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【過去記事】オーバーペアを持っているのに相手に強く打たれたら?

はじめに

ボードに対しオーバーペアを持っている場合、多くの場合高いエクイティ(現時点での純粋な勝率)があり、一般的には喜ばしいことなのではないでしょうか。

一方で、相手から積極的に仕掛けられた場合、特にプリフロップのアクションで相手のレンジがキャップされていない状態ではやや苦しさを感じることもあると思います。

今回はTwitterにてJhntさん(@j0hnta0)からいただいたシチュエーションを例として取り上げ、プレイラインの解析をGTO+を用いて行っていきます。

1.シチュエーションの説明

頂いたリプライは以下の通りでした。

※誤字や詳細は直接やり取りしてfixしています。

ローボードでオーバーペアを持っていたものの、相手のチェックレイズを受けて降ろされてしまったようです。シチュエーションを図にすると以下のようになります。

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6-MAXのキャッシュゲーム、UTGからopenがあり、HJで99をcallしています。いくつかのプリフロップレンジを確認しましたが、頻度で3bet、call、foldすべて可能なハンドですね。

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フロップが開き、タイトルにもあるようにボードに対するオーバーペアが完成します。かなりローボードですが、UTGはハーフポットのCBを打ってきました。HJはコールし、ターンには6dが落ちます。

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UTGはチェックを選択しました。ここでHJはポットの4~5割でベットしました。

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問題の局面です。UTGはチェックレイズ、これにHJはフォールドしました。

2.プレイラインはGTO的に正しかったのか

今回はjhnt様が使用していた、PokerSnowiePreflopAdvisorのプリフロップレンジを使用していきます。アミューズ等でも隣の方がスマホでチェックしていたり、何かと登場しますので想定レンジとしては申し分ないでしょう。

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6-MAX UTG オープンレンジ(3bb)

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6-MAX HJ vs UTG オープンレイズ

上記レンジを元に、GTO+で解析を行いました。まずはオープンしたUTG側からこのボードを見ていきます。

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やはりUTGのオープンレンジはローボードに対し強くありません。レンジ全体のエクイティは43.19%となっています。そのためチェックの頻度が高くなり、全体の77.9%でチェックを選択します。残りの22.1%でCBを打ちますが、その分布は下記の通りです。

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セット、オーバーペア、トップヒットまではエクイティが50%を越えており、それらから50%ほどの頻度でCB、残りはバックドアフラッシュドロー、ガットショットドローなどで40%程CBを打ちます。頻度は低いですがリニアなレンジでCBを打っている、という表現の仕方で良いかと思います。

つまり良くある、打たれたけど強いんだか弱いんだかはわからん。という状態ですね(笑) (それでも、チェックよりは少し強いレンジかな?ぐらい)

これに対してHJ側を見ていきます。

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相手からCBを打たれたシチュエーションですので、レンジ対レンジのエクイティは48.12%となっています。(尚、チェックレンジを相手にすると59.27%ものエクイティがあります。)

レイズ・コール・フォールドの選択肢から、解析結果は下記の通りです。

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エクイティが48.12%もあり、相手のCBはハーフポットでしたのでフォールドが5.85%と非常に低くなっています。99はコールで良さそうです。

次にターンで6dが落ちた後のシチュエーションです。CBをコールされたUTG側は下記の通りの状態です。

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ナッツは75o,75sですがどちらのレンジにもありません。セカンドナッツは8のセットですがこれはHJ側のレンジに今回入っていません。

そのため、この時点でUTG側はかなりポラライズされたレンジを持つことになります。具体的には、HJのレンジには入っていない88,66やJJ+が高いエクイティを持つ一方で、大半のコンボはAハイやKハイとなってしまっています。下記にUTGのハンドレンジ全体のこのボードでのエクイティディストリビューションを載せます。綺麗にポラライズされていることがわかります。

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これはHJ側には好ましく無い状態です。AKQゲームに代表されるように、片方のレンジが大きくポラライズされており、反対側が実質全てのハンドをブラフキャッチとして扱わないといけない場合、ポラライズしたレンジを持つ側はバリューハンドにブラフハンドを混合して打つことで、常に高いEVを得られるケースがあります。

今回GTO+ではレンジの75%で85~100%pot sizeのベットを推奨しています。高いエクイティを持つハンドほぼ全てと、ブラフで大体2:1程度に混合しベットを打つ戦略です。

実践ではチェックで回ってきましたので、その場合のHJを見ていきましょう。

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約50%でベットし、残りはチェックバックとなります。ベットするハンドはJJ,TTのようなオーバーペアに加え、ミドルヒットやドローも広く混ぜ込みます。5d4dはストレートフラッシュドローでポラライズされた上のハンドとも戦えるため、100%の頻度でベットしていきます。

heroの99はエクイティは75%ありますが、チェックバックも75%と高い割合になっています。これは先述の通りポラライズされたハンドに対しては、相手にベットする機会を極力与えないことがエクイティを実現させるために必要だからだと考えます。

一方でこのボードではA,K,Q,J,Tのどれが落ちても嫌な気持ちですので、打ちたい気持ちもわかる・・・というイタチごっこをソルバーで計算した結果が、上記のような混合戦略となっているようです。

次に50%potbetに対しチェックレイズを打ち返されたシーンです。

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今回の99は70%の頻度でコールし、ブラフキャッチしに行くことになります。ポラライズされた相手から大きく打たれた場合、頻度でブラフキャッチをしに行く、という運用にならざるを得ません。

99は高いエクイティを有していますが、ポラライズされたことによってブラフキャッチとして運用せざるを得ない、ということになります。

また、レイズした場合には強いハンドにはコール(もしくはレイズ)され、弱いハンドには降りられるのがポラライズされた相手に対して苦しい所であり、今回は選択肢に入っていません。

3.まとめ

結論として、今回のプレイラインに大きく間違った点はありません、ただしターンはコールする頻度を入れないと、大きくエクスプロイトされる可能性があります。

同じプレイラインで高い頻度でフォールドしてしまうと、ポラライズした側は高頻度で大きいサイズのベットや、チェックレイズをすることで一方的にEVを稼ぐことができます。

フロップも弱い相手でしたらレイズすることでエクスプロイトできそうですが、タフな相手はキャップされてないレンジから、ポラライズして大きく打ち返してくる可能性もあります。そのため、SDVが低いが相手のAA,KKに勝てる可能性がある、BDFD付きの56sなどがフロップでレイズする選択肢になるでしょうか。

99はかなりのエクイティがありますので、相手が大人しくしているのであれば、じっくりとショーダウンを狙うのも良いプレイラインかと思います。


以上、読んでいただきありがとうございました!!

少しでも面白いと思っていただけたらとっても嬉しいです!!

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