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2023いろいろ

12/20 09:13

――世界は舞台だ。すべての男と女は役者に過ぎぬ。誰にも出があり引っ込みがある。(シェイクスピア)

 関係において、年齢差を強調して持ち込む悪癖がある。後輩には過度に先輩的に振る舞い、先輩には過度に後輩的に振る舞う。ある程度の年齢差があれば、その振る舞いは自然なものとして受け入れられやすい。ただ、フラットな関係が求められる大学生活において、この癖は有用ではない。自分が先輩的/後輩的に振る舞うだけならともかく、そうした態度は相手の先輩的/後輩的態度を引き出してしまう。この関係は保護―被保護の関係で、責任を一方が負うことになる不均衡な関係だ。最近は気をつけようと思っている。

 元日は、あなたの家で過ごした。鍋を作るために一緒に買い出しをした。同棲してるみたいでドキドキした。鍋とおじや(とてもおいしかった)を食べた後、神社に初詣に行った。私はあなたの健やかな一年を必死で祈って、自分のことを祈りそびれた。

恋愛おみくじについてきたうさちゃん

 今年の1月は成人式に行った。高校時代付き合っていた恋人が私の母親と話し込んでいるのをみた瞬間、疲れがどっと出た。とんでもない人だ。でもそんなとんでもない人を愛した私が悪いので、ぐっと我慢する。
 中学のときの大好きな先生に、無事に成人を迎えましたと連絡したところ、お祝いの言葉に加え、結婚&奥さんの出産&育休中という情報がついてきて驚いた。当たり前だけど、関係は一度築かれれば決して消えることはなく、お互い変化しながら続いていくんだと思った。先生、おめでとうございます!

いつき……



 2月にはあなたと湘南に行った。どうしていくことになったのかあまり覚えてないけど、このとき海に行きたかったので、とても楽しかった。リサイクルショップで購入した使い捨てフィルムカメラを持って行った。この日の思い出は、あまりに美しくて他の記憶から少し浮いている。記憶自体が短歌や絵のひとつのようになっているみたい。この感覚が何によるものなのかはわからない。

まだ現像してない
「海蛇と珊瑚」藪内亮輔



 「耳をすませば」を見た。ジブリの恋愛映画。バイト先の先輩に連れて行ってもらえた。ラッキー!正直話の内容はよくわかってなくて、セッションのシーンが楽しそうだな、ってところしか覚えてない。でも、耳をすませばの前に上映された「On Your Mark」がかなりかっこよかったことは鮮明に覚えている。

 「Blue Giant」を見た。ジャズ青春映画。演奏シーンで「音を映像で表現する」ような抽象的なシーンがあり、そこがよかった。とにかく音が良く、原作未履修ながらもかなり楽しめる内容だった。父親からタダでもらったチケットだったので「無料で泣くほど感動出来てお得じゃん♪」とケチ思考……
 その日は「エゴイスト」も見た。愛がテーマで、主人公は性的マイノリティの人だった。テアトル新宿で見た関係もあり、周りには当事者っぽいカップルがいっぱいいた。後半からは劇場にいるみんな号泣し、何となく連帯感。私も席が揺れちゃうくらい泣いた。泣いたというか、ほぼ嗚咽だった。鈴木亮平さんの演技がすごくて、映画が終わった後も余韻が抜けず、新宿駅まで歩きながらまた泣いた。エゴイストを最初に見ていたら、Blue Giantがまともに見られなかったかもしれない。運が良かった。

 Apple Musicいわく、アルバム単位では今年一番聞いたらしい。30曲目requiem phasesがイチオシ。



 3月。Q短歌会の対面追い出し歌会に参加する。対面歌会はやっぱり楽しくて、企画してくれた方、司会の方に感謝している。司会を避け続けているが、誰かがずっと司会をしている状況もよくないと思うので、やらないとな……と思ってる。



