トリックテイキングを作る。カード構成について(枚数、ランク、スートなど)
※この記事はTrick-taking games Advent Calendar 2019(https://adventar.org/calendars/3959)の20日目の記事として書かれました。
トリックテイキングゲームを作るうえでのカード構成について語ろうと思います。(以下トリックテイキングゲームは長いのでゲームあるいは、トリックテイキングと略させていただきます。)
この記事ではざっくり、3つについて語ろうと思います。
Ⅰ枚数について・・・・・・・・(手札やデッキ枚数について)
Ⅱ数字(ランク)について・・・(カードに書かれている強さについて)
Ⅲマーク(スート)について・・(カードに書かれているマークについて)
この3つは、どれが先かということはなく、どれかを考慮して変えた場合は、ほかも呼応するようにして変える必要がある場合も多いです。順不同と考え読んでくれると幸いです。トリックテイキングのルールの調整段階、テストプレイ、完成後に改めて考えてみたりするともっと良いカード構成、情報が見つかるかもしれません。
(頭の中の散らかっている説明をまとめてみたものなので、文体などはご容赦ください)
Ⅰ枚数について
カードセットを考えるうえで当たり前に大事なもの枚数についてです。かなり当たり前のことを言っているかもしれません。ここでは、手札の枚数や、デッキの枚数について少し考えます。
おおきく2つに分けて話をしようと思います。
1まず大体何トリックのゲームにしたいのか
2配りきりか否か
1まずだいたい何トリックのゲームにしたいか。(手札の枚数がここで決まるでしょう)
まず自分が何トリックこのゲームで行ってほしいのかを考えてみます。トリックはあまりにも少なすぎると、ゲームとしての面白さを味わうことができず、また多すぎると、トリックテイク特有の先を読む喜びというのが冗長になってしまします。
では具体的にどのようなところが心地よいトリック数なのか。
これは、人数によって変わると思います。人数が少なければ、少ないほど、トリックの勝敗に直接絡むようなシーンが多くなるため、面白く感じるトリック数の最小限界と最大限階のレンジは上がるような気がします。
2人プレイのゲームでしたら、5トリックから12トリックまで、3人プレイなら、9トリックから14トリック、4人なら12トリックから15トリックぐらいが心地よいと思っています。
もちろんゲームの性質も考慮しなければなりません。いわゆるポーカーのような勝負に入る前に「おりる」という選択肢のあるゲームはトリック数は少なくてもよいかもしれません。ゲーム中「パス」をして代わりの行動をおこなうゲームの場合も少ないほうが良いかもしれません。実際には7トリックでも4回パスができる場合などは、実質11トリック行ってぐらいの充実感があるでしょう。ここでは、個々のゲーム性を改めて考えてみてください。もしかしたらそれを際立たせて生かせるトリック数があるかもしれません。
そうして、だいたい何トリックのゲームか、手札が大まかに何枚ぐらいがよさそうなのか設定します。
2配りきりかいなか
次はデッキ(全体)の枚数です。1まずだいたい何トリックのゲームにしたいかで手札の枚数が設定できたかと思うので、次にデッキの枚数について考えてみましょう。
①配り切りにする場合
3人、4人プレイが主とかんがえると、最小公倍数である12の倍数の枚数構成にするというのがやりやすい枚数でしょう。
また、人数によって、抜くカード、または追加するカードを設定することもできるでしょう。人数によってトリック数を均一にしたり、またはトリック数を変える場合は、抜くカード、または追加するカードで配り切りを調整する方法もあります。
②配りきりにしない場合
いわゆる「おり」のような行動があるゲームの場合はもちろん、ゲームの性質によっては、配り切らず、山札にある程度カードがあるのがプラスに働く場合があります。もう一度振り返った時にゲームの性質を見て、配り切らないを選択しなおすのも手かもしれません。また、残ったカードで切り札やその他を設定する場合などは配り切らない枚数についての考慮が必要です。その場合は、12の倍数+1枚とか、あるいは、12の倍数+2枚とかそういう札の調整を考える必要があります。
Ⅱ数字(ランク)について
正直、ここで特徴を持たせることは、職人の技術とも言え、ここを少し変えるだけでゲームの面白さはガラッと変わったりすると考えています。2つ書こうと思います。
1ハイランクの抑制について
2ミドルランクの幅について
