最終回 私のHow to おもしろい ~最終話 少年少女~
マンガにおける「おもしろい」とはなにか?マンガ制作を通して学んだマンガを面白くする方法を考えていきましょう!
このレポートは『雨の犯行 最終話 少年少女』に関する制作レポートです。レポートを読む前に投稿した作品に目を通していただくと、より今回のレポートが分りやすくなると思います。
~最終話 少年少女 目次~
①ネーム 人の心が変わる
②設定 場所の話
③タイトル その物語の顔
④反省 終えてみて
⑤マンガ おもしろいとは
⑥おわりに
①ネーム 人の心が変わる
雨の犯行は暗い物語です。暗い故に物語の結末はどうしようか考えました。初期の考えでは救いのないバットエンド、そして次に考えたのは救いのあるエンド。実際にはこの救いのあるエンドになったわけですが、変えた理由はバットエンドは誰にでもできるありきたりなエンドだと思ったからです。
バットエンドの内容は誰の声も江本透に届かず、彼はそのまま身を屋上から投げ、それを追った少女の手は空を切る。的な内容でした。そんなの物語にする必要はあるだろうか?ある一定の層には需要があるとは思いますが、それではあまりにもマンガ(フィクション)ではない気がします。マンガにするからには読み終えた後に何か読後感を残したい。それはドス黒いものではなく、雨が降り止んだ時のような少し太陽が出てきたようなものであってほしい。そう思って救いのあるエンドに変えました。
そして最終話ではあることに気を使いました。それが「人の心が変わる」です。今まで「ある考え」をもっていたキャラの「考え」を最終話で変える。雨の犯行では江本透の「誰かのため」を「自分のため」にしたように今までの物語があったからこその考えの変化を最終話に入れました。
この「人の心が変わる」は最終話のネームを描く前に読んだ本の教えなんですが、その本にはもう一つ「新人漫画家のやりがちなことの一つに、死などの暗い印象で読者に強烈なインパクトを与えようとする。」というのがあり読んだときはグゥの音も出ませんでした…。
最終話のネームでは江本透の考えを変えることを目的として進めていった結果36ページという膨大なページ数になったのでした。
②設定 場所の話
今回の舞台は屋上、ということで街並みの背景を描くことにしたのですが今まで考えていた場所を描き始めたら、今更ながらにしてめっちゃ高いとこに学校が建っていることに読者が違和感を感じないか不安になりました。実際に雨の犯行の舞台となったところは結構標高が高いところにあり、下書きを描き始めた時は納得して描いていたのですが、読者はそんな情報がないので違和感だらけになるだろうなぁ、と場所の設定をもっと物語に登場させるなり設定を始めに決めて違和感をなくすように努めた方がよかったな、と思いました。
第12回でも描きましたが設定を細部まで考えるのは本当に大切です。
③タイトル その物語の顔
タイトル、サブタイトルを考えるのは苦手です。雨の犯行は元は『アイスピック事件』というタイトルだったのですが「ダサい」と一蹴され『雨の犯行』になりました。正直傷つきました。雨の犯行の名前の由来はただ単純に雨の日に主人公が自分のために犯行をするからです。そしてサブタイトルはその話の中心人物やその話で本音を言うキャラからとってます。なので最終話は『少年少女』でした。
ちなみに名前の由来は、悪い言い方ですが「てきとう」です。プロットを描くときやこのレポートでは、ほとんどキャラの名前ではなく「主人公」や「少女」など本名で書くことがなかったです。それほど名前を考えることに重要性を感じてませんでした。
④反省 終えてみて
雨の犯行も描き終え、いろいろと反省点が出てきました。まずは③に関係していることで、キャラに愛着をもつ、です。自分の子同然なのだから、もっと名前で呼んで愛着もって話を進めていくべきだと思いました。この物語はほとんど脚本に沿ってキャラが動くだけだったので個性あるキャラ達に自らの道を歩かせてやるべきだったと終えてみて少し後悔しました。
反省として一番大きなものは物語を貫く一本柱がどこかで行ってしまったことです。雨の犯行のテーマは「狂気」でした。ですが最終話ではその欠片すら残ってません。この「狂気」を目的として読み進んでくれた人には申し訳なかったと思います。
画力不足なことは書くまでもありません。やっぱり表現したいことを30パーセントも表現できない自分の画力はまだまだ課題です。こればっかりは描き続けるしかないですね。
他にもいっぱいありますが長々と書いても気持ちの良いものでもないですしここらへんでやめときます。雨の犯行で得た反省を次の読み切りに生かしたいです。
⑤マンガ おもしろいとは
マンガにおけるおもしろいとは何か?を書きまとめたレポートのはずが後半は制作レポートになってました。読み通りです。
今でもなんでおもしろいのかなんでおもしろくないのかはチンプンカンプンです。ですが一つ分かることは、おもしろいマンガを読むと口角が上がりわくわくする!このことだけです。そんなマンガを描けるようになりたいです。
⑥おわりに
これでおしまいです。雨の犯行とは2年くらいの長いようで短い付き合いでした。当たり前のようで少し驚いたことですが、この2年間雨の犯行のことを考えなかった日はありませんでした。
絶賛されるような作品とは程遠く、まだまだつたないマンガでしたが読んでくれた人には感謝してもし足りません。
さて、ここで雨の犯行とはお別れ。また別の作品と付き合うことにします。
描いているときは長いと思ってましたが、描き終えてみれば短かく、そして楽しいひと時でした。
以上!
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