 国立近代美術館にあなたと行く。この時は「重要文化財の秘密」という企画展をやっていた。教科書で見たことがある絵がたくさんあって楽しかった。近代美術館に行ったのは初めてで、常設展のMOMATコレクションも楽しめた。「老猿」高村光雲、「漣」福田平八郎がよかった。特に漣は、海を見るたびに思い出している。当時は抽象画って思ってたけど、今考えると写実だったな。

「老猿」高村光雲

漣(福田平八郎筆 昭和七年/絹本白金地著色) 文化遺産オンライン (nii.ac.jp)
写真不可だったので、リンクで。



 4月。国立新美術館に行く。行ったときは「Louvre~愛を描く~」という企画展をやっていた。恋人のいるあなたと一緒に行って、(おまえは既に愛を知っているだろうが……)とちくちくしていた。あなたの写真を取り、あなたの恋人(これもまた私の「あなた」でもある)に送った。せいぜい死ぬまで愛をはぐくむがいい……。「アモルの標的」フランソワ・ブージェはかなりよかったけど、ほかは正直期待していたほどではなかった。それより六本木の桜と、それをとるあなたの方が綺麗で記憶に残っている。

「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)レポート。ブーシェ、ヴァトー、フラゴナールら73点の絵画から、様々な愛の表現をひもとく|Tokyo Art Beat
写真不可だったので、リンクでどうぞ。

影だけで可愛いあなただ

 健康診断で176.5cm(3mm増)を記録。公式です。身長いじりについて、私はウェルカムだけど、たいていの身長いじりは既にされていておもしろくないので素人はやめた方がいい。
 あと、身長の話題ついでに言っておきますが、入学式ですれ違ったとき「おれ、彼女は自分より背が低い人がいいわー」って話し始めたやつ、私は忘れていませんからね……

偏差値でいうと80くらいあるらしい

 ミス・ブランニュー・デイが好き。

 「ロスト・イン・トランスレーションの方法」という展示に参加させていただいた。短歌から絵を、絵から短歌を作る試みで、gallery kingyoさんで開催させていただいた。とても刺激的な経験だった。絵を描く人と話せたのもうれしいし、短歌の人ともお話できたのもうれしかった。会期中一瞬だけ、石を積むことが流行った。そのときに短歌がめちゃくちゃうまい人が、「石なら何でもいいってわけじゃなくて……」って話をしながら石を積んでいて、5つ積み上げられた石が短歌に見えて仕方なかった。
 誘った人が来てくれたのもうれしかった。当時あまり親交の無かった上智詩歌の人も来てくださって、ありがたかった。「あなた」たち、バイト先の人、母親とおばまで来てくれて、正直驚いた。感想もすべて写真にとって保存している。

四個目くらいから結構キツイ


 劇場版名探偵コナン「黒鉄の魚影」をみた。上映後、一緒に見に行ったあなたの方をふと向くと、あなたがボロボロ泣いていて、それを見て私も泣いてしまった。あなたは自分が何で泣いているかわからないと言っていたけど、それがうれしくて、もっと泣いた。スクリーンを出るときも泣きながら出た。これまでは人と映画を見に行くと人の方に関心が行ってしまって、あまり映画に集中できなかった。ましてや泣くなんてとてもできなかったが、この日からは少し変わった気がする。

音響が良かったらしいけど、よくわかんなかった


 インターメディアテクに行った。Twitter(新X)で話題になっていて、行きたいと思いつつも機会を逃していた。中々きれいで、東京駅からも近く便利だった。

”狂気”……?

12/21 11:07

 6月。King Gnuのライブ「closing ceremony」に行く。同級生からライブチケットを譲ってもらい、初めての参戦だった。ファンクラブには入っていないものの、YouTubeに上がっている曲はすべて聞いたことがあったし、第二アルバム「Sympa」はかなり聞き込んでいた。とはいえ、いわゆるにわかである。一番好きな曲はDon’t stop clocks で、数年前から聞いていたので、ライブで聞けてうれしかった。ライブで聞くと「泡」が一番良かった。井口さん(メインボーカル)の声が、声のイデアみたいになっていた。(青葉市子の「アンティーヴと眠って」も、声のイデアっぽいと最近思っている。)
 スタジアムのライブだったので、売店が結構あった。あなたと二人でかき氷とポテトをたべた。

