ただジュリしずの召喚ネタを書きたかっただけ

200年に1度町に起こる厄災を鎮めるため、祓い師の静香と神使のジュリアのコンビが立ち向かう話。メタメタのメタで既視感のあるネタしかない創作。

ー静香よ、厄災が始まったら彼女を呼びなさい。きっと助けてくれるはずだ。

数年前に亡くなった祖父の言葉を思い出す。

ー厄災は恐ろしい、この街は何度も危機に陥った。だが彼女と力を合わせれば必ず鎮められる。これまでも、そしてこれからもだ。
 今は母屋の外れにある蔵で眠っているから、見つけたら起こしてあげなさい。

祖父の家の敷地内に蔵はある。
小さい頃1度だけ入ったことはあるけどあんまり覚えてないな、と思いながら静香は蔵に足を踏み入れる。

暗くて埃っぽい中をスマホのライトで照らしながら進んでいくと1番奥に探し物は横たわっていた。

「古いギター…」

そこに彼女はいると祖父は言っていた。

ー呪文を唱えるんだ。前に教えた言葉、覚えておるな?これは最上の血を引くお前しか出来ないことじゃ。大丈夫、自分を信じろ静香…

「お祖父様…うん、そうよね。私がやらなきゃ」

屈んだ姿勢でギターに手を触れるとすぅっと息を吸い込み、囁くように静香は唱え始めた。


星降る夜 宇宙(そら)を旅する魂は

彗星になり 闇を射抜く…奏でよ、ハーモニクス!


静香が詠唱を終えた途端、ギターが閃光を放つ。

「きゃあっ!!」

蔵全体を明るくほどの眩しさに静香は思わず目を覆い、姿勢が崩れてそのまま尻餅をついてしまった。

「あたしを呼んだのは、あんたか?」
「えっ…?」

顔を上げると目の前に赤髪の少女がギターを抱えて立っていた。

「あたしを起こしたってことはまた街がピンチってことだろ?それともただのひやかしか?」
「違います!ひやかしなんかで呼びません!」
「ははっ、冗談だよ。あんた面白いな」

軽快に笑う少女に静香は思わずムッとなる。

「なんですかいきなり!バカにしでるんですか!?」「そんなに怒んなって、揶揄って悪かった。あたしの名前はジュリア、そっちは?」
「…静香です」
「静香…良い名前だな」

ジュリアの口元が僅かに緩む。

「あんたの詠唱、すごく心地よかったよ。こんなに魂が震える感覚は久々だ…おかげで良い目覚めになった」

そして静香を見据えてジュリアは続ける

「いいか、厄災はあたし1人では鎮められない。主人(あるじ)の詠唱が無ければロクに戦えないんだ…静香、分かってるよな?あんたは今日からあたしの主人で、厄災を鎮めるには静香の力が必要不可欠だ」
「もちろん。覚悟はできてます…!」

私の先祖もそうやって戦ってきたんだもの、だから私もやり遂げなきゃ…この街で1番強いと語り継がれてきた最上の血を引く祓い師として…!

「心配すんな。静香には祓い師の才能がある、さっき詠唱を聞いた時に確信したよ。それに静香とあたしなら良いコンビになりそうだ、だから…」

ジュリアは静香の前に跪き、静香の手をそっと握る。

「よろしく頼むぜ、主人様」

ニッと不敵な笑みを浮かべるジュリアに圧されそうになりながら静香も手を重ねる。

「こちらこそよろしくお願いします、ジュリアさん!」

200年に1度訪れる災い、祓い師と神使の力無ければ鎮まらない。
だがこの時の2人はまだ知らなかった、この厄災が今まで以上に恐ろしいものであることに…

「うーん“主人様”って呼び方やっぱ堅苦しくないか?年も近いし、シズって呼んでもいい?」
「えっ…別に、お好きにどうぞ」
「じゃあシズで。あたしのことも呼び捨てでいいぜ」
「それはできません」
「なんで?」
「なんでも!いいから早く行きますよ!学校が大変なことになってるんだから…!」

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