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2023年脇本雄太選手の自力時計一覧(3月24日時点)

腰痛・股関節痛のなかで

※前回記事
https://note.com/signalright/n/nbcc2c18198c4

高知G1全日本選抜、別府G2ウィナーズが終わりました。腰と股間節を痛め、「まだ回復していない」と脇本選手自身が正直にコメントしているとおり、結果的に平塚グランプリのときと比べると、成績だけではなく時計も落ちたままです。

2023年の脇本選手時計状況

高知G1時も400バンク換算した値で10秒台相当のラップは1度だけ。最終2角から先に仕掛けた新山に乗り、B線からようやく上を捲りに行った初日の400換算値10.9で、100%自分で叩き出した上がりではありませんでした。

2日目は新山に合わされて飛び、その後のコメントで「踏み方によっては力が入らない」とのこと。準決勝は相手が軽かったため、400換算値11.0-11.6で勝ったものの、2ラップ目にして失速しているなど、完調なら600mをほぼ失速せず駆けられる脇本選手から考えれば不調は明らかでした。

https://www.youtube.com/watch?v=0SndGpnGyu4

決勝で予想する際、もちろんスピードが完調に遠いだけではなく、持続距離面でも完調ではないことをベースに、それでも1ラップなら11.0相当は出せることから狙いはズブ目と守澤強襲目として幸い的中しましたが、逃げたら決勝レベルだと番手が古性だったこともあり「喰われる」というのは容易に想像できたレースでした。

それでも4着に残ってことは評価すべきだと私は考えます。ほぼ別線を完封しかけたわけです。元々の実力が現状他の上位勢と2枚違っているからこそ、不調で差が縮まっても簡単に脇本選手を倒せないのが、今の競輪界の勢力図なのです。

そして復調しているか注目だった別府G2ウィナーズC。ただ前検日時点で「回復に努めたが良くなってない」とこれも正直にコメント。時計を見ると2日目を除き、結局11秒台前半を踏めたのは1ラップのみ。

2日目は10.9-10.9でしたが、6着だったうえ、最終ホームの時点で先頭から15車身も後ろに置かれて、自由に踏めて出した時計。優秀戦だったこともありますが、赤板の加速に置いていかれて、邪魔が入らない1周で出した時計です。並走や立ち回りのなかではどうしても「踏みたいタイミングじゃないけど踏まないといけない」レースが求められます。そこに踏み出しに制限がある脇本選手がまだ完全に対応できていないことと、フリーならば時計は出せることもわかります。

決勝で番手回りだった脇本選手を予想では外しました。しかし結果は2着。松浦選手に内を救われて、並の選手だったら飛ぶところをそのまま外を回り残った感じです。上がり11.8が示すとおり、新山と古性によるペースアップでBからGは消耗戦。脇本選手も不調だったとはいえ番手戦だったことで「低速戦なら余力差で残った」形の2着です。もう一人、外から11.0相当の矢が飛ばせる選手がいたら、全然違った結果だったでしょう。いませんでしたけど。

選手の調子はコメントから拾うものではない

最近、郡司選手が前節調子が悪かったとコメントしたところ、一部競輪界隈が荒れました。選手はもっと脇本選手のように正直にコメントするべきだ、とのことです。

でも、それって変じゃないですか?

脇本選手は他選手と力が2枚違うから調子も正直に語れるんですよ。普通の選手だったら、不調を簡単に明かしてしまったら「調子悪いから長い距離踏めないので、相手の仕掛けはココではないな」とか、そういった戦術の制限を明かすのと一緒で、より勝てなくなるだけです。調子を明かして選手が得することなんてありません

ボートでモーターの調子、競馬で馬の調子、もちろん選手や関係者がコメントはしますが、競馬ファンだって、ボートファンだって、それを100%鵜呑みになんかしません。自分の目で追い切り、展示、パドック、いろいろ見て判断するものです。

競輪だって、ボートと同じ節間競技です。記念特別なら4日間あるわけです。前節のレースをチェック、初日のレースをチェック、2日目のレースを……と続けて選手の調子を見極めるのは「あなた」の仕事です。コメントはあくまでそれの補完でしかありません。

予想するうえで調子を見るのは予想する側の仕事ですよ。

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