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第7回 私のHow to おもしろい    ~第6話 母親~


 マンガにおける「おもしろい」とはなにか?マンガ制作を通して学んだマンガを面白くする方法を考えていきましょう!

 このレポートは『雨の犯行 6話 母親』に関する制作レポートです。レポートを読む前に投稿した作品に目を通していただくと、より今回のレポートが分りやすくなると思います。

~第6話 母親 目次~

①モノローグ 絵と文字

②動き・構図 壁を破って

③展開 緩急への潤滑油

④おわりに


①モノローグ 絵と文字

 漫画制作で大切なことの一つに「ストーリーはキャラクターで動かしていく」というものがあります。『6話 母親』では心情を表わすモノローグが多く、ネーム第1校のディスカッションではモノローグの多さを指摘されました。しかしプロットの時点でこの話は母親の心情を軸にした話にしようと思っていたので、残すものは残しつつ削れるものを削って今の完成形に持っていきました。

 主にモノローグで削ったのは絵でニュアンスがわかるところで、今回はそこを見ていきます。

左2コマのモノローグが削られています。

 キャラの動きで、彼女が動揺しながらもノックをするというのがわかります。行動とモノローグが被っているのでこのモノローグはなくてもよい、むしろ絵で見せていく漫画には不必要なものでした。


 この見開きページでは右ページのモノローグを左右に分けました。ネームでは左ページに大きな空きがあり、そのページは時間が流れを表す1つの区切りのコマとしていました。しかし右のページは「3話少年③」と繋がりがある重要なシーンだったので心情をしっかり絵で見せることを最優先にし、時間経過のコマにモノローグを移動させました。

 

 あとから比べてみると明らかに不必要なモノローグだとわかるのですが、制作に夢中になっていると、気づかずキャラの動きにかぶせがちになってしまいます。しかし読み返す際に意識することで気づける違和感でもあるので、今後気を付けていきたいところです。


②動き・構図 壁を破って

 画面の構図というのは漫画を魅せるための手段の1つです。「6話 母親」ではより魅せるために「同じことをしているが構図をかえた場面」があるので紹介したいと思います。

 どちらもやっていることは「少年の後ろからポケットを探ろうとする。」ですが、構図が全く違います。(モノローグも違いますが変更理由は先程『①モノローグ 絵と文字』書いたことと被るので割愛します。)

 ネームの構図にはある特徴があります。

それは「単調」です。起こった出来事を並べただけであり、コマの形も四角で場面の高揚がありません。新しく構図を考える際はこの場面での母親の高揚を表現するため実際に自分で演じてみてどうすれば画面映えするか考え、その結果原稿のようになりました。

 ここで特に意識したのはぶち抜きというコマから飛び出る描写です。ぶち抜きは読者に魅せたいものを強調させたり視線誘導をする効果があり、今回の構図変更では母親をぶち抜きにして、場面での高揚を与えました。


③展開 緩急への潤滑油

 「6話 母親」は母親の心情を柱において制作することと「母親視点を描きつつもあっさりと読んでもらいたい。」という狙いがあったのですが、そこを狙いすぎたのか初めのネームは母親の心情に変化のないものになってしまいした。

 このページはネームと大きく変更したページです。前のネームではただ少年を疑う母親の様子を描いていたのですが、そのせいでこの話は後半まで母親が一貫して少年を疑い続けるというキャラの心情変化がない漫画になってしまっいました。なのでこのページでは少しの安堵を描き、それを緩急の「」にして次ページへ繋げていきました。


④おわりに

 「6話 母親」からのネームでは私に謎の自信がついてきており、自信満々でディスカッションに回してゼミの皆に直しをもらうという展開が続いていきます。なので今回のレポートは自分の工夫より皆からもらった意見を応用したものになりました。

 意見の中には前にも言われたことを再び言われることもあり。このレポートをしっかり反芻しなければと反省しました。

 せっかく作っているレポートを利用しない手はない。ということでまだまだ折り返し頑張ります! 


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