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SOR環境の変遷はCygamesの掌の上だったのではないかという話

 12月に入りSOR環境も最終盤を迎えました。11日には新パックの情報公開を控え、だいぶお疲れ様ムードが漂っています。
 この記事では、SOR環境がCygamesの思惑どおりに展開していったのではないかという予想について語っていきます。
 当然ながら全て主観かつ想像です。

 「2回のナーフとアディショナルがあったんだからそんなの当たり前だろ」と思われる方もいるかもしれませんが、そういうことではありません。
私の考えるCygamesの思惑とは、「全てのカードを構築戦で使ってほしいと考えてカードをデザインしている」ということです。
 カード評価で頻繁に使われる「2Pickなら強い」というフレーズ。

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2Pickerの親の仇

 Cygamesはこのフレーズに対してかなり嫌悪感を持っていると思います。私がカード効果を考える立場なら、せっかく頑張って考えたのに使い道を模索されないまま「2Pickなら強い」という言葉で封じ込められてしまうのは悲しいですし悔しいです。その結果が直近のカードデザインに繋がっているのではないか?と私は考えています。
 では、その直近のカードデザインとは何なのでしょうか?

 最近のカード性能を考える時に、初期と比べて除去カードの性能が著しく向上しているのは皆さんも感じていると思います。ある程度のリスクがあるとはいえ、2コスト確定フォロワー除去、3コストでアミュレットまで除去、条件を満たしたら1コストになってドローまでできる除去。5コストもかけて除去しリーダーに2点飛ぶだけで喜んでいた時代と比較するとその差はあまりにも歴然です。

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この程度のカードがナーフしろと叫ばれていた時代もあった

 また、デッキを支えるサポートカードも低コスト化が進んでいます。自由なる冒険者、猫の奇術師、グラウンドサークル、レヴィールの保安官補、百鬼夜行、ボーンフリーク、聖石の使徒、ストリングマイスター、ペネトレイトランサー、カプセルホムンクルス・・・例を挙げればキリがありませんが、初期に出ていれば1~2コストは足されていたであろうカードたちが軒並み2コスト以下となってエースカードを強力に支える時代になっています。(ホーリーエンチャンターのように許されなかったカードもあります)

 その他にも、本来の役割とは別の効果を意図的に持たされたであろうカードが多くなっています。最新パックで言えばマジカルシューター、燎火のレンチスミス、ショーダウンデーモン、パニッシュメントスナイパー辺りは元々ファンファーレ効果だけでデザインされ、その後進化時効果を追加したのではないかと予想しています。
 全てのカードを構築戦で使ってもらうためにCygamesが模索してきた結果の一つが、この主軸以外のカードのインフレであると私は考えています。

 Cygamesの試行錯誤の甲斐あって、SOR環境ではサンライトシスター、死の魔鳥、鋼刃の暗器使い、ディメンションドミネーターのような散々2Pickカードと呼ばれてきたカードたちが環境の第一線で活躍しました。
 特に、連携ネメシスと呼ばれたデッキは、鋼刃の暗器使いの他にもドールユーザー、パワフルマリオネッター、マインドディバイダー、パペットボックスという過去に二流どころか三流に近い扱いを受けていたカードが採用されているだけでなく、アグロデッキが多ければ放浪する料理人を採用し、長期戦を挑むデッキが多ければラグナアウェイクを採用し、強力な一撃を叩き込むデッキが多ければ界門のホムンクルス・ラズリを採用し、と環境に合わせて柔軟に対応できました。もちろん、純粋な強力カードであるラミエルや≪世界≫ゼルガネイアも無理なく採用できます。
 プレイヤーの好みに合わせて調整できてしかも全体のバランスが崩れないデッキということで、連携ネメシスはシャドウバース全体を通して見ても個性が出しやすくデッキを考える楽しみが大きい神デッキと言えるでしょう。それだけに、執筆中にストレイホロウ・イルガンノが2コストとなりデッキ自体が消滅の危機に瀕しているのは残念でなりません。

 全部のカードを使ってほしいとCygamesが考えてSORのカードがデザインされた結果、SOR環境では多くのカードが検討され、採用され、活躍しました。UCLから試行錯誤を続けてきたCygamesの思惑がついに実った期間が2020年の締め括りとなるSOR環境だったと言えるでしょう。
 作ったカードを全て使ってもらえるというのはデザイナー冥利に尽きるわけですから、2021年のシャドウバースもこの傾向が続くと考えられます。新パックの強さや環境を予想するときにはあらゆる可能性を検討することが上達、強力なデッキの発見への近道なのではないでしょうか。

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