 知り合いのグループ展「水生夢死」にお邪魔する。帷子つらねさん(@_6c2c2f)のポエトリーリーディングがみられる時間帯に合わせて伺った。久保寺美羽さん(@ecosystemchang)が撮った写真に100年さん(@letsfinalanswer)が絵を描き込む試みで、展示のされ方も美しく楽しかった。ポストカードを購入。お三方の今後がますます楽しみだ。
 美術展に行く度に、ポストカードを買うようにしている。3枚。たくさん買いたくなっても、いいものがあんまりなくても3枚買うようにしている。だんだんポストカードが集まってきて、今年はポストカード入れを新しくした。

!祈願!バカ売れ幸せ人生!祈願!



 Thinkn' bout you は今年4番目に聞いた曲だった。いい曲。

 初めて真夜中のお散歩に行く。地元は地方都市なので、田舎ながらも夜真っ暗になるということはない。国道16号線に車が行き交うのをバス停に座りながら見たり、白い紫陽花の写真を撮ったりした。半家出のような形だったが、2時ごろ親から連絡が来て帰った。あなたが心配して、「電話してよ」と連絡してくれていたので、「次はそうする」と返信した。しばらくすると「次はないほうがいいけど」と返信が来た。そうかもしれない。

大きな紫陽花

 神保町に行く。バイト先の先輩がパフェを奢ってくれてうれしかった。万年筆も買っていただいたのに、私はいまだに先輩のお誕生日プレゼントをお返ししてない。
 この日の夜に見た夢を、精神分析ゼミで報告する。みんなで夢を解釈してみよう、という回だったので、いろんな人からいろんな解釈をされた。先生からも一言二言コメントがあったが、やっぱり先生の解釈はすごかった。この時に言われた「愛情についてのアンビバレントな感情」については、今も考え続けている。

惑星みたいな珈琲

 7月。「パプリカ」と「東京ゴットファーザーズ」を見た。目黒シネマは二本立ての映画館で、そうした映画館は初めてだったのでそれだけで楽しかった。初めての経験が好きだ。
 パプリカについては、巷で言われているほど支離滅裂な面白映画という印象は受けなかった。精神分析、特に夢分析とのかかわりが深く、興味深かかった。行進のシーンや、パプリカが捕らわれたシーンが特にかっこよかった。東京ゴットファーザーズも面白かった。ドタバタ時間が過ぎていって、今の映画にはあまりないテンポ感だった気がする。

 あなたとまた海へ行く。由比ガ浜(ターミナルと同じイントネーションが正しいのです。豆知識。)を中心に、お好み焼きを食べたり、パフェをたべたり……。海がわたしたちにとって特別な場所であることは変わらないものの、その特別さが変わっていくのを感じていた。冬に海に行ったときは、追われるような、関係の終わりであるかのような気持ちだった。海は恐ろしいものの象徴だった。しかし、このころからは、海に行くと繰り返しのことを考えている。

サザンの歌でもおなじみ稲村ケ崎
あんがい殺風景なのです

 8月。あなたと国立新美術館に行き、「テート美術館展」「蔡國強 宇宙遊」を鑑賞。久しぶりに会ったので、ひとまず元気そうでほっとした。オラファ―エリアソンの「星屑の素粒子」がかなりよくて、かなり写真を撮った。この美術館は光をテーマにしていたが、そのなかでも一番いい光だった。友達に送るためのポストカードを購入し、新宿の喫茶店で住所と名前を書きこむ。そのあいだ、あなたが信じられないくらいタバコを吸っていて面白かった。共通の友人に選んだポストカードを見せると、「私もこれが良いと思ってた!」と言ってくれて、少しうれしくなる。
 人は光だろうか。私には光に見えて仕方ないのだけど、その見方に問題があることも知っている。それでも、あなた(任意の二人称的な存在)と過ごす時間がどうしようもなく光って見えるのはどうして?私が暗闇に耐えられず、あなたの一部を見ないふりしているから?きみはわたしを加害者と呼びたい?

