【ATL】 Spencer Striderの投球を掘り下げる①

皆様ご無沙汰しております…。かしです。
このnote企画の話を頂いた頃は業務内容が変わり、他人様にお見せするまとまった文章を練る時間、書く時間が取れず、そうこうしているうちにシーズンも終盤に差し掛かってきました。

6月1日の時点で10.5G差あった首位メッツとの差もみるみるうちに縮まり、ワイルドカードでのポストシーズン進出は確実と言っていい状態にあると見ています。
私自身、今年の地区優勝はメッツと予想していたのですが、ここまで来たら今年も優勝が見たいですね。
今日のような試合を見ると、難しいかなと思ってしまいますし、優勝チームに相応しいのか?という疑問が出てきますが、ひとまずファンとして勝利を願っています。

https://note.com/yadi_cardinals/n/n28cff13166a3?magazine_key=mb69d99dce9bd#DSQYO


ここまでの戦いを見ると、Albiesの故障離脱、OzunaRosario、の不振、復帰後どうも調子が上がっていないアクーニャなど、野手陣に誤算が多い印象です。
一方の投手陣では、Jansenの衰えがやはり気になるものの、現時点で17勝を挙げて、とうとう飛躍した感のあるWright、球団記録を塗り替える1試合16奪三振を記録したStriderなど、明るい話題も少なくありません。

今回は、Spencer Striderのすごさ、魅力について掘り下げてみようと思います。例によってですが、Baseball Savantにて提供されているデータを使用しています。



どんな選手?

183㎝89㎏と、日本人とそう変わらない体格から、最速164.8Km/hの4シームとスライダー、チェンジアップを投げ込む速球派の先発投手です。
…これはもう皆さん知ってますよね、きっと。
4シームの投球割合67.2%(9/12現在)は、先発投手として最多の数字です。
全体でも18位になり、2ピッチのクローザーであるCraig Kimbrelが68.5%なので、その特異性がお分かりいただけるのではないかと思います。

一言で言えば、クローザーが初回から入れ替わり立ち替わり投げているという感じでしょうか。

球種別の成績。すごい。

球質に目を移すと…(MLB平均と比較していきます。)
4シーム
特に平均を大きく逸脱した球質ではありません。
圧倒的なスピードに支えられた好成績と考えていいのではないでしょうか。
実際、映像を見ると「平凡」なんて印象はなかなか持てませんし、成績を見ても図抜けています。
今季4シームを1000球以上投げた投手では、平均球速が2位。
1位はHunter Greeneで、球種も平均球速もほぼ同じような値を示しています。
それでも、成績には大きな開きがあります…と、これはまた別の機会(シーズン終了後にでも)考えたいと思います。

GreeneとStriderの球速比較。非常に似ている。
4シームの比較。速い。ホップ量は意外と普通。

スライダー
こちらもおおよそ平均的な数値が出てきました。
とはいえ、4シームの球速が6Km/hほど速いので、球速差となると、他の投手より大きくなるというところに特徴があると考えています。
特筆すべきは、奪空振り率(Whiff%)が51%に達していること。バットを振られたところで、半分しか当たらないということです。当たらないボール、そりゃ打てるはずもなく、1割程度の被打率に落ち着くのも納得です。

スライダーの比較。4シームのスピードを考えると意外と遅い。

チェンジアップ

平均的なチェンジアップよりやや速いのでは?と見えるこちらも、球速を4シームに対する比率で表すと、どちらも91%になります。
平均からずれているとしたら、落差の小ささでしょうか。
とはいえ、こちらは被打率が1割を切っており、打たれた長打も僅かに一本。攻略困難な魔球と言っては言い過ぎでしょうか。

チェンジアップの比較。やや落差が小さい。

で、結局何がすごいの?

球質を見ると、「ストレートが速いだけの若手」に見えてしまうかもしれない。本当にすごいのはたぶんここでは…というのがエクステンション
日本語で言うと、球持ちっていうやつでしょうか。プレートよりどれだけ前でボールをリリースしているか、という数字です。
こちらが211cm。MLB平均が190cmなので、通常より20cm近いところからボールが飛んでくるということになります。
…。20cmで何が変わるの?となると…。
158Km/hの速球が16.33mを飛ぶ時間(あくまで単純計算ですが)はおよそ0.37秒
152Km/hの速球が16.54mを飛ぶ時間はおよそ0.39秒
Striderの方が0.02秒、速くホームに到達する…という見立てです。
平均から乖離してるからすごいんじゃないか、という推測の域を出ないですが、おそらくここに凄さがあるのではないかと考えています。

今回一回でどうにかまとめようと思っていましたが、これだ!と納得するに至らなかったので、次回以降に持ち越したいと思います。

今のところは、語るより見た方が手っ取り早いので、これを見ながら一緒に考えてくださる方がいらっしゃれば議論しましょう…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?