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「Fujii Kaze LOVE ALL ARENA TOUR」アスティとくしま公演2日目レポート&感じたこと。

2月4日、アスティとくしま。「Fujii Kaze LOVE ALL ARENA TOUR 2022-2023」徳島公演2日目が行われた。日が傾き、開演時間が近づくにつれてだんだんと肌寒くなりまだまだ春の訪れが遠いことを実感させるような天候の中行われたショーの一部始終を自分なりに書き記してみる。

(以下、ネタバレを多く含んでいるためお気をつけくださいませ。)






1.ライブレポート 前半

照明が落ち、一気に高まる緊張感。そのど真ん中を掻き分けるように、いや突き進むようにしてその人は現れた。なんと、自転車に乗って。ああスターだな。初っ端から"スター"を遺憾なく発揮してるな。なんてこと思ってたら彼はステージへと移動、グランドピアノへと向かい合った。サンセットが印象的なVTRに引き続いて彼が一曲目に披露したのは「The sun and the moon」。筆舌に尽くし難い歌唱力とピアノパフォーマンスが、一気に会場を神聖な雰囲気で包み込んだのが実感できた。正直この時点で僕はもう、藤井風がそこでピアノを弾き歌っているという事実に感動と震えが止まらなくなっていた。ただ、そんな僕を横目に、彼は精一杯自分の歌声とピアノ一本の音色で歌を届けた。そんな中彼は1度目のMCを挟み、「自由に楽しんでください」と言葉を送ってくれた。これが今思い返すと、このライブのキーワードだったのかもしれない。そして「ガーデン」「ロンリーラプソディ」といった「LOVE ALL SERVE ALL(以下、LASA)」収録曲を立て続けに演奏したあとは、彼のキャリアの初期を代表する楽曲「もうええわ」。ここでは観客が声を出してサビの「もうええわ」というフレーズを歌うシーンもあった。ここでも色んな意味で感慨深くなって、目頭が熱くなった。というのも、この3年間ライブでは一切声が出せなかったわけで。そんな日々がようやく明け始めた今、アーティストとオーディエンスが自らの声を交わし合えている状況だけでもう堪らないのだ。そんな感慨を抱きながら、ライブは5曲目「旅路」へと続く。弾き語りで届けるパートでは最後の曲である。途中歌詞を間違えながらも、愛と希望に満ちた歌声を届けた。その後はこのライブの第2部とも言えるバントセットで届けるパートへと移行する。バンドセット一曲目は「damn」。弾き語りパートとは全く異なる賑やかな雰囲気を纏ったパフォーマンスは「へでもねーよ」へと続く。エネルギッシュなステージに続く曲は「やば。」。彼の透き通る声が、生粋のラブソングが持つエモーショナルな雰囲気を何倍、何十倍にも増幅させながら響いた。そして続いては「HELP EVER HURT NEVER」収録曲を2曲。「優しさ」は音源とは異なったアレンジでしっとりと歌い上げ、「さよならべいべ」では観客も巻き込みながら手振りも混ぜて、会場を存分に盛り上げた。セットリストを見てもらうと分かる通り、そう。もうとんでもない怒涛度合いなのだ。ただ、このライブはまだまだ止まることを知らない。

