第一回 私の How To おもしろい   ~プロット編~

 第一回は物語の核となる『プロット』『キャラクター』についてです。

 まず「プロット」についての説明です。「プロット」とは物語の流れを文章なので要約したものであり、「プロット」を読めば話の内容が分かります。

 しかし学生レベルだと頭にある構想を上手くプロットにすることができないことが多いです。私もプロット作りには苦労しました(今もですが)。

ここで、とある場面のプロットをご覧ください。 

 このプロットは『雨の犯行』1話冒頭の旧プロットです。実際に原稿にした際には上記の場面は大幅にカットされました。その大きな理由としては

①ページ数がかかる

②違う場面と一緒にできる

この2つです。

【①ページ数がかかる】『雨の犯行』は一話約15ページを想定しており冒頭に3、4ページをかけることができません。なので旧プロットだと冒頭にしてはページ数を使い過ぎているので変更を余儀なくされました。そして縮める際に②の方法を使うことになります。

【②違う場面と一緒にできる】旧プロットの男子高校生の会話には「話題にする程の事件が起きている」という物語世界での情報を読者に伝える意図があります。しかし実際の原稿では会話の場面はなくなり襲うシーンからになりました。

 では会話のシーンはどこにいったのでしょう?

答えはココ

5ページ目終わりの2コマです。

5ページと6ページでアイスピック事件の話をしています。先ほども書きましたが旧プロットでの男子高校生の会話の意図は「話題にする程の事件が起きている」ということ、なので事件の切り抜きの存在を示せば同じ意図になるのです。それだけではなく、少女がどんな人物なのか表す材料にもなります。

 少女との会話は必ずあるイベントだったので、その場面に別の入れたい情報を入れることによってページを減らすことに成功しました。


 ここからが本題です。

 旧プロットは文量も多く場面転換も激しい物でした。ゼミでのディスカッションの結果、変更点が多くなり物語の本筋は変えないままプロットを1から作り直すことになりました。

 その際にいままでと違ったプロットの書き方を教えてもらいました。

やり方は

・手書きで出来事と入れたいセリフを物語の順を追うように箇条書きで書いていく。

・段分けをする。

・物語で伏線になるところ、回収される所を色で書く

というものでした。実際に書いたものがこちら

 実際にはA4用紙に書いてるのでまだまだ下に続いてますが、資料なので冒頭付近を拡大しています(左の段は冒頭、右の段は10ページ)

 このやり方の利点は話の伏線が一目でわかることです。色分けもしており青色はその話数での伏線、赤色は全体を通しての伏線にしています。それと手で書くことにも意味があり、キーボードで文字を打つよりも手で書く方が内容がより鮮明に頭に思い浮かび、私はこのやり方にした際にこのページにこのコマを入れていきたいというコマの構想まで思いながら書くことができました。

 このプロットの方法ですが、実際に「さぁ、やってみよう!」とできる人もいますし「よく分らない」と思う人もいるでしょう。私は後者で実際に自分の作品のプロットを制作する前に練習をしました。

 その練習方法は「映画を観ながらプロットを制作する」という方法で、やり方は簡単です。まずプロットにしたい映画を決めて一回観ます。その時に話の流れを覚えておくと次が楽です。そしてもう一回観るのですが、その際に観ながらプロットを制作していきます。何を書いていいのか分らなかったら、目の前の画面に起こったこと全て書いても構いません。手が追いつかなかったら映画を止めても構いません、ただし段は分割してください。そして用紙1枚に収めてください(紙の大きさは問いません)。伏線も一回観たのである程度分っていると思うので色ペンなどで矢印で引っ張ってください。

 用紙1枚に収める理由は、作品を一目で見える状態にすることが大切だからです。紙をめくる行為は頭をリセットしてしまう行為でもあるのです。見栄えも気にせず終えた後にやり方がわかっていればいいので汚くても大丈夫です。一番ダメなのはやり終えないことです。1作やり終える頃にはやり方が分ってきていると思います。

 この『雨の犯行』という作品は全話このプロットのやり方で制作しています。プロットの書き方を変えただけですがこのやり方で制作の進行がよりスムーズになったと感じています。興味が湧いた方は是非試してみてください。

 この「私のHow To おもしろい」は各話に応じた内容をアップしていく予定ですが、今回の「プロット編」に関しては内容が多いので各話数とは別で制作させていただきました。

では次の「少年編①」で会いましょう。

すずき野

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