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「わからない」を予想に活かす【C競トピックス】

レース評価であえて正直に書く「??」

G2以上のC競では、節間全レース全選手の「競走内容評価」欄を設けています。また、「調」欄では調子をひと目でわかるように印で表現しています。

競走内容評価で競走の詳細まで評価し、調では調子を記号化。

レースの評価には色々あります。良かった点、悪かった点は、予想する側にとってみんな考えますし、語られます。しかし、わからない、という結論を出すのは恥と感じ、あまり語られません

ですが、競輪においては往々にして「わからない」と評価するしかない場合がありえるのです。それは主に、この2パターンです。

  1. 圧倒的実力差のレースで実力が劣る側の選手による大敗

  2. 後方捲り不発ラインのマーク勢

パターン1はわかりやすいですね。たとえれば、脇本雄太選手が、G3記念競輪の二次予選で10点以上差のある選手たちを、ホーム8番手からねじ伏せてしまったときの「対戦相手」側です。

200m1Lp11秒台後半のスピードでいくら全力で懸命に逃げ、脇本を8番手に置けようとも、10.7の脇本がカマシ捲りして、あっという間に叩かれてしまう。そんなレースで果たして、11.7-12.2で逃げたものの、脇本に捲られた先行選手の評価を落とすべきでしょうか? 上げるべきでしょうか?

そうですね、上げても、落としてもいけませんね。余程、時計が悪いとか良いとか、別の面で評価するならともかく、ラップ自体はS級としても普通です。S級中堅・下位クラスの選手が脇本に負けるのは「当然」なのです。その後の負け戦で、この先行選手の評価を、このレースに関しては好調とも不調とも判断できません。

あとはパターン2です。ラインで前を任せた選手が7、8番手に置かれ、なおかつ捲りが出ない、進まない状況で後ろを固めていたマーク選手が大敗したのは、果たしてそのマーク選手のせいでしょうか?

いやいや、前が動けないなら「なんとかしろよ」と思う人もいるでしょう。ですが、そんな絶望的な状況を、自力に転じたり、内を掬って上位に押し上げられるような選手だったら、もうそれは古性や松浦の域なのです。

そんなことができる立回りとタテ脚があるなら、G1を獲っているでしょう。大半の選手は、そうではありません。前を捨てず、後方のままレースを終えるしかないのです。競輪は展開が向くときと、展開が向かないときがあります。展開を作るのは基本前を回る自力選手です。マーク屋は自力が風を避けてくれるかわりに、展開に左右される職業なのです。

展開が2日連続で悪かった選手は「わからない」

これは2024年3月23日・取手G2ウィナーズC3日目のC競内での、3R一般戦紙面です。

2024/3/23
取手G2ウィナーズC3日目3R一般戦

G2での3日目一般戦ということで、当然ですが2走して成績の悪かった選手が集まっています。ですが、先程もとりあげたように、前が後方で展開が悪く、調子の判断ができないレースが2連続で続いた選手もいたりします。この例でいえば、7番車の大森慶一選手がそれでした。

7大森選手の初日2日目の競走内容評価と調

【7大森慶一選手の2日間】
初日の競走内容評価「前がHB6番手で動ず直線もコースなく外後ナリ詰迄」
初日の調「??(調子不明・評価できない)」
2日目の競走内容評価「前ライン7番手で最後方では。展開悪」
2日目の調「??(調子不明・評価できない)」

連日ラインの先頭が後方。さらに初日に至っては直線突こうとしてもコースがなかったため、追込脚も測れない展開でした。2日目も3車ライン3番手で前が7番手で何もしていません。つまり4角最後方です。連日、レースになってませんので、調欄の印も連日「??」とするしかありません。

「調」欄の印の意味

競走内容評価欄は細かい内容チェックですが、「調」欄を見ただけでも「??」が並んでいる7大森慶一選手が、2日間レースになっていないので調子がわからないことがわかります。

そこで、私はこのレースで、3番手回りであった大森選手のアタマ一発をメモに取り上げました。

このレースは一般戦です。2日間成績の悪い選手だらけで、不調や力不足のためここを回ってきた選手だらけのなか、一人だけ「わからない」選手がいるのです。もちろん、展開がまともになっても伸びないかもしれません。でも、すでに伸びなかった選手と比べたら、可能性は残っているのに、評価が一緒なわけです。配当期待値が違います

3番手回りのため、全く人気はありませんでした。7からの2車単は、7-1以外はすべて万車券です。

2車単確定オッズ

そして、実際のレースでは9吉田有希の先行体制を8竹内雄作が叩いたところ、吉田が番手に嵌り、吉田の3番手だった7大森は4角4番手で直線を迎えます。そして直線、大森は突き抜けたのです。

大森のホームラン

捲追込で2松本が迫ってきましたが凌ぎ、7-2は18420円もつきました。4点予想でしたが、明確な不調選手が多かったため、流す相手も絞れていました。(厳密には9吉田は相手に入れてなかったので、嵌ったときには7-9の可能性が上がってしまい、2,3着はタイヤ差でヒヤヒヤしましたが)

「わからない」を狙って万車券

大森選手アタマの配当が大きかった理由は3番手だからというのもありましたが、もう一つ、普通の新聞や出走表を見ていたら「アタマで狙えない」情報しかないからでもありました。

直近4ヶ月で1着0回

そう、大森選手の直近4ヶ月成績欄には、1着0回という、とてもアタマ突き抜けなんて考えられない近況成績が載っていました。普通にデータを見ても、直近の印象を考えても、2,3着なら狙えても、1着で買おうと思わないのは当然なのです。

しかし、繰り返しますが、3日目一般戦は大半の選手が不調か力不足なのです。S級の中堅選手にとって、G2G1は晴れ舞台です。ここに向けて調整している選手も多いでしょう。そこで展開に恵まれず一般戦に乗っていたのだとしたら、可能性に賭けたくなる魅力があるわけです。

そして、2日目まで展開が向かなかったことを大森選手は勝利者コメントでしっかり発言しています。

大森慶一「やっと競走に参加できた感じです。」

¥JOYプロスポーツより
https://www.yen-joy.net/kaisai/race/result/detail/202403/23/20240321/20240323/3

このコメントを読んだ私は、全レース計測、全選手チェックを、毎日何時間もかけてやってきたことを褒めてもらえたような、報われた気持ちになりました。「わかってましたよ」って、大森選手に伝えくなりました

天丼だって狙える

そして、このハナシはこれで終わりではありません。翌日の最終日4R選抜戦で、再び大森選手は活躍します。

最終日4R選抜戦

細かい解説は省きますが、ここでも大森選手は狙えると判断しました。

配当は安いが

3連複12点予想で1550円は安いですが本線なので配分でも厚めを検討できる目。しかもさらに、3=7を押さえで推奨していたため、おまけに2車単2点の790円がダブルで当たりました。大森選手が3着までで留まったおかげです(笑)

ちなみに大森選手はまた前が後方でB9番手でした。しかし、レースレベルが低かったため、3角から内進み3着まで突っ込んでます。展開がもう少しよければアタマまであったでしょう。

G2G1での3日目以降、2日目までで展開が向いてないだけで負け戦を回っている選手を期待値で狙うのは、調子が不明でありながら配当がつくため非常に割のいい穴狙いになります。

そんな「展開が向いていないだけ」を、C競では「競走内容評価」欄(※現状G2以上のみ)や「調」欄で判断できます。ぜひ使ってみて下さい。


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