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脳が大きいほど賢い?〜科学は錯誤から生まれる〜


こんにちは。

皆さんは、どれほどの科学の知識を持っていますか?

え?理系じゃないから全然詳しくない?

そんなことはありません。

携帯電話は電波が伝わって遠くの人と話せる、地震は地下のプレートがずれるから起きる、宇宙は真空である、、、

これらは誰でも知っている当たり前のことです。他にも探せばいくらでもあるでしょう。

あなたは直接見て確認していないにも関わらず、思っているより多くの正しい科学知識を持っています。

それは一体なぜでしょうか?

それは、これまでの偉い人たちが頑張ってくれたおかげだからです。

しかし、それらの偉い人たち、科学者達はこれまでの歴史で数々の過ちを犯してきました。

私たちは、意外にもその事実を知りません。なぜなら、教科書に乗っていることは、多くの科学者の議論と様々な実験が一致した美しい方程式のもとに形作られた結果だからです。

その過程にある、全く根拠のない理論や間違った科学が、長い間たくさんの人々に信じられてきた時期も当然あるわけで、間違った科学が多くの人を苦しめたことがあるのも事実です。

紀元前六百年から今にまで及ぶ科学の歴史は、偉い人たちが頑張ったと一言で言い捨ててしまうには、あまりにも長い年月です。

最古の科学者(哲学者)は、ギリシャに存在したとされるタレスで、空や星について一つの理論を作り上げた最初の人であると言われています。タレスによれば、宇宙は水の中に浮かんでいる。太陽系は広大無辺な水の真ん中に浮いた半球形の泡であり、中には空気がつまっている。平らな円盤の地球は泡の底の方で水の上に浮いている。天球の彼方、星が固定された仕切り壁のその向こうではまた無限に液体が詰まっている。と表現しました。

うーん、よくわからない。(笑)

でも、なんとなく今の理論とは違う気がしますよね。


一番有名な過ちは、アリストテレスの天動説ではないでしょうか。

アリストテレスは当時圧倒的な才能で、天文学、倫理学、数学、物理学、気象学、地質学、生物学などあらゆる知識を持っている天才でした。しかし、その圧倒的すぎる才能ゆえに、誤った理論が十五世紀に渡って君臨し続けることになっていまいす。

科学は、こうした錯誤の中から生まれるものなのです。


さて、題目の内容に移りましょう。

脳が大きければ大きいほど賢い?

この質問に対して、あなたはなんと答えますか?

自信を持って、NOと答えましょう。


十九世紀、科学は人種主義的な時代へと移ろっていきます。

当時、科学は、複数の人種が存在し、それぞれの人種は異なった適性を持つと信じられていました。他の全ての人種よりも白人種の方が、女性よりも男性の方が、貧しい階級よりも裕福なエリートの方が自然的・生物学的・先天的優越性を持っているー

こんなふうに考えていたわけです。

その結果、人類学者や心理学者、医者、社会学者がそれらの妄想による虚偽の数字、でっち上げの確実性を重ね、驚くべき論理を作り上げてしまいました。

ねじ曲がった科学とはいえど、聡明な科学者と数字が裏付けるデータの威力は凄まじいものです。人種差別、男女差別が最近まで根強く近代に残っていたことを皆さんも覚えていると思います。

科学は信じることがたやすく、それゆえに人に考えさせることを放棄させます。

人を賢くする科学は、時に人を愚か者にさせるのです。


 脳の大きさの話も、そのうちの一つです。

当時、脳の大きさが知的優位性を持っていると信じられていた時代、

脳神経学のパイオニアであり、フランス人類学学院創始者のブロガは、エスキモーやラポン人、マレー人のような大きな脳を持った民族に対し、大きな脳が必ずしも知性の印ではないと主張します。

しかしその一方で、脳が小さいことは確実に愚鈍さを示すと考え続けていました。

また、ドイツ人がフランス人より100g程度脳が大きいといった研究結果が報告された際には、ドイツ人の肥満を持ち出し、脳の大きさと体の大きさが比例するという理論をあたかも正しいような数字を持ち出して展開したのです。

これは明らかにおかしいですよね。だって、それなら女性は体重に比例して脳は小さくなるはずだから、男女の優位性も説明できません。

優秀な脳神経学者が、フランス人が人類で優れた人種であることに固執するあまり、簡単な矛盾にも気づかなくなってしまったのです。


どうしようもなく馬鹿げた対決も行われました。

ジョン・ウェズリー・パウエルとW・J・マックギーという二人のアメリカ民族学者が、それぞれが自分の脳の方が大きいと主張したのです。激しい論争が行われましたが、二人の死後、脳の重量を測定したところ、

結果は全くの引き分けでした。


これらの科学の歴史は、愚かではありますが、科学を発展させたものそのものとも言えます。

イギリスの数学者アランはこう言いました。

「誤謬は全ての知識の第一段階である。」


皆さん、誰かがいっていること、本に書かれていること、目で見ていること、全て鵜呑みにしていませんか?

私もよくやってしまいます。

自分への戒め、そして、皆さんの中に少しでも科学の意識が芽生えることを願って、終わりにしたいと思います。

ではまた。



参考:ジャン=ピエール・ランタン著 われ思う、故に、われ間違う


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