見出し画像

深谷知広が京王閣で走ってるのに開かない臨時改札口に悲しみを憶えた日

ネット販売のほうが実券販売よりも売れるようになった公営競技の世界では、レース場で観戦するサービスよりも投票還元のほうが喜ばれる時代になりました。

とはいえ、ネットから興味を持ってくれた初心者だって一度はレース場で見てみたいとは思うものだと思うんですよね。そのため、入場観戦全盛のころとは違って、1回の来場を充実させるようにJRAやボート、地方競馬の一部ではプレミアムな席を用意したりと、より深く興味を持ってもらえるように。また、1回の来場でより楽しめるように、また正直にいえば「投票券販売だけじゃなくてサービス料で儲ける」工夫することをサービスとしてゆく流れですが、余裕がないところは真逆になってしまいます。

競輪グランプリを開催していた競輪場なのかここが……京王閣競輪場の今は悲惨としかいいようがありません。ジャンボスタンドを取り壊して以降、場内サービスの縮小に歯止めがかかりません。

駅から徒歩0分、駅から一番近いレース場だったはずの京王閣も、臨時改札口はずっと閉まったまま。いつ再開されるかもわかりませんし、池にあった売店は長らく閉鎖され、廃墟を入り口真横でさらけ出し、写真判定掲示板はアリに喰われ蜘蛛の巣が張り、地面は苔に覆われ、競輪ガイダンスコーナーはろくに使われず、競輪の重要な歴史的資料が見られる競輪資料館も休止してもう何年経つのでしょうか。

先日、久々に京王閣に行きましたがとにかくレース以外の時間が暇でした。ウマ娘の育成が捗るのはいいとして、なにかおもしろいものを持ち込まないと楽しくないのは、競輪グランプリ誘致前の京王閣時代に逆戻りしています。当時もレース以外の時間、予想していないときは文庫本を読んでました。

同じ日に近場のボートレース多摩川で初卸モーターの電気系統に不具合があって全機電気一式交換されるというとても「買えたもんじゃない」開催があったうえ、当日は深谷知広が決勝に出るというF1開催にしては盛り上がる要素満載だったにも関わらず、レース場内はいつもの客層だけ。

既存のお客さんはこれでいいかもしれないですけど、ネットで競輪を知って「東京で深谷が走るんだ」と見に来る人は果たして、レースで感動できてもレース場にまた来たいとは思ってもらえないんじゃないですかね。で、そのうち別の面白いことがあって比べられたときどうなるかを想像するだけで近い将来に不安を感じます。

今日明日の売上のためにはネットまわりのサービスを強くするのは当然のこと。それはどんどんやればいいと思います。ですが、そこで得たファンをより強く長くファンでいてもらうために、レース場に力を入れておかなければいつか捨てられちゃいます。

売上が回復しているときのレース場に対する方向性がこうも違うかと、悲しい気持ちになった京王閣の夜でした。

よろしければサポートお願いいたします。いただいた分は取材などの活動費に充て、今後よりパワーアップした記事や活動をするための原資になります。