乙倉ちゃんまるわかりガイド ~①:N実装からスターティングデイズまで~

はじめに

皆さんどうもこんにちは、Sidewinderと申します。
さて、今回の記事は2023年3月17日に6周目SSRが実装され、今(私の中で)最もアツいアイドル・乙倉悠貴のデレステでの歴史について、私なりの考察を交えながら紹介していこう、というものになります。

とはいえ、デレステに乙倉ちゃんが実装されてから早や7年近くが経っており、その間のコミュの数もまた膨大です。
よって、今回はそれぞれのSSR実装のタイミングなどで記事をいくつかに分割し、更にそれぞれを時系列順に見ていく、という形で考察を進めていきます。
例えば今回の場合だとタイトルにもあるように、乙倉ちゃんNが実装されてから1周目SSRの[スターティングデイズ]が実装されるまでの部分を紹介する、といった感じですね。

御託はここまで、早速本編に入りましょう。

N実装・メモリアル1実装(2016/5/10)

コミュ概要

乙倉悠貴13歳。陸上部所属の、快活で一見悩みなどなさそうに見える彼女は、自分の中のとあるコンプレックスに向き合うためにアイドル事務所の門戸を叩きました。

そのコンプレックスとは、身長の高さ。人によっては喉から手が出るほど欲しいだろうその特徴はしかし、彼女にとっては何の長所でもありませんでした。その認識は、彼女がジュニアモデルの話をした時に自分の事を「ただ背が高いからで」と評した事からも窺えます。

この時点では、自分の背の高さを長所としては見ていない

そんな乙倉ちゃんがある日目にしたのはテレビに映る、自分よりも背の高いアイドル。自分と同じ特徴を持ちながら、歌って踊って観客を楽しませるその姿に、彼女は心を惹かれます。
この件についてはメモリアル1の後日談となるN特訓コミュでも「堂々としていて、キレイで、すてきでしたっ」と本人が言及しており、彼女にとってアイドルを志すきっかけとなったのは間違いないでしょう。

そして、自分もそんな風になりたいという乙倉ちゃんの憧れを聞いたPはそれを「高いハードル」だと告げつつも、きっと跳び越えられると信じて、彼女をアイドルとして合格させます。

全てはここから始まった

またさっきちらっと触れましたが、Nの特訓コミュはおそらく時系列的にこの後間もないタイミングでの話であり、「TVで憧れたアイドル」の話の他に、「なぜ身長の高さがコンプレックスなのか」、そして最後に「自分のコンプレックスに対する認識」について乙倉ちゃんが触れるお話になっています。

並びの順番はいつも後ろ。男子には年齢に見合わない背の高さをからかわれ、そして可愛くもない。そんな理由で身長の高さに対して「いいことなんてない」とまで言い放った乙倉ちゃんが憧れたのは、先にも言った通り観客の前で堂々と振る舞う、背の高いアイドルの姿でした。

そして彼女は、Pが自分を選んだ理由が「自分の背の高さを長所として見ている」からなのではないかという想いを抱きます。

今の自分では、それを肯定するかの如く堂々とは振る舞えない。
でも、いつか。
いつか、P以外の人間が自分のことをアイドルとして認めてくれる日が来たのなら、自分のコンプレックスを好きになれる日が来るかもしれない。
そんな希望を信じて、乙倉ちゃんはアイドルとしてのスタートラインに立ったのです。

アイドルとしての、はじまり

考察

このコミュまでで重要な点は2つ。
まず1つは当然、乙倉ちゃんにとって身長の高さはコンプレックスだという事。そしてもう1つは、そのコンプレックスが自分の可愛さを主張する上での妨げとなっているという事です。
これらはここまでのコミュを見ていけば何となく分かるかと思いますが、ここではもう少し踏み込んで「乙倉ちゃんはなぜそのようなコンプレックスを持つに至ったのか」という所まで考えていきたいと思います。

さて、特訓コミュに戻って考えると、乙倉ちゃんはこんな事を言っていました。

悠貴「だから、私も堂々とすればいいって、プロデューサーさんは教えてくれたんですよねっ。高いハードルも、背の高い私なら飛び越えられるって」

このセリフ、裏を返せばそれまでの乙倉ちゃんは堂々としていなかった、あるいはできなかったという事もまた意味しています。

またこのセリフは、

悠貴「いまはまだ、アイドル一年生の私ですけど、いつか、プロデューサーさん以外の人も、私のこと、認めてくれるかもしれないっ。そうしたら、私も、自分の苦手な部分を少し好きになれるかもしれませんっ。そんな瞬間が来ることを、信じてます!」

