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真っ当な絵師のためのAIイラストの弱点分析

ライバルと言うのも恐れ多い神絵師が日々増え続ける上に、
AIイラストという新たな刺客が登場した昨今。

しかも何かと問題の多いAI、
もはや一瞬で見抜ける能力を手に入れたり、
アンチAI!という人も多いのでは。

でも、なぜ見抜けるのか?不気味なのか?
何か弱点があるはず。
ここは一旦心を鎮めて、分析してみませんか。

そこにはきっと、
私たちがもっと《魅力的な作品を生み出すヒント》が隠れています。


AIイラストあるある 基本編

どんなにクオリティーが高くても不気味さや違和感を覚えるのは、
結論、そこがAIの弱点だからです。
まずはわかりやすい所から見ていきましょう。

  1. 人体がおかしい

  2. 髪が不自然

  3. 目が左右で違う

  4. 目元が歪んでいる

  5. 〝なのに〟塗りが神

  6. 〝なのに〟人体がリアル


1. 人体がおかしい

一番わかりやすい部分。
具体的には、手が下手、パーツの数が多い(少ない)、耳の書き込みがありえない等です。
精度が上がってきて、違和感が少ないものも増えています。

AI出力したあるあるポイント

2. 髪が不自然

こちらもあるある。
見栄えのためか、髪が大きくなびきがちなのですが、
それが裏目になり、他のパーツや背景に同化していることが多いです。

左は髪とコード、右は髪と服が同化。

3. 目が左右で違う 
4. 目元が歪んでいる

キャラクターにおける目は「命」。
画力関係なく、最後まで目元に試行錯誤する人は多いです。
画力が高い人がここを手抜きすることはほぼないので、違和感を感じてしまうのです。

5. 〝なのに〟塗りが神 
6. 〝なのに〟人体がリアル

〝なのに〟とは、つまり〝違和感があるのに〟です。

ぱっと見美麗なAIイラスト…でも…
ツッコミどころだらけ!

・体のパーツがめちゃくちゃ〝なのに〟描写がリアル
・目が適当〝なのに〟塗りがめちゃくちゃ上手い

これって絵が上手ければ上手いほど、矛盾を感じませんか。
なぜおかしいと感じるのかのメカニズムについては、
AIイラストと人間の違いを詳細に言語化したnoteを公開予定ですので楽しみにお待ちください。


AIイラストあるある 〝感情〟編

AI特有の絶妙な「なんか、嫌かも…」という
なんとも言えない〝感情〟を言語化しました。

  1. 「で、何が言いたいの?」感

  2. 絵から妄想できない

  3. スナップ写真みたい

  4. デフォルメ力がない

1. 「で、何が言いたいの?」感

AIは、膨大な「神絵あるある」ストックからイラストを生成しています。
そのため、以下のような要素を羅列しがちです。
・記号的なありがちモチーフ、定番の形状
・その絵に必要性、必然性がないもの
・雰囲気や見栄えは良いもの

画力や書き込みは優れているので一瞬目が留まったとしても、
芸術的な観点から絵を眺めると無駄だらけに感じるイラストが多いです。

多分テンプレ化されてる同じようなデザイン
同じようなデザイン、表情。生い茂る植物や後ろの金髪は必要?

2. 絵から妄想できない

あなたは神絵を見ていて気づいたらこんな脳内補完や考察したりしませんか?

「描かれてないけど画面外はこうなんだろうな」
「この後〇〇しに行くんだろうな」「〇〇してきた後なのかな」
「この構図やモチーフは××の比喩なのかな」
「ここをこうすることで視線誘導してるんだな」

作者の思惑によって伝えたいことを明確にしたり、
はたまた見る人が好きに妄想するのも、イラストの醍醐味ですよね。

しかし、AIはそんな遊び心を持ち合わせてません(多分)。
だから、モチーフや構図・その他諸々すべてにおいて
関係性、関連性、必然性がない、
=ストーリーやバックボーンがない思考停止するイラストになりがちです。

なんの表情かわからない。なぜ髪を掴まれてるのか?
世界観はあるのにただ棒立ちしてるだけ。何をしてるのか?

3. スナップ写真みたい

AIイラストで活動している人は、必然的に絵が描けず
イラストのクオリティーについて
〝いかに美麗か〟しか考えていない人が多いです。

よって〝作者のこだわりや世界観〟があまりなく
「繊細に描き込まれた風景の中に笑顔で棒立ち(or単純なポーズ)」
といった、スナップ写真のような退屈な絵を生み出しだちです。

無駄に描き込まれたビル群でなんとも言えない表情+棒立ち
明るいキャラデザ+風景の中でなぜか不安げに棒立ち

4. デフォルメ力がない

高クオリティーなAIでは改善されたりしているものの、
まだまだ人間の微妙な匙加減の〝デフォルメ力〟は未熟です。

・文字やロゴが謎言語/破綻が多い
 ┗こんなに高レベルになってきたのに、いまだに謎言語を出力するのがちょっと不思議。

全てを描き込みすぎている
 ┗神絵は見せたい部分にピントを合わせるように描かれていることがほとんどなので、AIくんは隅から隅まで頑張っちゃった感を出しがちです。

・描くべき所を〝描き込んだ上で〟ごまかしている
 ┗ぼかしたり省略してるわけでもないので、妙な気持ち悪さが出ていることが多いです。
 例)服の切り替え部分の整合性、フリル、アシメデザインetc

・人体がリアルすぎて顔だけ浮いている
  ┗昨今の流行り絵柄ではありますが、それを落とし込むのが下手です。
実写写真からも学習してそのまま絵にしたんだろうなーと想像できます。


AIイラストと差別化していく方法

では、ここまでを踏まえてどうしたらAIとは違うものを作れるのか
思いつく限り挙げてみました。

あくまで
「俺はAIには描けないものを描きたいんだ!」
「私はAIイラストじゃできないことをしたいんだ!」
という方向けであることをご理解ください。

絵の内容から差別化

  • 受け取り手が妄想できる絵(伝えたいことの明確化)

  • デザイン、意匠に明確な意味を持たせる(デザインの必然性)

  • 棒立ちにしない(ポーズの必然性)

  • 喜怒哀楽を適当にしない(表情の必然性)

  • 意味のないことをしない(PCで何かしてる絵で、PCの画面に写ってるものがよくわからない 等)

  • 粗密を大事にする(デフォルメ力、構成力)

  • 描き込む=神絵ではないと理解する

  • テンプレ化した流行りに流されない絵柄

活動内容から差別化

  • 漫画で活動する

  • アニメーションで活動する

  • 3Dを利用して破綻の少ない絵にする

  • ゆるキャラ、デフォルメ系で活動する

  • AIイラストが制限された場で活動、仕事をする(skeb、FANBOX、Fantia、企業V関連、企業案件、ソシャゲ等)

  • イラストのノウハウを発信する


おわりに

noteの趣旨から、どうしてもAIに対して
否定的に見える内容が多くなってしまいましたが
今後はAIイラストを作品に応用する方法やネタ出しの仕方、
クリエーターが使える小ネタや絵柄の考察なども投稿していきたいと思います。
是非今後もご覧いただければ幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。


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