肌刺す九月

暑い暑いと言っているうちに夏が過ぎたようで、ニ・三日前から急に肌寒くなってきた。今朝は寝起きに冬服を引っ張り出し、陽射しが照りつける日々を懐かしむような心持ちで袖を通した。北風に襟を立てるような冬が近づいている。そういえば去年も秋を感じる間も無く季節が冬に移り変わっていたような気がする。


明日も早起きなのにまだ仕事が終わらない。それどころかこうしてnoteを書いているのだから、自分の神経はよくわからない。いつかラブホテルでもらったチューペットをちゅうと吸いながら、ノートパソコンの画面を眺めている。こうしている間にも、朝はどんどんと近づいてくる。朝が来なければいいのに、と叶うわけのない希望が脳を覆っている。深夜の事務所には虫の鳴く声と複合機のモーター音だけが響いている。


会いたい人たちがいる。私は身近にいる人間をあまり大切にしてこなかったから、どんな顔をして会いに行けばいいのかもわからないし、多くは連絡先も知らない。とは言え、今の時代SNSで古い友人を見つけることなんて容易いのだから会おうと思えば会えるのだろうが、それが故にいつでも会えるから、と引き下がってしまう自分がいる。仲の良かった連中と酒を飲んだり、世話になった先輩に礼を言いたい。それだけのことなのに、突然こんなことを思うのはなんとなく自分の未来を案じているせいなのかもしれないと勘繰る。死の間際、人は礼を言ってまわるのだと聞いたことがある。不思議。


ホットミルクでも飲みたい。

朝がまた20分近づいた。今日も夜が短い。

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