「星屑の素粒子」オラファ―エリアソン


 「THE FIRST SLAM DUNK」を鑑賞。予習までして、万全の状態で見た。かなり面白かった。まだ見ていない人がいればぜひ見てほしい。ある出来事を、自分の中でどう処理していくかということについて考えた。悲しんで、超えていくことは罪じゃないからね。

 ベタだけど、恋と病熱が好き。

 あなたたちと集まり、3人で花火をする。結構大きなパックを買ったつもりだったのに、一瞬でなくなってしまって悲しかった。それもあってか、花火よりもお昼に食べたサイゼリヤや、日が暮れるまでカラオケで歌ったことが印象深い。サイゼリアで食べた小エビのサラダがおいしかったこと、高校時代に戻ったように話したこと、「名前は片思い」/indigo la EndのMVがよかったこと、「あなた」宇多田ヒカルが私の歌だと言われたこと、あなたが歌った「ボーイフレンド」/aikoがよかったこと……

線香花火は垂直よりも、45度を保った方が長持ちするらしい

『青年期境界例』/成田善弘
 『再生記憶とは、母親が目の前にいない時でも母親の顔をありありと思い浮かべられる能力を言う。(中略)境界例は再認記憶は発達しているが再生記憶が発達しないので、母親の機能を内在化することが困難であるという。』
『境界例の「性的行動化」の対象は実はしばしば母親代理である。同世代の異性に接近しながら、「お母さんがわりを求めている」と口にした例もある。また、境界例が競争相手とみなすのも、必ずしも同性とは限らない。とくに女性の境界例はしばしば男性を競争相手と見なす。男性と女性の区別が無意識的水準ではしばしばあいまいになるのが境界例の一つの特徴と思う。』
 夏休みはたくさん本を読んだ。

 久しぶりにあなたに会う。ブルーベリー狩りをしながら、今私が短歌をしていることや、あなたが美大に通っていることなど、近況を報告し合う。ブルーベリーの旬はもう少し早いらしく、あまり残っていなかったが、暑い中ぐるぐる話しながら畑の中を歩くのは気持ちよかった。

これも惑星っぽい

 9月、焼き氷を食べにあなた会う。焼き氷とは、かき氷にメレンゲとお酒をかけて火をつけて食べる、かき氷のフランベ的な食べ物だ。アルコールはしっかりとんでいるはずなのに二人ともすっかり酔って、帰りの京王線で寝てしまった。お酒に弱いのは損な場面が多いけど、あなたとお揃いなら悪くはない。


 
 今年一番お世話になったラッパー。しゅがふり、頃合いのいい頃に、How many boogieあたりはぜひ聞いてほしい。HIPHOPに慣れてきたらぜひMCバトルも。

 知り合いのグループ展、「よるのおもさのとけのこり」を見に行く。モチーフの選択が興味深く、自分の専攻と引き付けて面白く見た。特にuymℓ(@_marilynuyuy_)さんのやぎさんの絵がほがらかでかわいらしく、今でも現地で撮った写真を見直す。自分に近しい人の活躍は、やっぱりうれしい。

「Don't sleep on me」/uymℓ

 言葉は難しい。「月」と言って、相手も同じように「月」を思い浮かべるのは、相手が月を見たことがあるからだ。私が短歌の中で、2字を埋めるために「冬」と書けば、読み手の中で勝手に「冬」が立ち上がる。豊かなことだと思うけど、それに甘えちゃいけないと思う。
 心理師には、言葉しかない。同じ国家資格でも、弁護士さんには法律があり、お医者さんには薬の処方があり、看護師さんは体に触れることがゆるされている。
 許しを知らない人に許しを、愛を知らない人に愛を、悲しみを知らない人に悲しみを、どうやって伝えればいい?言葉を尽くしても、その言葉が不完全なのだとしたら、私に何ができる?

