WOC2024選考会のこと

終わってみれば

・強化選手(標準1+実績)
・日本ランキング 総合2位(年齢別 総合1位)
・全日本スプリント2023 4位
・WOC2024代表選考レース 1位
・World Ranking 日本人3位

と日本代表の4名に選出されるに相応しい結果になったが、選考レースの2週間前時点ではあまり自信がなかった。一番の理由は「選考レースがパークOだったから」。通る可能性は30%くらいだろうと。
今よりスプリントが遅かった2年前のWOC選考レース(@新潟市街地)では準備段階からずっと「まあ通るでしょ」と思えていたことを考えると、パークOの苦手意識は強い。
だから対策とピーキングで補った。今回の日本代表は対策とピーキングで勝ち取ったものと言って過言ではない。

パークOと市街地スプリント

前々から市街地スプリントは得意で、パークOは苦手な自覚があった。
そしてこの2年で原因に仮説も立てられた。双方求められるものはほぼ同じだが、それぞれの重要度が少しずつ違うのではないかという仮説。(そしてこれはスプリントvs.フォレストでも同じことが言える?)

例の件

インカレ枠配分の件。メンタルの問題で走れなくなるのは初めてだった。丸々1週間トレーニング0。これが選考レースの1か月前。

むらすぷ

「murata sprint league」のこと。
seasonあたり 7~8レース程で昨年度1年間でseason3まで開催された。全日本スプリント並みの難易度のコースが毎週用意され、筑波大生と根本のスプリント競技力底上げに一躍買っている。これがなければ根本の代表選出もなかったかもと思えるもののひとつ。

のびしろくん

筑波大 及川・稲邊・かとけん。急成長中。
つい半年前まで15分レースで1分以上差を付けていたのに、近頃はすぐ後ろまで迫ってきている。特に稲邊にはスプリント10レースしたら2レースくらい負けてしまう。
日本において直近2年間で最もスプリントに向き合い取り組んできたのは自分だと自信を持って言えるが、直近1年間に絞ってみればそれは稲邊ではないだろうか。1年を通して目を見張るものがあった。
とても刺激を貰っているし、彼らが今のレベルで満足しないよう数段上のレベルで居続けたい。

ピーキング

通常鍛錬期は70~85km/週のトレーニング量。だから普段はターゲットレース直前2週間で身体を合わせる。ただ、トレーニングが思うようにこなせていなかったことと、先述の件があったことから今回は3週間以上を調整にあてた。
初の海外レースだったWOC2022を除いて、ターゲットレースのピーキングを外したことがないのは強みかもしれない。

対策

対策は嫌い(n回目)
ただ、今回は今までで一番対策がハマったと思う。対策地図とコースは以下。作図は9割稲邊。根本は残りの1割の作図と対策コース組み。

2週間前から作図に着手してこの精度はすごい

<使用エリア予想>
当日予約が入っていたのはメイン競技場とサブトラックのみ。よって、野球場、テニスコート、投擲場はコースから除外。ストリートバスケエリアも全日本スプリントで渉外リスクから避けられていたエリアのため除外。
メイン競技場 ホームストレート側観客席は部分的に3層構造になることが判明。現行図式で表現できず競技性が下がるため、こちらも除外。

<スタート・フィニッシュ地区予想>
スタートは会場(サブトラック北側ゲート)からでほぼ確定。
フィニッシュは、コース距離と登距離から考えて投擲場付近か野球場の方が候補。投擲場付近が最有力だった。サブトラック付近を使うことは、会場からコースの回しが丸見えになってしまうため想定せず。

<コース予想>
WEはMEより等距離が10mほど少なかったため、MEのドーム付近の回しをカットしたものがおおよそWEコースになると予想。

何度コースを組んでも実走3.4km かつ 綺麗なレッグ線にならなかったため、途中から大きな回しを予想するのは諦め、勝負レッグ予想に切り替えた。(上記対策コースは実走3.2kmしかない)
かなりコースを組むのが苦しいテレインだったが、本番は我々が組んだどのコースよりも良いコースだったと思う。

ストリートビューがほぼなかったので、現地画像は主にYouTubeとInstagramから。
1週間前の対策会

ポンコツ1

秋田行きの車で70km制限の道で120km超出してたら、目の前のバイクが覆面パトカーに捕まってた。
あぶねーーーーー

ポンコツ2

その数時間後に、前泊宿を1週間後の5/9(木)で予約していたことにも気づいた。これがチェックインの2時間前。宿に連絡して、たまたま部屋に空きがあったため当日予約ができた。コンディションのために前泊するのに、宿は快活と訳わからないことになるところだった。
あぶねーーーーー

前夜の夢

選考レース中に頑張れば頑張るほど脚が後ろに回り、後退していく夢。見本のような悪夢。

選考レースでいつもと変えたこと

普段より「“今のレッグのナビゲーション”に割くリソースを下げる」こと。
例えば、→2のレッグで1ポ脱出後、「→2実行のためのマップコンタクト」を一度もしていない。やったのは「1ポ奥に見える2ポの視認」と「2ポまでの最短ルートの現地確認」「→3のルートファインディング&チョイス」のみ。→9も大体同じ。
これが功を奏したか、→3と→10はベストルートを選択でき、共に1位ラップ。

競技場エリアは人工柵によって難易度を上げられるが、コントロール自体は視認しやすい。また、競技場の構造自体は規則的なため、人工柵の位置さえ地図からしっかり読み取れていれば地図を確認せずとも現地のナビゲーションのみでスムーズにプラン実行が可能なはず。
階段が多く、普段よりマップコンタクトできるタイミングが限定されると予想していたことから、ルートファインディング・チョイスの時間を確保するために上記戦略を取った。

選考レースの目標

3位死守。
客観的に見て自分は推薦で有利と思っていたため、1位は狙っていなかった。置きにいく、と言うほどではないが、攻めるレースは必要なかった。
ピーキングの成功と対策のおかげで、2週間前にはまったく自信がなかったのに、レース直前は「いけそう」と思えていた。

レース中

「大ミスをするとしたら競技場エリア」と考えていたため、→11のルートチョイスを終えたあたりで「高確率で3位以内には入れそう」という手応えだった。実際、この時点で2位に9秒差を付けての1位。
だからそれ以降はもう一段慎重に、ミクロなルートチョイスによる数秒のミスは許容し、実行での5秒以上のミスが生まれないよう実行難易度が低いルートを選択した。

これからのこと

今回のWOCがひとつの区切りになる。
2年前にWOC2022を目指し始めた時から、人生の諸々を鑑みて決めていたことで、考えは変わらなかった。

“引退”と言うには違和感があるし、オリエンテーリングから距離を置くわけでも、大会参加頻度が減るわけでもない。ただ、WOC2024以降はトレーニングの優先度を相対的に下げる。
そんな節目の大会に、筑波大同期と自分がオリエンテーリングを始めるきっかけをくれた人と挑めるのは嬉しい。

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