主宰・演出 大橋一哉より②

 お久しぶりです。「私画派」主宰の大橋一哉です。前回投稿から2か月が経ちましたね…

 この2か月間は、丸々夏休みだったのですが、戯曲の構成・執筆と展示作品の創作、着々と進む舞台美術・宣伝美術の準備作業と映画館や銭湯に行く日々でした。ただメインは戯曲なので、何時も戯曲のことばっか考えてました…(笑)夏らしいことはほとんどできてない、皆さんはどんな感じでしたか?

 唯一、息抜きやったのが、「私画派」の仲間と遊んだ日くらいで。演劇って、稽古とか作業ばっかりで以外と仲間となんも考えずに遊ぶ時間がないなと常々思ってて、「私画派」では、月一集まって遊ぶという勝手なルールを僕が立ち上げ当初作りました(笑)7、8、9月とただただ飲んだりスイカ割りしたり展示会行ってみたり。本当は、京都とか行ってキャンプとか考えてたけどコロナでおじゃんでした。

 中でも、9月頭に仲間と訪れた国立国際美術館で開催中の「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」(https://www.nmao.go.jp/exhibition/2020/danh_vo.html)は、素晴らしかったです。同時開催の「コレクション展」も◎◎! 私が、ヤンヴォ―に興味を持った理由はというと、私と同じく作品の本質に個人の実体(については①をみてみてね)を持っているところでした。 

ホームページより-ヤン・ヴォーは、彼自身の経験、家族の歴史、社会的あるいは政治的な歴史に彩られたレディ・メイドの物、写真や手紙などの蒐集品、また彼の周辺の大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化します。それらの作品を通じ、アイデンティティ、権力、歴史、覇権主義、エロティシズムといったテーマが直接的にあるいは比喩的に顕れ、鑑賞者にも一つの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘います。

ホームページの紹介にある通り、展示作品はヤンヴォ―の経験を作品化した物や記憶の断片物、父親の遺品とか、セントラル・ロトンダ/ウィンターガーデン(ホテル?)に飾られていた19世紀末のシャンデリアが輸送用パレットとクレートに組み合わってできたオブジェとか…(笑)特に私が好きなのは、「もし明日ヒマラヤ山脈に登るなら」という作品でした(是非観て)

私は1999年大阪・堺生まれ、ヤンヴォ―は1975年ベトナム・バリア生まれ、似通った部分も馴染み深さもない遠いひと。私は、作品が表象する社会性には興味がなく、遠いひとの作品から彼への親しみを覚えた。なぜかわからない。個人の実体は尊いけど淡い儚いです。なんでやろうか。。ラベルや言葉、立場や形式で人が語られる世の中に反発したい。もっとちゃう部分で人を感じたい、まだ私にとっての個人の実体に対する必要性は説かれへんけど、説かんでもええけど、いつかは言葉にしたい。ヤンヴォ―、遠い人、は私の中にいる。感動した。

 来月には、「生き物展」に行く予定です!それに合わせて競馬にも行こうと計画中である🐎

 また、昨年までお世話になっていた舞台表現プロジェクトSTEPのOBの方がサポートメンバーとして入ってくれたり嬉しい2か月だった。

 

 さて、2か月間戯曲を書いてきた。といっても書き始めることができたのは、8月末…劇作家すごいよ。今日、9月20日。10月から稽古です!ちょっとピンチなのが本音です・・・

作品修正と追加項目

①修正

 私は前回①で観客(1個人)を作品の一部にすべく展示空間での演劇に至ったと書いた。しかしながら、この2か月で考えは変わった。今回の私の主題は、個人の実体を芸術化する試みであり、それに集中した作りにしたいと考えているからである。しかしながら、観客(1個人)を作品の一部にすることも、私の主題には変わりない。結果として、観客を巻き込む演出ができる場合もあるしそれは、私にもまだわからない。私は展示作品や空間を場としての機能としか考えてなかった(「私」をテーマに展示作品を手掛けるがパフォーマンスと交わることはない)が考えが未熟だった。

そうではなく、展示作品と演劇作品が共通テーマのもとにリンクしたり・全く異なる形を表象する作品(合致・交差・平行し合う)にしようと考えた。共通の私的テーマに沿って俳優は演劇を用いて言葉・身体で提示し、作品創作者は絵や写真・造形の展示作品を用いてイメージを独立した形で提示する。1つの共通テーマを演劇と展示で多面的に扱い、表現する。

劇作の詳細は明記できないが、劇作と展示の共通テーマはここに記しておきます。(当日パンフレットにも記載予定)

①「私の追憶、想像」

②「自己認識」

③「私のからだ」

④「私のからだ2」

⑤「コロナ禍の私について」

⑥「私の存在について」


②追加項目

 2月に行う「私画派」旗揚げ公演は、展示仕様は同様に2タイプの作品を行うことになりました!

「タイプA」(タイトル未定)作・演出 大橋一哉

キャスト:大橋一哉、川口海渡 大橋一哉と川口海渡による私演劇的パフォーマンス。上演時間60分を予定。

「タイプB」(タイトル未定)作・演出 大橋一哉

キャスト:大橋一哉 語り:田原愛華 メイク:比屋根星花 
-私からもっとも離れて、私にもっとも近づいて- 大橋一哉が「金満里身体表現研究所」で学んでいる身体表現を活かし、「私」からもっとも離れて「私」にもっとも近づいたダンスパフォーマンス。語りでは、展示作品へ贈呈する詩を送る。言葉と身体の反発のセッション。上演時間30分を予定。

どちらも15人~20人の観客を想定しています。


「私画派」のこれから

 10月からは、「タイプA」作品の稽古を本格的に始めます。10月からは同時に俳優部のnote投稿も始まります!そして、11月頭には2月の公演日がお伝えできる予定となっております。現在、宣伝美術の面々もフライヤー作成に尽力しているところです。

追手門学院大学の学生と芸術に興味のある方には、特にご覧になって頂きたい。そのためしっかり宣伝してまいります!


~おすすめの本と映画をおすそわけ~

①声めぐり/齋藤陽道(エッセイ)

手話、抱擁、沈黙......ひとつひとつ向き合えばすべてが声になる。聾する身体をもつ写真家が、声と世界を取り戻すまでの珠玉のエッセイ。

私が「タイプA」私演劇パフォーマンスの中の3つ目のテーマ「私のからだ」の演出が思いついたキッカケの本。聴こえるだけが声じゃなく、声はもっと身近に散らばってるということを教えてくれた。読んでみてください。


②セノーテ/小田香監督(映画)

https://www.youtube.com/watch?v=3jyuu6XqrW8

「鉱 ARAGANE」で長編デビューを飾り、世界に羽ばたく若い才能のために2020年に設立された大島渚賞の第1回受賞者となった小田香監督が、メキシコ・ユカタン半島洞窟内にある泉セノーテの神秘を追ったドキュメンタリー。

大阪では、10月31日公開です。私も楽しみです。小田さんはミューズという作品の創作や油と水彩でナイフスケッチも行ってます。Twitterおすすめです!



〇noteの投稿は主宰・大橋からのみならず、担当部署が毎月20日に配信します。他の投稿も是非、ご覧になってください。

〇拙い文章でしたが、読んでいただきありがとうございます。もし、ご意見やご指摘ございましたら、コメントお寄せください・・・!








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