2.ライブレポート 後半

続いて演奏されるのは「死ぬのがいいわ」。昨年の紅白歌合戦でも歌われた楽曲だ。彼のポテンシャルをこの一瞬だけですべて見せつけるかのよつなピアノアレンジから楽曲本体のパフォーマンスへと移る。昨年アジアを中心にヒットし、藤井風にとっての新しいスタンダードとなったこの楽曲は以前よりも確実に、僕たちの心を揺さぶる純な愛とメッセージに溢れていたように思う。その後も一切ペースを緩めることなくライブは「青春病」「きらり」「燃えよ」「まつり」と続いた。このヒット曲連打はもう度肝抜かれたとかそんなレベルの話ではない。形容できないほどの爆強パワーとグルーヴを纏った曲たちを、曲それぞれの振りも交えて届けてくれた。ライブももう完全なる終盤戦。そこで16曲目に放たれたのは最新楽曲「grace」。「私はあなた、あなたは私」そんな歌詞に響き合うように、心の奥底では同じものを分かち合う僕たちオーディエンスに向けて風は渾身のメッセージを届けた。そしてついに最後の一曲、演奏されたのは彼の運命を大きく切り開いたデビュー曲「何なんw」。実はこの楽曲演奏中のみスマホ等での動画撮影が許可されていたため、周りを見渡すと他の楽曲と同じように楽しむ人々とスマホを掲げ神々しい彼のあと先を記録に残そうとする人々が共存している何とも今どきと言える光景が広がっていた。そしてパフォーマンスはやっぱり原点というか、彼の根底にいつ時も根ざしているR&Bだったりクラシックだったらロックだったりジャズだったり、色んな音楽ジャンルの全てが結実した強大な力を感じるものとなっていた。楽曲自体がもちろんそういう雰囲気を纏った曲ではあるのだけれど、この曲はライブともなるとまた全く違うエネルギーを宿すことが実感できた瞬間でもあった。そしてあっという間にライブは終演。2時間弱、全17曲の熱演だった。全体を見た感想としては、もう圧巻としか言いようがない2時間だった。というか僕が持つ言葉では到底表現できそうも無いエンターテインメントが繰り広げられていた。シンガーとして、ピアニストとして、踊り子として、1人の人間として、、藤井風の魅力をこれまでよりももっと深く多角的に見られたひと時だったのでは無いだろうか。もっともっと語りたいポイントもあるのだが、ここではひとまずできる限りの簡潔さを求めたライブレポートとしての体裁を保つ事としよう。

3.今回のライブを通して

ここで最初のMCの言葉を振り返ってみよう。
「自由に楽しんでください」
蓋を開けてみるとまあ本当にフリーダムな楽しみ方をオーディエンス各々が実行していたような気がする。でもそれは決して一体感や配慮に欠けたものではなく、楽曲やライブパフォーマンスが持つ会場の掌握力が生み出す非常に高尚で、リアルなものだった。きっとこれこそが藤井風、彼自身が望んでいるものなのだろう。思い返せば彼が1年半前、無観客のスタジアム生配信ライブを行った時のタイトルも「Free」だった。当時なぜこのタイトルにしたかを聞かれた藤井風は
「このライブを見てみんなが自由に楽しんでほしい、楽になってほしい」と語っている。このことを見ると、藤井風自身がオーディエンスに望んでいることは一切変わっていないことが見て取れる。決してブレることなく貫いてきた彼の根底にある信念が、結果として私たちオーディエンスをも自然と楽しませたということだ。これぞまさに彼が目指してきた「Free」の真髄なんじゃないだろうか、なんてことを思うライブだった。とにかく圧巻だった。これまで以上に大きなプレッシャーや逡巡を抱えているであろう中でも、自分を信じながら突き進んでいく「藤井風」という伝説の1ページの目撃者になれたという事だけで、胸がいっぱいだ。残しあと少しとなった「LOVE ALL ARENA TOUR」という名の歴史が、無事完走できることを切に願っている。そして彼の行く先に、もっともっと大きくて崇高な未来があるように心より祈っている。藤井風、本当にありがとう。

4. 今回のセットリスト・バンドメンバー

【セットリスト】
1.The sun and the moon
2.ガーデン
3.ロンリーラプソディ
4.もうええわ
5.旅路
6.damn
7.へでもねーよ
8.やば。
9.優しさ
10.さよならべいべ
11.死ぬのがいいわ
12.青春病
13.きらり
14.燃えよ
15.まつり
16.grace
17.何なんw
【バンドメンバー】
(Gt.) TAIKING(Suchmos)
(Ba.) 小林修己
(Dr.) 佐治宣英
(Key.) Yaffle


P.S.

もちろん今日も今日とて彼のMCは絶好調。いきなり「ザ・ビッグ(スーパーマーケット)」のテーマを歌ってみたり、ありえない程の可愛いポーズ発動してみたり、グランドピアノの周りを100回くらいグルグル回ってみたり。なんかもう立ち振る舞いとかそういうMCの様子とかも引っくるめて、本当に「藤井風」って大スターなんだよなと強く思った瞬間でした。そういう部分も本当に好きなポイント。みなさんもきっとそのはず…?

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