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ポーカーが強くなるためのちょっとしたコツ~ポーカーの複雑さに立ち向かう~

ポーカーはどうやったら強くなるのか?

結論を言います、実戦と座学をひたすら繰り返しましょう。
一日に、100NLを7時間、その反省と座学を3時間という生活を、一か月したら誰でも強くなれます。

・・・

それは確かにそうなんです。一か月で○○ハンド打ったやら、△△ハンドチャレンジなんてものを見ると、これだけ打ったら強くなるよなーと、リーマンプレイヤーから見ると羨ましくなります。でも!工夫次第で強くなる方法もあるのです。明日から使える速攻性のあるものではなく、何なら強烈な汎用性がある一方でかなり難しいですが、使えると役立つ考え方の工夫があります。
マイクロをクラッシュする方法とか、知りたいですよね。でもこんな記事にもちょっとお付き合いいただければと思います。

仮説検証を繰り返して、ポーカーの理解を深める

ポーカーに限らず、何かを学習する際には、仮説を立てて検証するというプロセスを取る事は多いかと思います。ポーカーでもこんなプレイが有効かな、など試行錯誤をするのは普通と思いますが、ゲーム上達という観点ではもっと構造的な観点からの仮説を立ててみる事が有効なのです。それってなんやねんという話だと思うので早速例を。

ポーカーを学びたての頃、オープンレンジについてこんな事を考えてました。

(例1)
N人のうち、もっとも良いハンドの人がポットを取るのだから、オープンするレンジは、自分含む残り人数分の一(ボタンなら三分の一)なのでは?

この仮説はそこそこ正しいです。6MAXのUTGなら1/6=16.7%、HJなら1/5=20%でまあまあの精度です。でも、ズレもあります。
ヘッズアップだと、50%でなく70%以上オープンできます。10BBのプッシュorフォールドだと6MAXのUTGで約30%オープンできます。

なんでズレているのでしょうか?
単純な仮説なのですが、こういうところにポーカーの複雑さと面白さが隠れています。

もう一つ例を考えましょう。今度はディフェンス側の仮説です。

(例2)
BUの2.5bbオープンに対して、BBの必要勝率は約27%なので、その勝率があればコールできるはず。

キャプチャ

と、思いませんか。BUのレンジを40%としたら27oですら勝率30%あるので、何でもコールできてしまいます。
でも実戦では、27oではコールすべきではありません。なぜでしょうか?
(結論ではなく、理由を説明できますか?)

最後にちょっと難しい例を。

(例3)
MDF(Minimum Defense Frequency)よりも低い頻度でしかディフェンスしないと、ブラフされ放題になる。だから、MDFは絶対守るべき。

これもダウトです。MDF守らない事の方が普通くらい。
でもその理由まで、説明できますか?

仮説を立てると何がうれしいの?

まず、例1の解説を。
オープンレンジが仮説の数字よりも広いのは、相手を降ろしてブラインドをスチールする効果がある事が挙げられます。UTGよりもBUやSBの方がズレが大きいのも、降ろす相手がBUやSBのが少なくスチールできる効果の影響が大きいと考えると、整合が取れてますね。また、コールされてもエクイッティがある事も挙げられますね。相手より弱い=勝率0ではないのです。

この事から、スチールする効果やコールされてもエクイッティがある効果は、オープンレンジを広げる方向に作用する、事が分かります。
この問いは難しくないですが、こういう思考の繰り返しで、ポーカーの複雑さと難しさが少しずつ理解できていきますね。

理解度を試す応用問題です。アンティがあるとレンジは広がるでしょうか?縮まるでしょうか?
アンティがある場合のレンジ表なんて知らないと言わずにちょっと考えてみましょう。

・・・

一般的には広がります。上の法則を適用すると、アンティがある方がポットが大きくスチールする効果が大きいですよね。考えれば答え(の仮説)が出せます。そう。構造を理解するという事は非常に汎用性のある学びなのです。(仮にレンジが広がらないなら、また何か違う要素が作用している事が分かり、新しい仮説が立てられます。)そして、その学び方はちょっとした疑問や仮説を深掘っていく事が効果的なのです。
個別パターンの暗記の方が重要なゲームもあるとは思いますが、ことポーカーにおいては、さまざまな相手、さまざまなシチュエーションへの対応力が求められる、かつ、構造から導かれる法則の汎用性が高いため構造の理解の重要度が高いゲームだと感じます。
なんなら、上の法則はホールデムとは言っていないので、他のゲーム(オマハなど)でも成り立ちそうですよね。
(とはいえ、個別スポットの勉強・精度向上も重要です。GTOとエクスプロイト両方重要なのと同じく、抽象と具体両方重要です。)

