上昇気流に乗って

空を飛んでみたいな。そんな気持ちでやってみたかったパラグライダーをした。場所はせっかくだから大好きな浜名湖が見渡せる場所でと三ケ日に行った。

好奇心の赴くまま一歩を踏み出すのはたやすいが、いかんせん準備というものをしない。パラグライダーがどういったものかどうしたらいいか調べもせず身一つで行った。

結局のところ、ライセンスのある先生との2人で飛ぶので事前にすることも、さらには飛ぶときになにかすることもなかった。

事前に姿勢の動作確認だけして車で山へ。

飛ぶ山から下を見渡すと、青々とした木にぽつぽつとみかんのオレンジ。さらに奥には青々とした浜名湖がみえた。

ここでピクニックだけでも気持ちがいいな。本当に風も気持ちよくそう思ったのだが、これには「これからここから飛ぶのか」と急に怖くなった気持ちもあった。高いところは得意ではない。ジェットコースターの心臓が浮く感覚が本当に苦手だ。

高所恐怖症ではあるが、パラグライダーは好奇心が勝り、大丈夫ではないかと変な自信をもとにあまり考えていなかった。

緊張しているが、飛ぶタイミングは自然任せ。風が出てきたタイミングで走り出す。1回目は風が足りず飛ぶまでにはいかず、2回目で飛ぶこととなった。心の準備もできておらず、今日は風が弱いと言っていたからこの2回目も飛ばずに走るだけかなと思っていたらあれよあれよと走る足がつかなくなった。

そんなあっけないフライトをして、初めは下を見るのも怖かった。どこを見ていいものか右前の森ばかりみていた。せっかくの景色タイム、堪能できず。

飛んでいるとき風を全身で生身で感じれた。上昇気流に3回ほどのり、ふわっと浮くのでジェットコースターを思い出し叫んだが、下がるときはふわりふわりとなので心臓は浮かなかった。しかし、浮いたら落ちるというジェットコースター体験を頭は覚えているのでどうしても怖かった。

今までの参加者の中で一番叫んでいたようだ。お恥ずかしい。しかし、叫んでいる割に体をバタバタさせなかったので安全に飛行できたと褒められた。笑

飛行時間は10分ほどだが、大満足だった。あとから思い起こせば、風のなかにいる感覚、いつもは見ないアングルの風景、空に身を任せふわふわ飛ぶ贅沢な時間だった。

ほうきで空を飛びたいと思っていた子供時代の夢を形をかえてかなえたのだ。好きだった耳をすませばのバロンの話に出てくるワンシーンを体験したのだ。

終わったあと足はガクガクブルブル震えたが、怖かったけどまたやりたいなと思った。

やったことないことはやってみたい。経験しなくてはわからないこともある。モットーを変えずにこれからも好奇心の赴くまま行動したい。

帰ってから母に「私、どこが変わったのだと思う?」と聞いた。

なにも変わってないように見えるが、昨日の私は「飛ぶことを知らない私」であり、今日の私は「飛んだことのある私」なのだ。

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