帰り道4駅分
マイナスの感情で埋め尽くされいない文章が書きたい!
なので昔の甘酸っぱい思い出を書こう。
高校生の時、ファミレスのキッチンでバイトをしていた。
そのファミレスはキッチンで働いている女子高生は私しかいなかった。
女子高生はみんなホール担当を希望するからだ。
私は面接の際に働けるならどちらでもいいですと言った為、人が足りていないキッチン担当になった。
キッチンのシフトは希望性だったが、なんとなく誰がどの曜日のどの時間に出勤するかは決まっていた。
毎週同じ曜日にシフトが被る同い年の男の子がいた。
彼はクールで背は少し小さめだがジャニーズにいそうなかっこいい子だった。
昼間に働いているパートのお母様たちのアイドルだった。
高校生は22時まで働けないので、キッチンの高校生たちは21時までしかシフトを組まれない。
ホールの高校生は21時45分までシフトを組まれることがあったが、キッチンはお店が忙しくてタイミングが悪くない限り21時で仕事が終わる。
私が働いていたファミレスは高校生が多く仲が良かった。
なので働いた後、高校生達は休憩室で22時までおしゃべりしてから帰るのが日常だった。
22時過ぎまでいると店長に怒られてしまう。
最初彼はあまりおしゃべりに参加しなったが、ホールのノリが良い女の子達の誘いにより22時まで一緒におしゃべりすることが多くなっていった。
彼と私は帰りの電車が一緒だった。
私が降りた次の駅で彼が降りる。
私が降りるまでの4駅分彼と一緒だった。
22時までおしゃべりしていると必然的に帰る時間がみんな一緒になる。
ホールの女の子にも同じ電車に乗って帰る子がいたがホールはシフトが固定されていなかったので彼と2人で帰ることも多々あった。
出勤しているメンバーによっては休憩室でのおしゃべりがない日もある。
彼と私は退勤時間が一緒でもキッチン内の働いているポジションが違ったのでぴったり同じ時間に仕事が終わるわけではない。
おしゃべりがない日に一緒に帰ろうと誘うのも違う気がして、更衣室で着替えるのを遅くしたり、早くしたりして偶然を装って一緒に帰ることもしてみた。
今思えばストーカじみていて気持ち悪い。笑
でも偶然を装ったのなんて数回だ。
時間がたつにつれて気づいたら偶然を装わなくても、誘わなくても、おしゃべりがない日は早く終わった方が休憩室で待って一緒に帰るのが当たり前になった。
帰り道彼と2人で何を話していたかなんてもう覚えてもいないが、
とても楽しかったことだけは覚えている。
高校3年生の春。
私は大学受験の為にバイトをやめることにした。
彼とシフトが被った最後の日。その日も2人で帰った。
いつも短いと感じていた4駅分の時間。
その日が一番短く感じた4駅分だった。
私が電車を降りる前に言った。
「今日で最後だね」
彼は「そうだね」と言った。
「ばいばい」
「ばいばい」
確かこんなような会話が最後の会話だった。
あの日、春なのにまだ肌寒くて私は制服の上にお気に入りのコートを着ていた。
彼は学ランしか着ていなくて寒そうにしていた。
そんなことまで覚えている。
彼のことは好きだった。
それは自分から告白をして付き合いたい好きではなかった。
だけど、もし彼から告白されていたら付き合っていただろう。
2人とも携帯を持っていたし連絡先もしっていた。
連絡を取ろうと思えば取れた。
でも連絡を取り合うような仲ではなかった。
彼と私はバイト終わりに一緒に帰る仲だった。
あれから彼とは会っていない。
無事大学生になり、戻ってこないかと料理長に誘われたので
また同じファミレスでバイトをすることになった。
彼は高校卒業後、進学せず就職すると言っていたので、
案の定彼はバイトをやめていた。
私が辞めた後にキッチンに入った女の先輩が彼のことを好きになって、
彼とデートに行ったらしいが上手くいかなかったと女の先輩本人から聞かされた。
彼と先輩が上手くいってなくて良かったと思ってしまった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?