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元ゲーム理論専攻の自分がGTOを説明してみる(Part2・補講)~バリューブラフ比とMDF~

補講の内容

Part2では、AKQゲームの話をしましたが、バリューブラフ比とMDFについて計算式は書いているものの、少し飛ばした説明になってましたので補足します。
ニキさんのこの記事を見て、補足したくなりました。
https://note.com/mianiki/n/nb0a1c5a9c75f

バリューブラフ比(ブラフ比率)

バリューブラフ比は、均衡上ではどのようなバリューとブラフの比率になるか、という話です。その比率は当然レンジやどのストリートかによる訳ですが、基本はリバーのAKQゲームの場合で考えるものだと思います。

実戦的にはブラフ比率で考えた方が分かりやすいかと思います。
ポットサイズをP、ベットサイズをBとすると、ブラフ比率は
B/(P+2B)
となります。(この算出方法はあまり覚える必要がないため、補足で後述します。)
私は文字二つが嫌なので、ポットとベットの比率B´(=B/P)を使って
B'/(1+2B')
で考える事が多いです。B'は例えば、ポットベットなら1、ハーフベットなら1/2です。こちらの方が式が簡単で使いやすいですね。

ただし、こんな式を実戦中に計算はしません。下記の表を使いましょう。
全部覚えるというよりは、ポットベットが33%である事だけ覚えて、それを基準に考えればよいかと思います。
あえて気を付ける事を挙げるなら、ベットサイズがどんなに大きくなっても、ブラフ比率は50%を超えません。50%超えたら相手が何でもコールできてしまいますからね。

キャプチャ5


(補足)
「B/(P+2B)」という値がどこから出てきたのかも説明します。
ポイントはPart2で説明した、相手の利得を無差別にする、というところです。今回であれば、相手がコールする場合とフォールドする場合を無差別にしますが、フォールドした場合の利得は0なので、コール時の利得が0になるブラフ頻度を求めればよいです。

ブラフ比率をxとして、コール時の期待値を求めると、
(勝つ確率)*(勝った時の利得)+(負ける確率)*(負けた時の利得)
=x*(P+B)+(1-x)*(-B)
となりますので、あとは(上記の式)=0をxについて解くだけです。

数学的に考えると言っても、恐るるに足らずで中学生レベルの数学ができるだけで、理解ができます。
(文字を置く必要もないので、小学生でも解こうと思えば解けます。)

MDF

MDFとはMinimum Defense Frequencyの略で、日本語にすると最小ディフェンス頻度です。この比率もブラフ比率同様、レンジやどのストリートかによる訳ですが、定義としては、リバーのAKQゲームのK側のディフェンス頻度で考えます。(実戦では、MDFほどディフェンスしない事が多々あり(というかしない事が普通)、その理由は大きく3つあるのですが、それは今度記事にしようと思います。)

実戦では、コールされる頻度がMDF以下ならばブラフが利益的になると考える事の方が多いですね。

これも、先ほどと同様にポットとベットの比率B´(=B/P)を使うと
1/(1+B')
となります。

ブラフ頻度同様、式というよりは、主な数字を覚えちゃいましょう。

キャプチャ6

(補足)
算出方法は、相手のブラフ時の利得を0にすればよい(フォールドと無差別にする)です。コール頻度をxとしてブラフする側の利得を求めると、
(コールする頻度=ブラフ失敗頻度)*(コール時の利得)+(コールしない頻度=フォールド頻度)*(コールされない場合の利得)
=x*(-B)+(1-x)*(P)
となりますので、あとは(上記の式)=0をxについて解くだけです。

実戦での活用方法

ここまで書いていて何なのですが、どちらの数字も実戦で計算しながらかっちり守るものではありません。どちらも相手のプレイングによるところが大きいのです。例えば、相手がMDFを守らなければ(過剰に降りる)のであれば、ブラフがばんばんできますし、バリュー過多のベットならどんどん降りて構いません。

目の前の相手のプレイングやスタッツが分からなくとも、卓全体の傾向や国籍、雰囲気、タイムテルなど何らかの情報はあるものです。

それでも、上記の数字を意識するとしたら、ブラフ頻度は、同じ相手と同卓し続ける時、MDFは相手に対するリーディングが全くできない時などです。
それなりにこちらを観察する相手と同卓する場合は、大きくバリュー過多・ブラフ過多にならないようにはします。

ディフェンス時に、本当にMDFを意識するなら、自分の持ちうるコンボ数が分かっていないと出来ませんが、難しいです。ボタンのオープンに対するBBのディフェンスするコンボ数は大体300~400くらいで、フロップでCBを打たれたらそれが50%~70%くらいに減って、という数字をいちいち計算するのはかなり難しいのはないでしょうか。現実的には、考えるにしてももうちょっとざっくりしたもので、トップぺア以上だけコールしてもコール頻度が50%にはならないからもうちょっとコールしないとなあ、くらいでしょうかね。このあたりのどのハンドでディフェンスすればよいのかは、それはそれでいつか記事にはしたいところです。PioやGTO+を持っている方は色んなフロップを回してみてみるとなんとなく感覚は掴めるかと思います。

では、ブラフ頻度とMDFの話からだんだんそれつつあるので、今回はこの辺で。




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