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あ・い・う・えっせい

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#エッセイ部門

アンパンマン、いつもあなたのそばに

 アンパンマンよりバイキンマンが好きだった。理由は黒が好きだから。好きな色というのはその時々でけっこう変わるものである。ナルトにハマっていた頃はオレンジが好きだったし、マトリックスを見終わったあとは緑が気に入っていた。しかし、黒という色は、私が本能的に好んだ色という点で特別である(ような気がする)。  黒という色は人間が認知しやすい色であるらしい。いかなる言語であっても黒と白は区別する。なんなら、黒と白(あるいは「暗い色」と「明るい色」)しか色彩を表す単語が存在しない言語も

折り紙おりおりおりおりおり

 「最初に〇〇した人はすごい」という話で小一時間盛り上がることがある。ナマコを最初に食べた人とか、コンニャクを最初にこしらえた人とか、色々挙げられるだろう。そんな中で、折り紙とあやとりを最初に発明した人も見上げたものである。見上げても見えないくらいで、首が痛い。  折り紙は日本人が子供の頃から親しむ遊びで、私も自慢じゃないが、折り鶴程度なら今でも折ることができる。本当に自慢にならないのも珍しい。あやとりも、「ゴムゴム」とか「飛行機」とかが作れるオールスターみたいなものであれ

不思議不可思議、首領パッチ

 ことばって不思議である。私が初めてことばの魅力に気づかされたのは、中学の国語の授業で、「日本語の動詞はウ段で終わる」ということを習ったときであった。食べる、飲む、打つ、書く……。確かにその通りである。そのとき、三重奏の衝撃が私に襲いかかってきた。  第一の衝撃は、動詞はウ段で終わるという美しい法則が日本語に存在しているという事実であった。少なくとも現代日本語において、そこに例外はない。それはピタゴラスの定理を知った衝撃に似ていた。しかし、その法則が普段何気なく使っている母