時間割市原礼子(大阪) 時間割が分からなくて 遅刻しそうになって 生徒手帳を探して 時間割が書いてあるページを探しても どこにも書いていなくて どうしよう 数学社会…
告白市原礼子(大阪) あなたに謝らなければいけないことがあります 気がつかなかったこと 気にしなかったこと 叱らなかったこと なぜ どうしてと 問い詰めなかったこと…
透明な生活市原礼子(大阪) 透明な時間が過ぎてゆく そこでの生活は透明で見えない なつかしい声をたよりに想像する よみがえる言霊 言葉の力に繋がれてゆく 窓から見…
らせん階段を君が市原礼子(大阪) らせん階段を君が下りてくる 見上げているわたし うれしさにはじける子どものように笑う 君は父親のように優しくほほ笑む ひな鳥が親鳥…
いつか行きます市原礼子(大阪) いつかこっそり覗きに行きます 君はそう言ってくれた いつか いつかはいつのことなのか まだ来てくれない いつか いつになるかわからない…
リハビリ病棟にて市原礼子(大阪) リハビリ病棟の 南向きの明るい部屋では 失われた機能の再獲得のために リハビリ士たちが日々奮闘している さまざまな理由で放置され…
《掲載順は氏名五十音順》 再生市原礼子(大阪) 明日が今日に変り始める時刻 多くの人が眠っていると思われる時刻に 老嬢は眠れなくて独り起きていた 来し方行く末を想…
********************************** 『Σ 詩ぐ魔』(第2号)目次 一宮川 市原礼子(大阪) 金の卵 …
個人詩誌 5号 本詩誌5号では、詩と音楽との関わり合いについて述べた。今回は余韻について述べたいと思う。 最近「駅ピアノ」や「空港ピアノ」のプログラムをテレビで…
(掲載順は氏名五十音順) 祖母の大根おろし金相野優子(兵庫) わたしの台所の飾り棚の 一番良い場所に飾ってあるアルミのおろし金は 祖母が使っていたもので台所の柱…
令和三年は昨年来のコロナが世界的規模で猛威をふるい、さらに変異種となっては人々を苦しめ不安な事態が続いた。秋口に入ってわが国は幸いにもやや終息の兆しが見えてきた…
Σ詩ぐ魔
2024年3月9日 23:55
時間割市原礼子(大阪)時間割が分からなくて遅刻しそうになって生徒手帳を探して時間割が書いてあるページを探してもどこにも書いていなくてどうしよう数学社会生物たぶんおそるおそる教室の戸を開けると授業は始まっていた何人かでかたまって床に座りなごやかに談笑紙の器に色水ストローやお箸もあるよかった間に合った周りを見回すと生物の矢野先生長身の先生のおだやかな笑顔一時
2023年12月9日 21:10
告白市原礼子(大阪)あなたに謝らなければいけないことがあります気がつかなかったこと気にしなかったこと叱らなかったことなぜ どうしてと問い詰めなかったことあなたに謝らなければいけない 何かの間違いに違いないそんなこと信じられない気がつかないふりをした知らないふりをしたあなたは助けを求めていたのに わたしは逃げていた対峙する勇気がなかったあなたは闇のなかにいたの
2023年9月9日 22:40
透明な生活市原礼子(大阪)透明な時間が過ぎてゆくそこでの生活は透明で見えないなつかしい声をたよりに想像するよみがえる言霊言葉の力に繋がれてゆく窓から見えた公園の光景走り回る子どもをはなれたところで見守る親お弁当を広げている親子ありふれた光景を少しのあいだ並んで見ていた …いいですね…その一言に繋がれたありふれているけれどもかけがえのないそのような日々を誠実に生
2023年6月9日 20:56
らせん階段を君が市原礼子(大阪)らせん階段を君が下りてくる見上げているわたしうれしさにはじける子どものように笑う君は父親のように優しくほほ笑むひな鳥が親鳥の後を追うように盲目的について行きたい 君はらせん階段を上って帰ってゆくわたしはここに残らなければいけない片腕をもがれたアバターだからこころを回復するために訓練が必要痛いけれど我慢すればトレーニングが終了すれば人間に
2023年3月10日 21:20
いつか行きます市原礼子(大阪)いつかこっそり覗きに行きます君はそう言ってくれたいつかいつかはいつのことなのかまだ来てくれないいつかいつになるかわからないけどこっそり行きます 君を待っているとずんずん伸びてくる青い芽君の優しい声が聞こえてくるいつか行きます 昔話にあるお姫様は逃げる男を追いかけて大蛇に変身大蛇は恋しい男に巻きついてもろともに焼死そうなってもいい
2022年12月9日 19:56
リハビリ病棟にて市原礼子(大阪)リハビリ病棟の南向きの明るい部屋では失われた機能の再獲得のためにリハビリ士たちが日々奮闘している さまざまな理由で放置され一本の木偶の棒となった私の右腕は長時間の手術を経てしかるべき角度に固定されリ・ハビリスが始まった 折れ曲がった棒のような私の腕の機能を回復するためリハビリ士の指は私の固まった筋肉をほぐしてゆく 力を抜いて
2022年9月10日 00:08
《掲載順は氏名五十音順》再生市原礼子(大阪)明日が今日に変り始める時刻多くの人が眠っていると思われる時刻に老嬢は眠れなくて独り起きていた来し方行く末を想うと眠れなくなるのだ誰かと話したくなった迷った末に若い友人に電話をかけた 若い友人は若いと言っても古希を過ぎていたが昼は出歩き夜は疲れて眠るという普通の生活者深夜の電話に驚いて飛び起きたのが間違いの元深夜の電話には出るべ
2022年6月10日 18:09
**********************************『Σ 詩ぐ魔』(第2号)目次一宮川 市原礼子(大阪)金の卵 大倉 元(奈良)旅に惹かれて 和比古(兵庫)ものものしい「者」たち 熊井三郎(奈良)壁の中に立っている 佐相憲一(東京)テレビが来た日 阪井達生(大阪) 玄関 高丸もと子(大阪)
2022年6月8日 23:12
個人詩誌 5号本詩誌5号では、詩と音楽との関わり合いについて述べた。今回は余韻について述べたいと思う。最近「駅ピアノ」や「空港ピアノ」のプログラムをテレビで楽しんでいる。必ずしもプロでない人が駅、空港などに設置されているピアノを弾く番組である。歌を伴うこともある。心に沁みるメロディーが伝わり、喜びも悲しみも音符となって心に響く。そこには深みのある人生哀歌が詠われている。過ぎ去りしときを思い
2022年3月10日 00:00
(掲載順は氏名五十音順)祖母の大根おろし金相野優子(兵庫)わたしの台所の飾り棚の一番良い場所に飾ってあるアルミのおろし金は祖母が使っていたもので台所の柱神だ小さい時には早く目が覚めて台所に行くといつも祖母が居たものだったいまも朝早く目覚めてうす暗い台所に入るとき灯りをつけるまでのほんの短い時間にふと祖母の姿が見えることがあるいつもわたしのお弁当を作ってくれて
2022年2月26日 12:03
令和三年は昨年来のコロナが世界的規模で猛威をふるい、さらに変異種となっては人々を苦しめ不安な事態が続いた。秋口に入ってわが国は幸いにもやや終息の兆しが見えてきたが、新たなオミクロン株の出現と急速な拡大に不安は去らない。この年干支は丑、奇しくも発起人三人(グループ牛)は古希を過ぎての年男である。年の瀬にして新たな電子媒体に基づいた詩誌の発行を試みる。誌名は「詩ぐ魔」、∑(シグマ)に文字のイメージ