【なぜ周長の短いほうが先行有利なのか】競輪の数学Vol.3
競輪はコースについてあまり深く考えてるファンが少ない
競輪ファンは他の公営競技のファンと比べて、とにかくデータに無頓着であることが多い。コースについての研究ひとつを取り上げても、競馬やボートと比べて明らかに何も研究が進んでいないのだ。
競輪の場合、漠然と「直線が長い・短い」「カントがきつい・ゆるい
」「周長が長い・短い」くらいしか考えられておらず、なおかつ、それも適当な感覚でしか予想に活かされていない。
とりあえず、感覚的なものではなく、理屈と数学で理解を深められるところを掘り下げてみたいと思う。
なぜ周長の短いほうが先行有利なのか
まず一つめは「なぜ周長の短いほうが先行有利なのか」だ。
千葉を除き、競輪場の周長は500,400,333mの3種類(厳密は4種類目として前橋335mがあるが、333mに含めて考える)が存在する。そして、この距離が短ければ短いほど先行有利と言われ、実際に決まり手を集計された単純なデータは競輪場別に公表されており、先行の連対が短走路ほど増えているので、これは正しいことである。
ただ、なぜ?というところだ。短走路の場合、その分、周回数を増やしているため、走行距離はほとんど変わらない。それなのに、先行が有利になる理屈がなんなのかを理解しよう。
実はこれは、500mごとのコーナー数を考えれば答えが出る。333mは1.5倍すると499.5mであり、333mバンクはそもそも正確な周長は333.33mで、1.5倍すると500mになるようになっているのだ。つまり、1周すればコーナーが4つで、1.5周するわけだから、コーナー数も1.5倍になる。
500mバンク=500mあたりコーナー数4
400mバンク=500mあたりコーナー数5
333mバンク=500mあたりコーナー数6
500mあたりで考えると、3つの周長の違いは、コーナー数の違いに置き換えることができるのだ。
そして、コーナーは直線部分と違い、外を回るのは距離ロスや、牽制リスクを伴う部分になる。その数が同じ距離あたりで多くなれば多くなるほど、後方から巻き返す選手にとって、障害が増えているのと同じであるといえるわけだ。
つまり、同じ500mの距離を先行した場合、500バンクでは後続を振り回せるコーナーが4つしかないのに対し、333バンクであれば1.5倍の6つの振り回しチャンスを得ることができるのだ。
次回、さらにバンク形状について別の観点を紹介したいと思う。
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