YouTube 最強投手を数字で探る〜スライダー編〜

当企画最初の球種は、恐らく世界で最も多くの投手が投げる変化球であるスライダー。投げ方が速球に近く、変化量と球速を両立した球種は、やはり誰の目にも魅力的に映るのだろう。


さて、右投手のYouTube最強投手は簡単に見付かった。


Chaz Roe(レイズ)

対象となったスライダーの変化量上位をほぼ独占した右腕。MLBの全投球の平均が12cm(縦系のスライダーも含んでいるが)のところ、平均58cm、最大72cmの変化量はもはや異常値と言って差し支えないだろう。

実際にスライダーの被打率等の数字は非常に優秀で、対右のスペシャリストとして活躍している。


一方、縦部門も簡単に決した。

Trent Thornton(ブルージェイズ) 

落差は平均−9cm(無回転のものより9cm浮くという意味)のところ、20.5cm、最大では48.1cm。一般的なカーブと同等の落差がある。

80マイル前後のボールが多く、一般的なスライダーより遅いのも特徴である。これでは、高速カーブと認識されてもおかしくはないのだろうが、73マイル程度のさらに遅いカーブも投げるようだ。

この2投手とも、スライダーの回転数が3000回転程度で、フォーシームも2400回転程度と、比較的回転数が多いところが特徴として挙げられる。


さて、次は左投手。

ここは混戦。

横変化の大きい順に並べると…

Brad Hand(パドレス) 

Tyler Lyons(ヤンキース)

Rich Hill(ドジャース※2019) 

Daniel Zamora(メッツ)

Chris Sale(レッドソックス) 

が挙がった。なかなか優劣をつけ難いところであるが、ここはDaniel Zamoraを選出したい。

MLBでまだ33試合しか登板していない若手で、全投球の7割をスライダーが占める珍しいタイプ。やはりこのZamoraも、先の右投手編の2投手同様に、速球より10マイル程度遅く、回転数の多いスライダーを投げている。

因みに、変化量は平均48cm、最大61cmと当然のことながら平均を大きく外れている。

カーブの印象が強いRich Hillも大きなスライダーを投げているのは少し意外だった。


この中で、一人大賞を決めるとするならば、やはりChaz Roeになるだろう。

やはり数字の大きさがその凄さと異常性を物語っている。

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