 9月後半は、プレ卒論の実験計画を立てることに追われていた。NIRSという脳血流を測定する装置を使用すること、他人の視点からものを見ること、芸術、などに関連のある研究をしたいと思っている。アイデアは沸きやすいたちで、着想への苦労はなかったが、先行研究を読み込み、実験計画を立てることがどうにも苦手で、なかなか時間がかかった。


 
 これをみてから、「napori」/vaundyの解像度が上がった。きこえてなかった音が聞こえるようになってうれしかった。

 夏休み期間中は心理の実習も結構あった。どこまで話していいかわからないので、あったということ自体以外はあまり話さないようにしている。

 「BE : the ONE」を立川の映画館で見る。BE:FIRSTというオーディション発の7人組ボーイズグループが、アリーナツアーをするまでのドキュメンタリー。ドキュメンタリーと銘打っている割にはライブ映像が中心だったけど、ライブに行きたくなるという意味ではいい映画だったかも。



 ガルクラを掲げていたとしても結局は「ガール」からの期待を、一身に背負って戦わなければならない。誰かの憧れになるって聞こえはいいけど、本当に恐ろしいことだ。「いる」ことじゃなく「する」ことを評価され続けるのは、つらいことだと思う。



 Awichとかちゃんみなは、「女の子が強くなること」と「男の子のようにふるまうこと」をイコールで結ばないところが良いところだと思う。女の子のままでも強くなれるらしい。

 上智詩歌会の短歌合宿に参加する。2泊3日も大丈夫なのか、と不安になりつつ行ったものの、楽しかった。歌合も自分の攻撃性と親和性が高く、私は楽しかった。勉強会で瀬戸夏子さんを扱わせていただいたのも勉強になったと思う。

 10月。Creepy Nutsとマキシマムザホルモンのツーマンライブを母親と見に行く。母親はCreepy Nutsのファンで、私もにわかながら好きだったので、楽しい時間だった。
 マキシマムザホルモンのライブも面白かった。曲の途中で人が、人の頭の上を転がっていく。文字通り、人が転がる。一人や二人ではない。あれは少なく見積もっても10人規模の人だ。最前列まで転がると、ガードマンのような人が受け止めて、転がっていた人は狂乱が嘘のようにおとなしくライブハウスのはじへはけていく。そしてまたライブハウスの後ろから人によじ登って、転がっていく。ドラムのナヲさんが歌っているときは、つかのまおとなしくなるのが面白い。

 ダンスの動画。「シロクマ」/JABBERLOOPという選曲もいい。
UpClose: Kana-Boon! All Star - Japan (Gold Medalist MegaCrew Division) | HHI's 2019 World Finals (youtube.com)

 猫カフェにあなたと行く。猫が可愛すぎて涙目になるあなたを見ながら猫に餌をやる。そのあとプラネタリウムに行ったものの、睡眠不足がたたって途中で寝落ちしてしまった。終演後立ち上がると、後ろの席にも寝落ちた小さな女の子がいた。妙に愛おしかった。

あまりぼくの親友を泣かせないでください


 11月はBE:FIRSTのライブに行った。どんどん歌が上手くなっていて私もうれしい。安い席にしたが、ステージのすぐ脇の最前列でいい席だった。イチオシのリュウヘイくんが生き生きしていてうれしかった。ある曲で彼がイヤモニを外してお客さんの合唱を聴き、泣いていた。お互い幸せでいい時間だった。

12/24 16:51

 某日、ごはんの約束をしたあなたと連絡が取れなくなる。私を含め4人でご飯の予定だったので、残り2人に連絡が途絶えた旨を連絡し、30分ほど話し合ったのち本人の家に行くことに。ドキドキしながら言葉少なに3人で電車に乗る。本人の家の最寄り駅につくと、連絡が途絶えたあなたから電話が来る。良かった!4人で笑いながらもつ鍋を食べました。
 すごく心配したけど、でも、よく考えたらたった一日連絡が途絶えるなんて、あるあるだ。どう考えても私が心配しすぎた。こういった不安さを抱えられないのは私の弱さだ。