と続くのですが、ここも同様に捉えれば「他の人に認められなければ、まだ自分の苦手な部分を好きにはなれない」という事を意味します。
堂々と胸を張れず、自分で自分を肯定できない。これらの意味する所をまとめるなら、それは「自信の無さ」という言葉に帰結します。乙倉ちゃんが憧れたのが「背の高い、堂々としたアイドル」だったというのも、これを裏付ける根拠となるでしょう。

さらに同コミュで乙倉ちゃんは、Pに背が高くていいことなんてない、と主張した時に、「背が高いと可愛くない」ということを「いつも順番の後ろになる」「男子にからかわれる」という自身の経験と同列に挙げていました。
情報が少ないのでどうしても推測は混じってしまいますが、そのような自身の経験と同列に「背が高いと可愛くない」という考えが置かれるということは、それは乙倉ちゃんの経験に直接、ないし間接的に基づくものではないのか?と予測することはできます。

一般的に見て、「身長が高い=可愛くない」という図式は必ずしも成り立つものではありません(デレだけ見てもきらりちゃんとかいますし)。にも関わらず乙倉ちゃんがこれを主張したのは、そのような固定観念が経験的に根付いていたからと言えるでしょう。そして、自分自身に自信が持てなかったからそれを否定することができず、コンプレックスとなるに至った。
これが、最初の問題提起に対する私の解答です。

これを踏まえて、特訓コミュの最後をもう一度見てみてください。

「可愛い衣装でも、胸を張って」。一見すると単なる意思表明でしかありませんが、乙倉ちゃんが未だ確固たる自信を持てない状態でこれを言っていたのだとすれば、それは、将来なりたい自分になるという決意表明に他なりません。

故に、乙倉ちゃんはこの瞬間、アイドルとしてのスタートラインに立ったのです。

メモリアル2・3実装(2016/7/25)

コミュ概要

オーディションを突破し、晴れてアイドルとしての第一歩を踏み出した乙倉ちゃん。早速、アイドルとして活動するための準備に取り掛かります。まずは基本のビジュアルレッスン。
ここでPに「可愛く」(もしくは「子供っぽく」)と言われたことに、乙倉ちゃんは驚きながらも顔をほころばせます。

かわいい

周りから大人っぽいと言われたり、ボーイッシュに見られたりすることが多かった乙倉ちゃん。そんな彼女にとって、自分の容姿や身長といった外面から期待されるイメージではなく、「可愛さ」や「子供っぽさ」といった自分の内面にあるものを求められるアイドルのレッスンは、彼女にとって「モデル」と「アイドル」の違いを実感するには十分なものでした。

こうしてレッスンをこなしていった乙倉ちゃんは、ついに宣材写真の撮影に取り掛かることになります。宣材写真といえばアイドルの「顔」であり、世間に向けて「乙倉悠貴」というアイドルを売り出すにあたっての大切な要素。
しかしそんな大事な写真の撮影にあって、乙倉ちゃんは1つの不安を抱えていました。

一見すると意図のわからない発言。だけど……

それは、背の高さで自分の方向性が決められてしまうこと。その怖れから、乙倉ちゃんはPに自分の身長を低く見せられないかと頼みます。
が、Pがそんな彼女に告げたのは「そのままで大丈夫だ」という言葉。そして、「背伸びしなくていい」とも。

ただ、乙倉ちゃんも簡単には退けません。
身長やイメージで衣装を決められていたジュニアモデル時代。その過去に根を張る、
「もしも背が高いまま写真を撮られて、可愛いイメージにならなかったら」
「もしも、そのイメージで仕事の方向性が決められて、自分の望むような可愛いアイドルになれなかったとしたら?」
という恐怖が、彼女の心の中にはあったからです。

やすやすとは引き下がれない事情がある

……こうした状況を打破したのは、Pと乙倉ちゃんの信頼関係でした。

「任せて」。Pのその言葉に文字通り全てを任せることを決意した乙倉ちゃんの宣材撮影は、結果として身長やイメージといった意識に囚われない「自然体」での撮影となり、本人も楽しみながら成功のまま幕を閉じます。

Pと一緒のアイドルの仕事への期待に胸を膨らませ、その歩みを着実に進めていく乙倉ちゃん。
彼女のアイドルデビューは、もう目前です。

考察

このメモリアル2・3に共通するテーマがあるとするのなら、それは「ジュニアモデル・乙倉悠貴からの脱却」でしょう。
見た目ではなく内面の表現力を求められたビジュアルレッスン。身長やイメージと言った外見の要素に縛られない宣材撮影。どちらも、モデル時代の経験とは一線を画すものです。そして、乙倉ちゃんは所々至らない部分もあれど、それらのハードルを順当に跳び越えて見せました。

