに、やっと我に戻る。

わたしの頬には、涙が流れていたらしい。
不動産屋さんがちりかみを渡してくれた。

不動産屋さんは、
業者に処分してもらう事になりますが…
どれか、必要なモノがあれば、言って下さい。
お持ち帰りしていただいて構いません。

と言われたが、私にはそんな趣味はない。

そして、持ち帰った所で、なんにもならない。

私は、いや、ぜーんぶ処分しちゃって下さい!

家賃もその処分にかかるお金も、すべて
責任とって、ちゃんと支払います。


そう言うと、では業者に処分をお願いして、
すべて終わったら、またご連絡します。

と言って、帰り送りますよ!と送ってもらった。

家に帰って…もう、荒れました!
どーにでもなっちまえー!
と泣いたり、笑ったりしちゃいました。

あーなんて、私はおバカなんだー!
よりによって連帯保証人なんかしてさ!
結果がこんな事になってやんのー!
わーどれだけのお金請求くるんだろー!
こわいなー!やだなー!面白いなー!

明日、仕事行きたくないなー!
もーどーにでもなっちまえー!

不思議な事に次の日は、なかったかの様に、
まともになっていて、いつも通り仕事に行った。

忘れた頃に、あの不動産屋さんから、
お手紙が来た。
まずは、家賃の証明書と、
処分したモノを事細かにわたり、
書かれていて、総額の金額が割り出されてた。

ふー。とため息をして、
明日、不動産屋さんに電話しないとな。

と、もう冷静に物事を考えられていたが…。

うーわ!かなりの金額じゃねーか!
どうしたら、こんな金額になるのー!
想像してたより、すんげー金額!
いやーびっくりしたー!

ちょっと、払うって言ったけど…
でも…こんなに?…余裕もなくなっちゃった。

私には欲がない。
必要最低限のものがあればそれでいいし、
食べ物すら、食べたいと思わないのだ。

だから、貯金は勝手に増えていた。

よかった…貯金があって。

って、銀行のお金が…ない。

あっ!あの時、ハンコ押した時に取られたんだ…。
あれ?印鑑…がない…。

慌ててATMに駆け込むと、
数百円だけの数字が冷たく画面に表示されてた。

やられた!うそだー!マジでー!
そこまでするー?ひどくないか?

だが、用心深い私は、複数の銀行に、
貯金をしていたのだ。

なにが、どうなって、こうなったのか…。

これ幸いに、
新しく作った銀行の通帳だった為、
貯金額がまだ少ない、銀行のお金を、
ごっそりと盗まれましたよ…。

とりあえず、それだけは…良かった…。

多分、これ以上の高い金額の買い物は、
生きてる限り、出会う事はないだろう…。

勉強になりました。
ありがとうございました。

授業料はとてつもなく高いけど…。

私って、ほんと無知なおバカさん。

印鑑の変更の手続きを銀行に行ってしないと…。
めんどくせーよー。やだよー。

それでも、彼女を責める事はない。

彼女は彼女なりに、大変だったんだな。

デリヘルって、簡単に出来る事じゃない。

彼女は、頑張ってたんだろうな。

必死だったんだろう…。

でも、うまくいかなかった、それだけ。

でも…最後に一言、
正直に、言ってくれたら、良かったのに。
お金だって、必要ならあげたのに…。

責めないし、怒らないのにな。

逆に、不動産屋さんを疑って、
責めてしまったではないか!

恥ずかしい…。

あの不動産屋さん、いい人だったな…。
あの時、疑ってごめんなさい…。

もう、彼女も歳をとっている。

玉の輿、乗ってそうだな。

アイツなら、絶対に成功する!

あの勝気な性格なら、大丈夫だ!

幸せにやっているといいなー。

オレの金なんて、すぐ使ったんだろうな…。

まぁ…人助けになったと言う事で…。

お金が、全てではない。
それよりも、大切なモノがあるはずだ。

とりあえず、私は学びましたよ。

美人で闇抱えてる人は要注意!

たくさん被害者いるかもな…。

ホント、罪な人です。

いつか、痛い目に遭えばいいんだ!
ふん!バーカ!バーカ!生まれ変わってしまえ!
オレの金返せよー!はした金じゃないんだよ!

…ぶーとふくれてしまいました。

…そして、
ちょっとむなしくなっております。はい。



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