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第3回 私のHow to おもしろい     ~第2話 少年②~

 マンガにおける「おもしろい」とはなにか?マンガ制作を通して学んだマンガを面白くする方法を考えていきましょう!


 このレポートは『雨の犯行 2話 少年②』に関する制作レポートです。なのでレポートを読む前に投稿した作品に目を通していただくとより今回のレポートが分りやすくなると思います。

~第2話 少年② 目次~

①ネーム1 意図と復習

②ネーム2 展開のアゲサゲ

③仕上げ 神は細部に宿る(私のこだわり)

④おわりに


①ネーム1 意図の復習

 1話と2話のネームは同時にディスカッションしたのでネームの指導もかなり受けました。なので今回は第2回の『②ネーム コマ割りと小回り』で習ったことを活かすために改善前と後のネームを比べなぜこのコマ割りにしたのか意図をくみ取りなおしてみます。

それでは改善前と後のページを並べてみます。

 旧ネームでは始めに居場所を明らかにしてます。それに対して新ネームではブラックリストを見せています。

 変更理由は前回のヒキが関係しています。前回のヒキは「じゃあ、アレつくろうかな?」「もっと刺激的なことしよう!!」でした、なのでその続きになる2話は「アレ」の答えとなるブラックリストから始まるのです。そのため新ネームでは2コマ目でこの本が何を意味するのか説明が入っています。新ネームでは前回のヒキを活かすために冒頭を変えたのです。


 続いて3ページこのページはパッと見変わりがないように見えますがフキダシの位置に注目です。

 4コマ目赤で囲っているところですが、セリフは「そう言うと思ってコレ!!」コレとはアンモニアの事です。新ネームではコレを表すモノとフキダシを重ねることによってモノとフキダシどちらも強調させているのです。それと拳銃や刃物とは違い、アンモニア容器はアップにしても絵的に映えないので重ねることで少しでも印象を強くするという意図もあります。

 6コマ目はフキダシによる圧迫表現ですフキダシを少し大きくしコマ内を圧迫させます。このコマでの主人公の心情は「不快感」です。その感情をフキダシの位置を利用して表現しています。

 最後に4ページ。このページは主観を変えています。

 赤で囲んでいるコマは主人公が映っているコマです。旧ネームでは4コマ使い主人公を主観とし行動を追うように描いていますが新ネームで主人公が映っているのは1コマだけで代わりに主観を決めずクラスメイトの事件に対する反応が描いてあります。このページの変更理由はその後の展開が影響してます。

 この主人公は刺激を求めて犯行を行い、少女はその刺激を身近でも感じられるように学校の先輩に目をつけ犯行を促しました。そして結果は少女の目論見通りに主人公は身近で非日常を感じることができたのでした。なのでこのページは主人公を追うより周りがいかに事件に影響されているのかを表現した方がその後の展開の説得力が産まれるのです。


 この後もたくさんの意図を考え制作していきました。説明すると長くなるので詳しい説明はここまでにします。今回は説明のため旧ネームを使い変更点を説明しましたが、実際の私の完成作品や商業作品を意識して読むだけでもたくさんの意図が見つかると思います。ぜひ探してみてください。


②ネーム2 展開のアゲサゲ

 2話目を読んでこの見出しを見れば大体何を意味しているのか分かると思います。この展開のアゲサゲはまさしく主人公の高揚と混乱を表しています。

 マンガは主人公を中心にキャラクターで進んでいきます。なのでキャラが苦労もせず何も感じないのであれば物語は面白くなりません。2話では主人公は自らの行動で大きな高揚を生み出しました。しかしその後の少女によって主人公は混乱し自分が少女にいいように使われていたことに気づき気持ちがどん底まで落ちていくのです。

 これが展開のアゲサゲ。『キャラクターの気分や状況を良くさせてから落とす』やりかたです。2話は舞台を学校と自室の2つに分けているのですがコレをうまく使い舞台の移動と物語の流れを上手く変えていけたと思っています。展開のアゲサゲはいろんなマンガで使われているやり方でそれほどに基本的で物語を面白くできるやり方なのです。


③仕上げ 神は細部に宿る(私のこだわり)

 神は細部に宿る。私は「良い物にしたいなら細部までこだわれ」と大ざっぱに捕らえていますが、私のこだわりはこの言葉です。

 この物語は私が作ったものです。主人公も少女もこれから登場するキャラクターもすべて私が産み出したキャラクターなのです。私はそれをマンガにして表現しているのですが技術不足故に全然キャラクターや場面を表現しきれません。本当は夜空はもっときれいだし、雨が降ればジメジメするし教室の窓からは景色も見えるし風も吹くのです。ですがまだまだ練習不足です。

 だからこそできるところはしっかりしよう。ということでちょっとした細部に気を使ってます。今回で言えばブラックリストです。4人目の被害者である「スズキ テツヤ」のブラックリストがちらほら登場していますがこの1ページはしっかり説明を書いています。本編には出てきませんがこちらです。

 金子やら不良グループは作品には一切関係ありませんしかし「スズキ テツヤ」という人物はこのような人間なのです。このように物語の細部を考えて制作していくことが私のこだわり。というこぼれ話でした。


④おわりに

 第2回と比べるとボリューム不足になってますが、おそらくこの先はもっとボリュームが減る予感…!

 勉強と同じで前に習ったことを活かすつもりでやっているので少しづつ指摘されることも少なくなってきています。書くことが無い なんてことはなりませんが今後書いている量が減っていたら「あ、すずき野くん成長したんだなぁ」と思ってください。


 その分 マンガが面白くなってるか分らないけどな!!


すずき野

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