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2009 旅 カッパドキア

8月26日(水)

大地にニョッキり生える巨大なキノコ岩、三角の奇岩の中に残された幾つものキリスト教壁画、地下何十mにも及ぶ地下都市、カッパドキアは様々な不思議な顔を持ち、この旅の最大の目的地。僕はただ、雄大で、奇妙なカッパドキアの景観に、ただただ口を開けて見とれるばかりでした。

   ◇

中部アナトリア高原のアヴィノスの街の朝はひんやりと、半袖では少し肌寒いくらい。標高は1000mを越え、その分、日差しは強く差し付けます。パンとヨーグルト、フレークの朝食を済ませ、まず向かうのは、ギョレメの野外博物館。山を登ってゆくバスの車窓から、奇岩群が見えてくると、まだ見ぬ憧れの世界遺産にワクワクしてきました。

ギョレメの谷には30以上の石窟教会があり、十字平面に丸天井、その壁や天井にはフレスコ画がうっすらと残っています。十字架をアレンジしただけのシンプルなものから、聖書のエピソードが細かく描かれたものまで、多彩な芸術が刻まれています。3世紀頃、キリスト教の修道院であったこの地には、多くの修道士が修行に訪れました。4世紀にはローマ軍の侵入の危機があったり、7世紀にはアラブでイスラム教が成立しその侵入の危険が迫ったりして、こうして奥地へとやって来て、彼らは信仰生活を送っていました。

フレスコ画を削って飲むことで病気にならないと信じられていた時期もあり、壁画は所々削られてしまっています。もちろん教会だけでなく、食堂や住居跡もあり、ひたむきな信仰生活を営んでいたことを感じました。

お土産屋さんの露天で、石灰岩をてで掘った奇岩の置物があって見ていると、5cmくらいの小さいのが1個1000円だと言ってきた。いきなりふっかけられたので、ちょっと向きになって、2個で1000円なら考える、と答えました。2個なら1800円だ!と強気で押し付けてくる。じゃぁ、いらない!と立ち去ろうとすると、相手はあっさりOK、2個で1000円でいいよ、と。トルコではお土産物には値段が書いてないことが多く、言い値からスタートするので、落としどころが難しい。でもやっぱり自分の納得いく値段になるまで交渉するのが基本だと、後になって思います。

それから、奇岩群が一望できる展望台へと行き、広大な大地に何百という褐色の奇岩を眺めると、ほぇ~って声を出すのがやっと。不思議な景色でした。それから、カッパドキアの中で、最もカッパドキアらしい、キノコ岩を目指しました。巨大なキノコ岩が間近で見られるというパシャバーという地区。

キノコ岩は、数億年前のエルジェス山の噴火によって造られた火山灰と溶岩の地層が、長い年月をかけて風雨にさらされ浸食が進み、地層の固い部分が残り、こうした姿になったと言います。そんな巨大なキノコ岩を目の前にし、岩を手で叩いたり、見上げたり、しかしツアーの無常、時間は限られています。青い空にそびえ立つキノコを目に焼き付け、バスに乗りました。再びここを訪れることはあるのだろうか?あるとしたら、今度は冬の雪景色を見に来たいと思いました。

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