また、宣材撮影の所で見せた乙倉ちゃんとPの信頼関係にも注目です。コミュ中ではさらっと流されていますが、客観的に見れば、懸念もある中「任せて」の一言であっさり自分の未来を委ねる、というのは相応の信頼がなければできないことでしょう。
それは、オーディションの場で彼女の憧れを聞いた上で「君なら、跳べる」と言ったPだからこそ成し得たことなのかもしれません。

……もっとも、乙倉ちゃんのコンプレックスそのものはまだ解消されてはいないでしょう。
確かにあの場面で乙倉ちゃんが自分の考えよりもPの意見を優先させたのは事実ですが、それを以て彼女が自分のコンプレックスを完全に放棄したとまでは言えないからです。
「宣材撮影が上手く行ったのだからコンプレックスは払拭されていてもおかしくないのでは?」という意見もあるかもしれませんが、撮影後の乙倉ちゃんの発言を見る限り、あくまでも「Pに任せたから上手く行った」というスタンスっぽいので、やはり根底にあるコンプレックスは変わっていないと考えるのが自然だと思います。

ただ、どうあれ乙倉ちゃんはそのハードルを跳び越えました。そしてそれができたのは、乙倉ちゃんが「可愛いアイドルになる」という目標を見失わず、「Pに任せる」という行動を起こせたからに他なりません。

それがたとえ他人の力に後押しされた結果だったとしても、時として憧れのために勇気を振り絞れる。
今の自分では越えられない壁があったとしても、自分の力でそれを為すには未だ力不足だったとしても、いつかは跳び越えられると信じて、ゴールに向かって走り続けられる。
それこそがアイドル・乙倉悠貴の持ち味であり、真髄なのです。

[スターティングデイズ]実装(2016/7/25)

コミュ概要

また、メモリアル2・3が実装されたのと同日に乙倉ちゃんの初SSRである[スターティングデイズ]も実装されており、こちらは乙倉ちゃんがアイドルデビューを果たした、少し未来の話になっています。

さて、コミュは乙倉ちゃんが日課のランニングを終えた所から始まります。

乙倉悠貴背高!細!顔小!

散歩がてらの帰り道、乙倉ちゃんは自分が見つけた「いいところ」について語り始めました。

歩幅が大きくて、速く走れて、他の人よりも遠くを見れる。
そして一歩前に出て、遠くからでも見つけてもらえる。
陸上部で走り続けてきても見落としていた、そんな「いいところ」に初めて気がつけたのは、「アイドル」という転機があってこそだった、と。

今までは、背の高さに関する悪いところばかりが心に残っていた。けれどこうして見つけられた「いいところ」を大事にして走り続けていれば、いつかは新しい景色が見えてくるかもしれない。

"スターティングデイズ"

そんな思いを抱いて、彼女はアイドルの舞台に立ちます。今までのように背の高さを厭うのではなく、逆にアイドルとしての「いいところ」にしてファンのいるステージを駆け抜ける。

そうすることで、自分の憧れの存在に近づけると信じて。

考察

先にも言った通り、このコミュは直近のメモリアル2・3から見ると少し先の話になります。そしてこのコミュは、アイドルとしての乙倉ちゃんの当面の方向性を示すものであると考えています。

メモリアル1やN特訓コミュで言っていた事を鑑みると、乙倉ちゃんの(この時点での)最終目標は「自分の苦手な部分も好きになれるような存在になること」、即ち身長のコンプレックスの克服でしょう。

メモリアル3での話を見ていただければ分かるように、現段階での乙倉ちゃんにとってそれはかなり厳しいハードルです。が、そこを目指すにあたっての足がかりは、これまでの経験から彼女は確かにつかんでいました。それこそが、自分の「いいところ」を大切にするということです。

アイドルとして周りの人に認めてもらえれば自分のコンプレックスを肯定できるかもしれない、というのはN特訓コミュで乙倉ちゃんが言っていたことですが、おそらくこのコミュは、自分の「いいところ」を自覚できた乙倉ちゃんがアイドルとしての舞台で周りの人に認めてもらうために、一歩を踏み出した話なのでしょう。

N特訓コミュでスタートにつけた足を今、ゴールに向けて蹴り出した。故にこそ、このSSRは[スターティングデイズ]という名前なのです。

総括

これはあくまで私の一解釈にすぎませんが、「乙倉悠貴とはどんなアイドルか?」という質問に一言で答えるなら、それは「どんな苦難を抱えていても、なお前を向けるアイドル」です。

そんな乙倉ちゃんはこれから数多くの仲間と出会い、かけがえのない経験をしていきます。私が第一回のこの記事で書いたのは、そこのほんのさわりの部分に過ぎません。
ですが、もしこの記事でこれを見てくださっているあなたが、少しでも乙倉ちゃんについて興味を持っていただけたのなら、筆者としてこれほど嬉しい事はありません。
最後に、この記事をここまで読んでいただき本当にありがとうございました。


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