見た映画を小学生並みの感想で記録する8/帰ってきたヒトラーについて

この記事は2019/9/18にAmebaブログに投稿したブログ内容を転記して作成しています。

ミサカです。最近頑張って色々インプットを継続しています。えらい。
少しコメディチックな作品が見たくなり、僕の弟が結構推していた「帰ってきたヒトラー」を見ました。言葉でのストーリー展開が多いと思い吹き替え版で見ました。以下amazonのページから引用したあらすじ

この映画、笑うと危険。世界中で売れまくり!ベストセラー小説を映画化!ヒトラーが現代にタイムスリップし、人気芸人に!?ギャップに笑い、まっすぐな情熱に惹かれ、正気と狂気の一線を見失う、世にも危険なコメディ!(C)2015 Mythos Film Produktions GmbH & Co. KG Constantin Film Produktion GmbH Claussen & Wöbke & Putz Filmproduktion GmbH

ということで皆さまご存知アドルフ・ヒトラーが現代ドイツにタイムスリップしてしまうトンデモストーリーがこの作品の本筋となる訳です。てな訳でここからあーだこーだ書き連ねていきます。

この作品の良かった所、面白かった所

・立ち上がりからもうワケガワカラナイ
→映画であれドラマであれバラエティであれ、映像の中で最初のシーンというのは非常に重要な役割を持ちます。その映像が何を指し示し何を伝えんとしているのか、それらは往往にして最初のオープニングに詰められていることが多いです。
ですがこの「帰ってきたヒトラー」では、とある男性(見た目からヒトラーと推測できる)がマナー講師の指導を受けるシーンから始まります。この中で男性は「誰かと会う時に誰も敬礼をしてくれない」という悩みを講師に投げかけます。もうワケガワカラナイ。ここで表現しようとしているのは、悩みを持っている男性が見た目からしてヒトラーその人であること、そしてその男性が第二次世界大戦時に使われていたナチス式敬礼について話していることで、彼が1940年頃当時の知識しか保有していないこと、そして現代ドイツで所謂ナチス式敬礼は忌み嫌われているということの3点をほんの数分で指し示しています。全くもって訳が分からないけど、これが思った以上にこの作品の導入としての役割を果たしていて今更ながら驚き。

・ヒトラーの再現度が異常
→これは映画公開当時からずっと言われていることですが、本当に再現度が異常。まるで肖像画から出てきたかのよう。一目で分かるくらいに似てる。この容姿のおかげで最初のシーンの説得力も格段に上がっている。いやほんとすごい。

・映画、ドキュメンタリー、バラエティの画角が使われている
→少し映像制作的な目線からの評価なのですが、この作品では映画(我々が見ている映画、並びに作中に出てくる映画)、ドキュメンタリー(作中でヒトラーが映像屋とドイツ中を回って市民の声を聞きに行くドキュメンタリーが制作される)、バラエティ(ヒトラーが演説をコントとして{本人はいたって本気だが}行う番組)の3つの映像の雰囲気をしっかり演出している所が良かったです。
例えば、前述にあるドキュメンタリー。これは本来なら台本のない物語を追ってそれを映像にするものです。故にカメラはずっと手持ちだし、大体対象の後をつけて撮られます。この作品ではそれがしっかりと現れており、「ドキュメンタリーじゃん」と感じました。さっき調べたのですが、このヒトラーが街の人の声を聞きに行くシーンは実際に市民にインタビューを行い撮影したものらしく、本当のドキュメンタリーでした。そりゃあこんな画になりますわ・・・
また少々ネタバレになるのですが、作中でヒトラーが記した自伝を映画化するというシーンがあるのですが、「我々が見ている映画」と「作中で制作される映画」の画角が酷似して視聴者の錯乱を意図的に招く場面があります。完全にしてやられました。演出がうまい。

・現代風刺としての色味が強くなる後半
→前半はコメディアンとして一世を風靡するヒトラーが描かれますが、その後徐々に彼の人を動かす力が表面上に現れるようになります。最終的に国をも動かそうとする彼の行動は正にナチスドイツ時代の彼の行動と同じです。始めに人からの支持を受けるような行動を取った後にその本当の狙いが表面化する。全く同じ。
ヒトラーの最大の武器は何より「言葉」であるとこの作品を見て改めて感じました。人の興味を引くための間合い、言葉の強弱等々。それら全てが彼の思想を聴衆に浸透させるためのツールとして使われる。正にカリスマと呼ぶに相応しい。しかし彼の思想は危険そのもの。でも彼の言葉を聞いた聴衆はそれが「正義」と感じてしまう。我々も彼のような危険なカリスマにいつ遭遇するか分からない。とてもこわい。

勢いに任せて書いたら結構な分量になってしまった。

個人的にこの作品に対する批判的な意見は無いです。ぱっと浮かんでこないのできっと無いです。コメディ色を強く前面に押し出しながら社会風刺としての側面も併せ持つこの作品は中々に秀逸だったと感じました。シナリオと演出と演技のマッチングが個人的にとても好きです。途中で皆大好き総統閣下シリーズに使われている「ヒトラー~最期の12日間~」のとあるシーンがパロディで登場した時には結構テンション上がりました。(チクショウメーイ!!ダイッキライダ!!)恐らく他にもヒトラーをモチーフとした作品のパロディがあったものと推測されますが、自分はそれらを見ていないため気づくことが出来ませんでした。残念。

おわり。

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