日記 帰省

今、私は地方で下宿をしながら学生をしている。年に数回、長期の休みなどに両親のいる実家に帰ってくるのだが、その度に、ずっと実家にいたのでは気づいていないだろう変化に気づくことがある。

一昨日も、大学が夏季休暇中で、9月の初旬に兄が結婚をするというので、その結婚式に出席する意味合いも兼ねて実家に帰ってきたが、まず、玄関前でインターホンが変わっていることに気がついた。今までのクリーム色の筐体に薄紫のボタンがついたものから、黒を基調とした新しい感じのインターホンに変わっていたのだ。新しい機械などが昔から好きな私は、今までであったら、そういった変化を見ると逐一喜んでいたかもしれないが、最近になると、どうも幼い頃から暮らしている家の様相が変わることに、どこか物淋しさのような気持ちを感じるようになってきていたのだった。

いつでも活力があり、滅多に疲れを感じさせることのなかった母親もそうだった。自分でも「昔から体力だけは自慢だった」と言っていた母は、最近すぐに疲れ、仕事中も寝不足などを感じるらしく、「年には勝てないね」と漏らした。こんな母でもやはり老いを感じる時は来るのだなという認識は、私をなんとも言えない気持ちにさせるのだった。

不思議なもので、実家を出たい気持ちもあって地方の大学に進学したのに、今では、たまには実家に帰りたいと思うことが増えてきている。これからも、時々はここに帰ってくるだろうと思う。このどうしようもない懐かしさと寂しさの空気を、また感じに。

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