1ハイランクの抑制について
ハイランクは安定して勝つことが約束されており、ここでランクの調整をおこなわないとゲームによっては単調な展開になることもあります。ここでに問題を解決するため、また、ゲームをより面白くするためにハイランクを抑制するための特徴的なランクを新たに設定してもよいかもしれません。
ハイランクを抑制するための方法
①同ランクを作るかどうか
ハイランクの抑制についての解決法として、提示されるのが同ランクです。同ランク、同じ強さを入れれば、ハイランクの圧倒的な予定調和を崩すことができます。もし、あなたがこの方法が良いなと思うなら一番強いハイランクカードを2枚にして後だし勝ちにしてみてもよいかもしれません。
②2重ランクをつくるかどうか
二つランクが書かれており、特定の条件を満たしたら、もう一つのランクに変化する。または特殊な効果で入カードを打ち破る札の検討です。もしこのほうほうが良いなと思ったら検討してもよいかもしれません。
2ミドルランクの幅について
ハイランク(高い数字)は強いカード、ローランク(低い数字)は弱いカード、ではそれをそうさせているカードが何かというと、そうミドルランクです。例えば1から10までのランクがあるゲームでは、トリックに勝ちたいプレイヤーは手札に、10が来ればうれしいし、1が来れば、唸るだろう。反対にトリックに負けたいプレイヤーは、1が来ればうれしいし、10が来れば、唸るだろう。トリックテイキングにおける楽しい瞬間、てふだとの対面だ。これを陰ながら支えているのは、ミドルランク(間の数字)である。
1から3までならローは「1」ミドルは「2」でハイは「3」だ。
1から7までならローは「1,2」ミドルは「3,4」でハイは「5,6」だ。
1から10までならローは「1~3」ミドルは「4~7」でハイは「8~10」だ。
どうだろうか、かなり面白さに直結していないだろうか。
ここは、トリックテイキングをやっているときに感じられる、これならたぶん勝てる、負けるなどの予想の喜びが出てくる部分だろう。プレイ中であれば上のあれとあれとあれが出たからこれが勝てるみたいな部分である。
各札の価値が真ん中の幅によって決まる、ここは、トリックテイキングにおいて心臓に近い部分ではないのだろうかと個人的には思っています。ミドルランクをどう設定するかは、見えない仕事のような部分だが、それによってゲームの面白さはがらりと変わることが多いです。
Ⅲマーク(スート)について
スートはいわゆるマストフォローや得点に絡む部分である。そのゲームごとのルールを最大限に生かすように、種類や枚数など整えることができればきっと良いゲームになるだろう。
1スートは何種類にするのか
まずスートはスタンダードな4種類ぐらいとすれば、多くのゲームは過不足なく機能することが多い。だが、ここでもゲームの性質を考えてほしい、最初から1種類スートが手札にない状態を意図的に作った方が面白いルールだとしたら、ここでもう一種類スートを増やす調整を検証してみよう。またスートごとに強弱のあるゲームなら、逆にスートの数を絞ってみてもよいかもしれない。たくさんスートの強弱があると、予想が立てづらい。スートに強弱のあるトリックテイキングゲームの場合、4種類以下のスートのゲームのほうがほとんどであり、その旨味が十分に機能している。
2スートごとの枚数
均等にすればおおよそうまく機能するだろう。だが、枚数を変えることによって、マストフォローの効きが変わってきたり、負けやすいカード、勝ちやすいカードを切り札を設定せずに、表現することもできるかもしれない。
3切り札の有無
スートの役割を与えてみてもよいかもしれない。切り札を設定するか否かはゲームの性格をがらりと変える。もしかしたら入れたほうが良いかもしれないし、抜いたほうが良いかもしれない。1,2を考慮して、切り札を抜いてみて、別の形で強弱をつけることを考えてみてもよいかもしれない。
ここまで考えてみて、何か調整が思い浮かんだり、試したくなった場合は、また各項目について相互に考えて、札の構成を変化させてみよう。
この記事が何かのヒントや、デザインの足しになれば幸いです。
最後に
構成、数値(ランク)やマーク数(スート)枚数などいじってみるとトリックテイキングはころころ表情を変えてくれるだろう。その中で自分がベストと思えるものを選べる、特徴を付ける、見つけるというのは創作のクオリティを上げるとともにデザイナーの楽しみの一つではないだろうか。
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