ピンク

ほんの一瞬だけ視界にうつした。鮮やかな、ピンク色の、もじゃもじゃな破片が、水たまりと混ざりあい、道路の真ん中で飛び散っていた。人に対する嫌悪と本能的な吐き気が込み上げてきて、涙が滲んだ。水浸しになったジーンズと、今日は晴れだと思って着てきたふわふわだったジャケットが、まだら模様に肌に張り付く。雨水を通してピンクが体をつたうような感じがして、不安になった。その日は、何も食べなかった。

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