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第4回 私のHow to おもしろい     ~第3話 少年③~

 マンガにおける「おもしろい」とはなにか?マンガ制作を通して学んだマンガを面白くする方法を考えていきましょう!

 このレポートは『雨の犯行 3話 少年③』に関する制作レポートです。レポートを読む前に投稿した作品に目を通していただくとより今回のレポートがより分りやすくなると思います。


~第3話 少年③ 目次~

①演出 作者全役

②プロット 私、気になります

③連載 連載だからできること

④仕上げ 神は細部に宿る2(私のこだわり)

⑤おわりに


①演出 作者全役

 映画を製作する際、監督であったり俳優であったりカメラマンであったりと大勢の人が協力して一つの作品に仕上げていきます。それに対してマンガ制作はストーリーから画面構成まで作者一人でこなします。作者は監督でありながら俳優や演出もこなしているのです。

 私の場合、卒制という名目でゼミでのディスカッションをしてもらい、皆から意見をもらうことができています。『雨の犯行 3話』のネームディスカッションでは主に構図(カメラワーク)の点で意見を多くいただきました。なので①では改善前と後での構図について考えていきましょう。

始めに冒頭ページ(今回はネーム1校と完成原稿を比べます)

起きている出来事には変わりはありません。しかしカメラワークが大きく違います

 1校では主人公の様子がよく見える構図になっています。しかし原稿では後ろ姿になっています。これは主人公が後ろから話しかけるという場面なので後ろ姿に変更になりました。

 1校のコマ割りも意図があります。1校では場所をしっかりと提示することに重点を置いて描かれています。2コマ目がそうです。この場所が玄関であると大ゴマを使って描かれています。逆にそこに気を使い過ぎてコマ割りが単調になっているのが丸わかりですね。

 映画でもマンガでもいえることですが4H(いつ・どこで・誰が・何を)は始めに読者に認識してもらう必要があります。そこに意識して他のマンガを読んでみるとしっかり4Hが描かれているのが分るでしょう。


続いて6ページ(ネームは2校目です)

 少女が刺されるシーンです。このシーンは読者に衝撃を与えたいシーンであり、2校目では右下に大きなコマを使って刺した場面描きました。しかし見せたいシーンが決まっていてもその前後にセリフや動きが多くインパクトが薄くなってしまいました。

 このページで見せたいのは何か、改めて考えてみると「主人公が刺す」という行動より「少女がさされた」という事実をみせたいことに気づきました。なので思い切って刺さった場面をカットし「刺された」という結果を描くことにし。その結果「刺されたら唖然とする」という少女の目線に立ち、おのずとセリフも変わっていき原稿のようになりました。


 「このページでは何を魅せたいのか」そして「魅せたいものを効果的に観せるにはどうしたらよいのか」これを考えて制作するとマンガはもっと面白くなると思います。


②プロット 私、気になります

 「私は私の作品を客観視することができない」創作をしたことがある人ならこの気持ちが分かると思います。

 私は自分が制作した作品で「ここはおかしくないのかな?」と思うことが多いです。1番気になるのは「場面転換」約15ページで毎回制作してますが場面転換があると、その話数の中での区切りができてしまい読者の手が止まってしまわないのか不安になります。

 3話での場面転換は 玄関・自動販売機前・犯行現場 の3回、どの場面も必要ですがそこで読者の手が止まらないか気が気ではありません。なのでディスカッションの際も皆が読んでるときはその指摘がないかビクビクし言われなかったら「場面転換おおくない!?」と自ら尋ねます。

 結局は思い過ごしのことが多いですが、自分が作ったからこそ考え過ぎてしまうのはしょうがないことであり。満足してしまうよりはよいかなと勝手に思ったすずき野でした。


③連載 連載だからできること

 『雨の犯行』は連載作品です。なので前の話を読んでから今回の話を読むという事もできます。前後があるからこそ、仕掛けを作っていきたいと私は思っています。

 3話ではとあるページに仕掛けを組み込みました。そのページはこちら

 少女と少年の立場が入れ替わる場面です。この場面での耳打ち、どこかでみたことありませんか?


 そう 2話の耳打ちシーンです。同じ動作をしながらも感情は違っていて人物の位置も反対にしています。今回は仕掛けにしては大胆ですが、このように読んでいて読者が「あ!」と気づいてくれるような仕掛けをこれからも組み込んでいきたいです。



④仕上げ 神は細部に宿る2(私のこだわり)

これはシリーズ化します(宣言)

 今回はブラックリストから武田 正児(たけだ せいじ)のページをお見せしたいと思います。

 武田先生はバレー部の顧問です。熱血指導が売りで生徒に手を挙げてしまうのも彼なりの愛のムチなのでしょう。水曜はバレー部の夜間練習があり、夜まで熱血指導し、流れた汗を銭湯で落とすのです。

 この文章は書き手である少女が少しオーバーに書いてあります。その理由はまだ書けませんが今後の話を読んでいけばその理由が分かると思います。

 本編ではあまり見えないブラックリストの内容ですが、ページ一枚分でも考えれば楽しいモノです。


⑤おわりに

 少年編はこれでひとまず終わりになります。

この原稿をやっていたのが夏休み前、なんだか懐かしいです。

主人公も変わるので一つの区切りをつけるため、次の少女編は2週間後に更新の予定です…



なんてな!!

一週空く理由は原稿のストックが追いついてしまうからだよ!!


次回からは少女編 彼女が何を考え 何をしてきたのか…

Coming Soon  です。


すずき野



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