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国試問題演習記録#12


期間

2024/6/2 夕方 ~ 2024/6/4 夕方

勉強したタイミング

公共交通機関を待っている時間 約20分
公共交通機関に乗っている時間 約30分
待ち合わせまでの時間 約10分 
夜帰ってから夕方寝る前まで 約30分 など

進捗

B 肝・胆・膵 56/187(正解率 94.6%)
一般 25/73(正解率 96.0%)
臨床 31/114(正解率 93.5%)

G 血液 60/192(正解率 88.5%)
一般 31/82(正解率 96.8%)
臨床 29/110(正解率 96.6%) 

今日のひとくちメモ

110A46

3歳の男児。顔色不良を主訴に来院した。2日前に38℃台の発熱があったが1日で解熱した。昨日の夕方からぐずることが多くなった。今朝になり顔色不良に気付かれ受診した。保育園で伝染性紅斑が流行しているとのことであった。意識は清明。体温37.8℃。脈拍148/分、整。血圧94/56mmHg。皮膚は蒼白。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に軽度黄染を認める。口腔内粘膜は蒼白である。咽頭に発赤を認めない。頸部リンパ節を触知しない。胸部の聴診で胸骨左縁にII/VIの収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を触知しない。 脾を左肋骨弓下に3cm触知する。血液所見:赤血球120万、Hb 3.6g/dL、Ht 12%、網赤血球0%、白血球3,800、血小板18万、PT 72%(基準80〜120)。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン3.9mg/dL、直接ビリルビン 0.8mg/dL、AST 29U/L、ALT 14U/L、LD 432U/L(基準176〜353)、尿酸4.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL、直接Coombs試験陰性。胸部エックス線写真で明らかな浸潤影はなく、心胸郭比52%である。
考えられる疾患はどれか。

a. 鉄欠乏性貧血
b. 再生不良性貧血
c. 遺伝性球状赤血球症
d. 発作性夜間血色素尿症
e. 自己免疫性溶血性貧血

着眼点

・現在まで持続しない、急性感染症の既往
・伝染性紅斑の流行 → パルボウイルスB19感染?
・脾を左肋骨弓下に3cm触知 → 脾腫、血管外溶血亢進?
・MCV 100、MCH 30、MCHC 30
 正球性正色素性貧血、網赤血球0% → 骨髄での赤芽球低形成
・WBC・Plt正常範囲 → 汎血球減少は否定的
・間接ビリルビン優位のビリルビン高値 → 赤血球崩壊亢進、溶血亢進
・直接Coombs試験陰性 → AIHAを否定

選択肢について

a. 鉄欠乏性貧血(Iron Deficiency Anemia, IDA)
 その名の通り鉄欠乏によりHb合成が低下、貧血に至る。
 Hb合成が減り、RBC数も減るため、小球性低色素性貧血を認める。
 異食症がポイント。

b. 再生不良性貧血(Aplastic Anemia, AA)
 先天性のFanconi貧血、後天性の特発性AA・二次性AA・特殊型AAに大別される。
 骨髄での造血幹細胞の減少と、末梢血での汎血球減少が特徴的。
 Hb合成は正常、RBC数は正常~増多正球性正色素性貧血~大球性正色素性貧血を認める。
 肝脾腫は来さない。

c. 遺伝性球状赤血球症(Hereditary spherocytosis, HS)
 赤血球の細胞膜骨格を構成する蛋白分子の異常により、膜脂質が不安定化、赤血球が球状になる。
 常染色体優性遺伝疾患
 血管外溶血亢進脾腫胆石が特徴的。
 MCHC高値の正球性正色素性貧血を認める。
 パルボウイルスB19感染による無形成発作により急性赤芽球癆を来すことがある。

d. 発作性夜間血色素尿症(Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria, PNH)
 後天的な造血幹細胞のPIG-A遺伝子異常によりGPIアンカー蛋白合成障害を来す。
 その結果、補体制御蛋白が欠損血管内溶血が起こる。
 補体介在性血管内溶血、骨髄不全、血栓症
の三徴を持つ。
 直接Coombs試験は陰性。
 
ハム試験陽性。(→アシドーシス条件下での溶血亢進)
 
砂糖水試験陽性。(→非電解質水溶液中では補体と赤血球の結合が強まり溶血亢進)
 
NAP(好中球アルカリフォスファターゼ)スコア低下
 赤血球アセチルコリンエステラーゼ活性低下

e. 自己免疫性溶血性貧血(AutoImmune Hemolytic Anemia, AIHA)
 抗赤血球抗体による抗原抗体反応により赤血球膜が変化、補体や貪食細胞などによる赤血球融解を来す。
 Ⅱ型アレルギーによる。
 原因により、特発性AIHAと続発性AIHAに大別される。
 また抗体の種類により、温式AIHA、寒冷凝集素症、発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)に大別される。
 いずれも直接Coombs試験は陽性

解答は c. 遺伝性球状赤血球症。

振り返って

・問題演習量がいつもより少ない。たまにはいいか。
 来週は丁寧に取り組もう。
・貧血の鑑別とMCV、MCH、MCHCの計算の練習ができた。
 きっと将来役に立つ。
・ちょっと根を詰めすぎたかな…頑張った自分にオムライスをプレゼントしたい!
 目星はつけてある…あとは行くだけ…(これが意外と難しい)

お礼

メイプル楓さん、優しい絵柄と力強いメッセージを併せ持つイラストが大変好きです。
記事のアイキャッチ画像に使わせてもらっております。ありがとうございます。


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