2019.06.05

"毎日少なくとも一回、

何か小さなことを断念しなければ、

毎日は下手に使われ、

翌日も駄目になるおそれがある"

とニーチェは言ったそうな。

この言葉に触れ、ここ数日何か断念したことが自分にあったかを振り返ってみた。

洗濯物が溜まってきたのでそろそろ…、と思いつつ、次作のアルバムに収録される曲たちのミックスをとことん追求することに時間を費やしたいので、断念した。

ライヴが続き、疲労が重なってきたので入浴剤でも買いに行こうと思っていたが、蒸し暑くなってきた気候の気配を感じ取り、自宅近くの数件のコンビニエンスストアでは陳列されておらず。遅い時間に帰宅したため、ドラッグストアも閉まっており、断念した。

入ろう入ろうと思いながらも風呂に入らず寝落ち、資源ゴミ出し、ハードディスク内のデータ整理、早く読んでしまいたいと思いながらも読み掛けのままの本、アベンジャーズ、ビルエヴァンス、グリーンブックなど見たいと思っているけど見れてない映画たち。

断念した理由は怠惰や何か様々であるが、尽きない。

と、こんな感じで小さな断念を日々至るところで無意識にしていることに気が付く。

皆さんはどうだろう?

何一つ断念をしたことがない人はおそらくいないのではないだろうか?

まどろっこしい前振りになってしまったが、我がバンドのギタリストの佐藤ニーチェは昨年の今時期に断念したことがある。

当時制作中であった今秋にリリースされるニューアルバムにバンドメンバーとして参加すること、そして、2019年からのライヴでギタリストとしてステージに立つこと。この2つのことを彼は断念した。

理由については他人である僕の口から説明すべきではない(正確には出来ないのだけど)と思うので詳細は控えさせてもらうが、音楽活動を断念してでも取り組まなければならないことがあったから、だと思う。ここに関しては思い計ってもらえたら有難い。

ただこの断念とは「脱退」ではなく、「一時離脱」という感触に近い。

とはいえ、いつ頃に復帰、再合流、などという約束を設けてるわけでもない。

彼はバンドのことを思いやり、一時期は脱退をすることを考えたようだけど、このバンドでギターを弾いていたいという気持ちが彼の中に存在する以上はそんな決断をして欲しくないと僕は伝えた。

本来ならば彼の言葉を綴り、1つのコメントとして正式に発表するのが通例であるかもしれない。(正式とか通例とかそもそも誰が決めたのか疑問ではある) 彼の不器用さはなかなかなものなのだけれど、今時点で彼の中で言語化する必要はない気がしたので、このような形で発表させてもらった。

不義理だ、と思わせてしまうかもしれないがそんなつもりは一切ないことは理解してもらえたら嬉しい。我々の音楽を愛してくれているあなたに向けて、考え、言葉を綴り、発信している。

「期限は設けない、約束はしない」という状況下で考え、辿りついた選択が彼にとって最良の決断になるであろうことを僕は願っている。

ということで、次のライヴからthe chef cooks meはサポートギタリストを迎えて活動をしていくことになった。

自分にはまだthe chef cooks meのメンバーとしてやりたいことが尽きない。

完成間近な次作を聴いていて、まだまだ腐ってないどころか歳を重ねたからこそ磨かれる部分もあるなと思えたし、ここ数年間の葛藤や苦悩は確実に自分にフィードバックされていることを自ら感じている。

今しかないこの感覚で思い切り活動して行きたいと思っているので、どうかそれを感じ取ってもらえたら嬉しい。

ニーチェもカッコいいバンドじゃなきゃせっかくの悩み甲斐もないだろうし。

それではライヴ会場で。

2019.06.05

simoryo

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