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ドゥルーズ主義

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読み解くのが難しい哲学者、ドゥルーズに挑戦します。回数を重ねるにつれ、平易な言葉で案内できるようになるかと思いますが、当面の間は悪戦苦闘の痕跡としてお付き合い下さい。
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#美

読書感想#33 【ジル・ドゥルーズ】「カントの批判哲学 (『判断力批判』における諸能力の関係)」

私たちが普段用いる、美という観念は、ある種の客観性や必然性、普遍性を当然のこととして要求しています。しかし元来、美しさとは個別的なものであって、客観的な裏付けを要するものではありません。むしろそれは主観を通じてのみ私たちに作用するのです。それ故、美的判断の客観性には実は概念が伴っておらず、その必然性と普遍性とは、畢竟すれば主観的なものに他ならないといえます。逆にいえば美しさは、規定された概念が介入される毎に、その魅力を失っていくものでもあるのです。換言すれば、美とは概念なき表