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20240223_再録・黒石寺蘇民祭初参戦記【1】雪景色に恐怖(2009.2.1〜2)

【はじめに】
 当記事は、私が当時のmixiに掲載した、2009年の黒石寺蘇民祭初参加レポートの再録になります。
 また当記事では、2024年現在では差別的で不適切とされる語句や表現が随所に含まれます。
 しかし、この記事を完成させるには、2009年当時の蘇民祭にまつわる(かつての私自身も含む)世間の好奇の視線を漏らさず伝えることが、どうしても不可欠でした。
 よって今回の再録でも、以上の事情を考慮し、現在では不適切な各表現もそのまま掲載いたしました。結果として性的マイノリティの方々の尊厳に抵触する内容になっていることを、ここで前もってお詫びいたします。
 現在の私は各SNSで発言する際、性的マイノリティの方々の尊厳に配慮し、倫理観のアップデートを日々怠らぬよう努めています。2009年当時の執筆で用いた不適切な各表現を、現在以降はけっして選択しないことを、この場で約束いたします。
 以上の事情をご勘案いただきつつ、本編にお付き合いくださりますと幸いです。

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 土曜夜の異ろモノフェスティバルから帰宅後、
残っていた原稿仕事をやっつける……つもりが、祭りが迫った高揚感からか、まったく集中できない!!
 そう、僕が向かおうとしている祭りとは、蘇民祭。
 誰もがご存じの、あの「胸毛ポスターの裸祭り」である。

蘇民祭(そみんさい)は、岩手県を中心に日本各地に伝わる裸祭りである。1000年以上の歴史を持つと言われる。岩手県内では毎年1月から3月にかけて複数の蘇民祭が行われ、岩手の蘇民祭の名称で国の選択無形民俗文化財として選択されている。その中で最も著名なものは日本三大奇祭ないし日本三大裸祭りの一つに数えられることもある奥州市水沢区の黒石寺蘇民祭(こくせきじそみんさい)である。
(Wikipedia『蘇民祭』より)

 ウン、スンと唸り続けて朝9時にやっとこさ脱稿。結局ほぼ徹夜で、厳冬の岩手に向かうことに。

 そもそもなぜ僕が、蘇民祭に行こうと思ったのか。

 自分自身の殻を破りたかったから。
 ネタ作りにもってこいだと思ったから。
 誰もやらないことをあえてやりたかったから。
 日頃一部で評判の「ホモと勘違いされキャラ」を補完するのにふさわしいイベントだと思ったから。

 全部正解かもしれないし、全部間違いかもしれない。
 とにかく、昨年の蘇民祭のニュース画像や映像を見て、
「来年こそ俺は、この祭りに出なくてはいけない!」
という使命感に駆られたことだけは確かだ。

 行きの新幹線では、案の定泥のように眠っていたが、 仙台を過ぎたあたりでふと目が覚める。
 窓の外は、白い雪の冠をうっすらと被った田園地帯。 一面の雪景色に、
「雪降ってるね。こん中裸で水被るんだよね。は、は、は……」
と、口元から歪んだ笑みがこみ上げてきてしまう。

 夕方6時、一ノ関から東北本線に乗り換え、水沢駅に到着。
 待ち合わせ場所のDEEDEE'S CAFEまで おっかなびっくりギクシャクと歩く。
 何もなければ5分程度で到着する距離なんだろうけど、関東人には不慣れな雪のせいで、倍の10分かかってしまう。
 それにしても、よくもまあ、かなりの積雪だよな。

 DEEDEE'S到着後、マイミク藤村さん&マスター& お店常連組の皆さんと合流。
 挨拶のあと二言三言だけですぐに打ち解けられて、 蘇民祭に臨む前のガチガチに凝り固まった不安が少~しだけ和らぐ。

 しかし、すでに日の落ちた岩手の寒空は、やっぱり寒い!
 というより空気が冷たい! 痛い!
 もうこの時点で後悔で一杯である。
 駅からお店に向かう途中、路面の雪がサクサクと新雪気味だったのが妙に気になっていたが、話によると、前の晩の一夜だけでここまで積もったとか。
 地元には「蘇民祭が近づくと、必ず大雪が降る」という定説があるらしいけど、ここまで盛大に降らなくても…。

 DEEDEE'S常連のいじみさんの車に相乗りで、上り坂をゆったりゆったりと進み続け、妙見山黒石寺へ。
 前方の窓を見やると、真っ暗闇の中をヘッドライトが白く照らす路面の上で、粉雪がホコリのように舞い踊る、縮み上がるような極寒景色。
 一度は和らいだ蘇民祭への恐怖感が、ここでもう一度ぶり返す。

【つづく】

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