40年の待機時間〜2分間小説〜
ある哲学者が、「愛とは何か」という問いに取り憑かれた。
大学での研究、フィールドワーク、歴史的考察。あらゆる手法を駆使して愛の本質に迫ろうとした。妻は黙って彼の研究を支え続けた。研究室に籠りきりの夫のために、毎日お弁当を作り、部屋の掃除をし、新しい参考文献を探してきた。
「もう少しで完璧な定義にたどり着けるんだ」
彼はそう言い続けて、40年が過ぎた。
ついに、その日は来た。長年の研究の集大成となる「愛の完全なる定義」を書き上げた夜のことである。達成感に満ちた帰り道、玄