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Divided Pickupの制作(11)
●更に改良する
前回(10)で一応完成という形にはなったが、一つだけ気になる点があった。下側の弦(1弦〜5弦)のコイルが1mm強、弦の中心からずれている。機能的には問題ないので気にする事もないのだが、何となくスッキリしない。ただ前回の工作、細い線のハンダ付けの苦労を考えると腰が重い。できるだけハンダ付けを楽にするために何か方法はないかと、細い線を長く取り回さないようにプリント基板を活用することを考えた。問題は基板を中に収めた時に、その厚さの分のコイルを少なくしないといけないという点である。前回のコイルは一つで3,000巻きだったが、それよりも小さくして弦の振動を捉えることができるのか?と考えたが、実はその3,000という数字も何か根拠があるわけではない。ひょっとしたらもっと小さくても良いのではないか?試しに1,000巻で実験してみる。厚さ3mmほどのボビンを作り、1,000巻のコイルを作ってみた。
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小さいユニバーサル基板に取り付けて、振動を捉えるかテストした。結果、十分使えることが判明した。小さい(薄い)コイルで行けるのであれば、プリント基板をベースにして極力短いハンダ付けのみで配線することができる。10mmほどの幅に10個のコイルの配線をするので線も細く、両面を使わなくてはならないので手作業で作るのは困難である。前回も利用したKiCadとSeeedStudioを使う。必要なのは1枚だけだが最低5枚からなので多すぎるが、失敗することも考えられるので5枚あれば安心である。2週間ほどで届いたが、当然ながら仕上がりは完璧である。
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●コイルを巻く
10個のコイルを巻き直す。ボビン自体は3mmほどにした。1,000回巻くと少しボビンからはみ出るくらいになる。何とか基板に取り付けて、導通テストする。全てのコイルの導通を確認し、新しく作り直したシリコン型にセットする。レジンを充填し、紫外線ランプで硬化する。ここまでは問題なし。型からはずし、再度導通のチェック。あれ?一本だけ繋がってない?ありゃ〜どこかで引っ張って切れちまったか。全ては樹脂の中なので修復は不可。振り出しに戻る。
●メゲずに次、次
丁度コイル巻き機の方もモーターを改良したところだった。その試運転も兼ねてやり直す。コイルの高さを揃えるために小さな治具も作り、ボビンも丁寧に作る。今回は高さを4.5mmほどにした。これにより同じ1,000巻きでも細めになる。ボビンからはみ出ない分、基板での固定が楽になる。針に穴に糸を通すように基板の小さい穴に銅線を通し、ハンダ付けの前にボビンを接着剤で軽く固定する。裏返して線をハンダ付け、即座に導通を確認する。これを10回繰り返す。
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コイルの確認をしたら、裏面ユニットに接続するピンヘッドを「ロ」の字に組んでハンダ付けする。裏面ユニットの方も少し手を加えた。前に別のStick用に作ったものは音を拾うコイルも一つのピックアップに入れたので、13芯のケーブルに同時に通せたが、今回のものは別なのでケーブルが2本になってしまう。そこで本体のピックアップの出力を短いケーブルで裏面ユニットに繋いで、内部で13芯ケーブルに入れることにした。簡単な改造だが、これでケーブルを一本化できる。
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●樹脂で固める
各ピンで導通を確認したので、最終工程に入る。コイル付きの基板をアクリル板にネジで固定する。このネジはシリコン型内のコイルの位置を正しい位置に固定するためでもある。シリコン型にもネジの先が刺さる穴が空いている。シリコンの型は二回目だが、まだ使えそうだ。型の原型は3Dプリンタで作ったもの。樹脂は光硬化型のクリアなレジンを使うが、硬化後もベタつきが無く、流動性が悪いという点以外は使い勝手は良い。
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できるだけ泡が入らないようにするのだが、どうしても入ってしまう。この辺りは何か工夫が必要だ。泡が入っても、機能的には問題ないのでこのまま進める。型から外し、バリを取ってからヤスリで形を整える。ネジを抜いた穴にはレジンが入り込んだ雌ネジが出来ているので、3mmのドリルの刃で少し削る。削った穴には直径3mmのネオジム磁石を挿し込む。
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最後に磁石の固定も兼ねて表面に樹脂を薄く塗布して紫外線で硬化させる。コイルユニットと裏面ユニットの間のパーツは色を変えてゴールドにした。全体が青っぽいのでゴールドと合わせて何となくウクライナカラーにした。
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楽器に装着して確かめる。コイルが小さい分、少しゲインを上げる必要があるが大きな問題ではない。音の信号も問題無く出ている。基板はあと3枚あるので壊れたりしても、まだ作れる。あとは映像化するソフトウェアの開発だ。こちらも少しずつ進めていく。
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