恥ずかしい話
経済評論家の山崎元さんが亡くなったとのニュース。
お会いしたことも、著書を拝読したことすらもないのですが、20代でフリーランス駆け出しの頃一度だけメジャーな経済誌様から山崎さんの似顔絵の依頼を受けたことを思い出しました。
連載だったのか寄稿だったのかすら憶えてませんが、彼のコラムのプロフィールに添える挿絵だったと思います。
机に山崎さんの写真を何枚も並べ、穴が開くほど観察。そのときに始めて知った著名な経済評論家のニコヤカなお顔が、今でも印象に残っています。
その後無事に似顔絵を完成させ入稿したのですが、担当編集者さんから「これを線画に変えて」「やっぱハーフトーンだけ付けて」と後から後から追加注文が。
当初「いや、元々線画にするつもりで描いてない絵なので、変更するとおかしいです。できません」と突っぱねてましたが、結局線画に変えたものと、ハーフトーンを付けたもの、そしてオリジナルと、数パターンのデータを作って「どうぞお好きなのを使ってください」と入稿しました。
結局、誌面に載ったのはオリジナルだったと記憶してます。
その後すぐに同じ編集者さんから、別のイラストの依頼が。
自宅のFAX(当時)に大量の和田誠さんの絵が届き「◯◯を和田誠みたいに描いて」との注文。
「和田誠に頼め」と言い、電話を切りました。
一見、面倒な編集者を相手に言うこと言った武勇伝のようですが、100%完全に私のしくじり。
実力もないクセに思い違いした若造が業界の先輩に大無礼を働いた、という恥ずかしすぎる思い出です。そもそも「イラストレーター」という仕事を心底勘違いしてます。
この若造はそれに気づくまで数年かかりました。
当然その出版社様からのお仕事は、以降今に至るまで一度もありません。
今ではすっかりそんな謎プライドなど持ち合わせない、いつでも編集者様に従順な犬めに仕上がっている私ですが、ニュースであのときと変わらないニコヤカなお顔を見て思い出した、若き日の黒歴史でした。
山崎さんのご冥福をお祈り致します。
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