愛を免罪符にしたくないし、もつ鍋は美味しい

 翌日、弟の文化祭に行く。弟はジャグリング部の部長で、最後の公演を見に行った。光る球にひもが付いたもの(ポイと言うらしい)をぐるぐる回していて綺麗だった。弟は食に関する学科のため、クラスの出し物でも本格的にカレーパンを作っていた。これがおいしかった。
 弟はTHE 陽キャで、私が斜に構えてできなかった青春のど真ん中を歩いている。同じ親から生まれたのに不思議だ。

眩しい

 歌える人が踊ること、踊れる人が歌うことに興味がある。体があることはいいことだと思う。私も自分の体を上手に使いたい。
BE:FIRST / Mainstream -Dance Practice- (youtube.com)

 多摩美の芸祭に行く。あなたたち2人と一緒に行くことになった。この日の午前、上智大学で学祭が行われており、サークルのシフトを入れていたため、二人とも上智大学にきてくれた。お迎えだ。かなりうれしかった。芸祭では高校の同級生の展示を見たり、久しぶりに本人に会えたりしてうれしかったKarin Hosono先生(通称かりんP、@KarinHosono)にも会えた。帰り際、「世界を取る」と唐突に一言。完全に虚を突かれて何も返答できず、ちょっと悔しかった。かっこいい。私も頑張りたい。

「arakawa-帰路-」Karin Hosono
グッズ展開もあるのでTwitterチェックしてみてね

 文学フリマに「潜熱」というフリーペーパーを出す。ちょこちょこ感想頂けてうれしかった。データはまだあるので、欲しい方いればお声がけください。

 あなたと熱海旅行へ行く。MOA美術館がかなり良かった。東京の美術館にはない空間の余裕が、鑑賞空間にいい影響を及ぼしていた。日本画の良さにも気が付けた。陶器の後ろに絵を配置するスタイルもかなり良かった。
 二日目に海岸に行ったとき、急に砂で丸を描きたくなって、丸を描いた。色々言いながらも、私が丸を描き続けるのを止めなかったあなたに感謝している。

MOA美術館にて
陶芸の後ろに絵画の展示がある
左の列の手前から二番目が自信作

 12月の話はまだうまくできない。まだ、思い出ではなく「今」のままだ。出会いもあったし、深化した交友もあった。もちろん別れもあったのだろうけど、この年になると決定的な別れは少なくて現時点ではよくわからない。あなたたちと関わってこその私です。いつもありがとう。

 編年体の記録では、どうしても抜け落ちてしまう出来事もある。私はずっと「あなた」を軸に年を記憶しているが、軸から分化された記憶もある。ここに書かなかった記憶も、私の中の大切な記憶で、寧ろ書かれないような出来事に私の幸せの9割はある。お笑いよりも、あなたの些細な話の方が笑えるし、自己啓発本よりもあなたの変なこだわりやポリシーの方が数倍興味深い。だから、心配しないでね。

 そしてショッキングで書けなかったことともある。
 あなたの深い暗さが、ひしひしとこちらに伝わってくる。私に伝わった分だけ、あなたが楽になっていてくれていれば、これ以上に嬉しいことはない。あなたの暗さを照らす光にはなれないかもしれないけど、その暗さを一緒に見つめることはできます。寒くなりましたが、どうかお元気で。また連絡します。ご飯行こう!

 『精神療法の深さ 成田善弘セレクション』/成田善弘
 『転移と逆転移は、依頼者と専門家という役割関係で始まる。「患者―治療者」関係のなかにすこしずつ忍び込み、しだいにその力を増し、やがては治療の舞台中央に躍り出る。患者と治療者は、あたかもオペラの舞踏のパートナーのように、たがいに(無意識的に)協力しつつ転移/逆転移関係を踊る。二人がどういうドラマを演じるかにおのおのが生きていた人生が凝縮され、映し出される。治療者はこの舞踏の一方のパートナーを演じつつ、同時に、自分がどのように振り付けられているかを(意識的に)理解し、その理解を患者に伝えなければならない。理解が共有されると、転移/逆転移関係のドラマは次第に終わり、両者は舞台のソデに引っ込むのである。――世界は舞台だ。すべての男と女は役者に過ぎぬ。誰にも出があり引っ込みがある。(シェイクスピア)』


おまけ