さらにもう一つ効果もあって、それはこういった仮説構築+検証を繰り返すという事自体が、思考力を高め、実戦での対応力向上に繋がるのではと思っています。この効果自体の直接的な検証が難しいのですが、私の周囲のゲーム強者や、さらにはビジネス強者はこの能力が高いと感じます。私もそれなりには上達速度は速かったとは思いますが、結局のところ、物事を理解する・ゲームを上達するための仮説構築+検証プロセスをポーカーでも実行しているだけなのです。

(例2の補足)
この答えは、BBはポジションとレンジが悪いので、勝率が30%でも、実現できるEVはそれより下がるから、です。(ハンドとボードによりますが、大体BB側は勝率×ポットの75%~85%くらいのEVになります)
AKQゲームのPartで、勝率とEVが必ずしも相関しない事は学んだと思います。BU対BBのレンジは、AKQほど極端でなくとも、BB側が不利なのです。
この事ってポーカーの超基本で超重要なのですが、あまり本などでも語られる事がないのですよね。。。(私が知らないだけ?)だからこそ自分で考える事が重要なのですが。

これも応用問題で、FLHE(Fixed Limit)やPLHE(Pot Limit)だとNLHEよりもディフェンスレンジは広がるか、というのが考えられますね。ベット額が少なくなれば、エクイティの実現性が高くなるので、答えは広がります。
やったことがないルールだとしても、ちゃんと考えればBBのディフェンスレンジは、NLHE<PLHE<FLHEだと推測できそうです。

ちなみに、例3の回答は、ちゃんと説明したいので別の記事で。。。
こっちも超重要です。ポーカーの難しさが詰まっています。

そうは言っても。。。

ここまでの説明を読むと、じゃあ何の仮説を立てればいいの?どうやって仮説を立てるの?という声が聞こえてきそうです。

実は、これだという、正解のプロセスはないのです。これが冒頭で言った「強烈な汎用性がある一方でかなり難しい」という事の理由です。
例1の仮説を思いついたのは、どれくらいの頻度で参加すればよいのだろうと言う素朴な疑問からですが、こういうプロセスで考えれば精度の仮説が出せる、という一般的なプロセスはなかなかありません。
色んなゲームをやっていくと、初見ゲームでもなんとなくツボは分かってきますが、じゃあポーカー以外のゲームやれと言われてもきついですよね(いつもキャッシュならトナメやってみるとか、ホールデムだけでなくオマハをやってみるというのはアリだと思います。)

こういった原則•法則は木原さんの記事でも結構語られていて、良く読んでいます。ただし今回の記事で言っている能力は、人から言われて原則を理解するんじゃなくて、このゲームはこういう構造だからこういう原則があるのではないかと自分で考える能力の話であって、一段上のメタな能力でもあり、なかなか難しいものです。(木原さんの下記の原則もどこかに原典がある訳ではなく、木原さん自体が考えたもの、との事です。)

(参考記事)
小さいベットとレイズ、ポーカーの基本原則とGTOに関する誤解

とはいえ、あとは頑張って、では無責任すぎるので、いくつかの方法例を説明します。

①実戦の中で、気になったハンドについてどうプレイするか考える際に、
他のハンドならどうか、他のボードならどうかと思考を広げてみる。
②友人とハンドについて、ディスカッションを行って、思考の違いから仮説を立ててみる。
やっぱり、考える行為って一人でできそうに見えて、相手がいる方が広がるので、ディスカッションはオススメです。
③上にも書きましたが、オマハなど違うゲームをやってみる。
 (同じところ違うところが見えてくる)

ちなみにツールを使う事はここには入りません。仮説を検証する手段の一つであり、何を検証したいのかが明確でない状態でツールを使うと逆効果ですらあると思います。(ひたすらツールをいじっていたら、有用な法則が見つかる事もなくはないですが。。。)

最後にですが、こうやって色々と考えて得られた自分のポーカーというゲームに対する理解はGTO記事やその他の記事で公開して行こうと思っています。
それではまた。



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