自分にとっての『オリンピック』
先日職場の送別会に参加した。締めに送別される人たちの挨拶があったのだが、全員の挨拶が終わった後に1人の男性が手を挙げた。
「みなさんにお知らせしたいことがあります!GWにお休みをいただきます。」
職場はサービス業なので世間の休日は我々の繁忙期だ。今年のGWは10連休なので超忙しいに決まっており、最近はみんなピリピリしながら準備に追われている。そんな中メンバーが1人欠けることは、残りのメンバーにかなりの負担がかかることは容易に想像がつくだろう。
「4月の終わりにトレイルランニング(山の中を走るスポーツ)の日本で1番大きな大会があります。ずっと目標に練習してきた、自分にとってオリンピックやワールドカップのような大会なんです。みなさんには迷惑を掛けてしまいますが、どうしても走りたいんです!」
50歳手前のおっさんのわがままなスピーチに胸が熱くなった。自分もトレイルランニングをするのでこの大会のことは知っている。『ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)』という富士山の周り約170kmを走る途方もないレースだ。東京マラソンのように抽選となるのはもちろんだが、エントリーするのにも過去複数の大会で完走していることが条件となっている。彼の言う通りエントリー資格を得るためにずっと努力を重ねてきたことは疑う余地もない。
自分が50歳になった時のことなど想像もつかない。いま何不自由なく動くこの身体はその時も動くのか?仕事は?家族は?そしてなにより何を目標に生きているのか?もしかすると自分が50歳の時には何の目標もなく生きているシラけたおっさんになっているのかも知れない。
しかし彼は違う。自分がスポーツマンとして目指す目標を定めそれに向かって努力してきた。
”おっさんカッコいいな、、”
目標としてきた大会に出られる喜びと緊張と、周囲への後ろめたさが入り混じったスピーチを聞いて素直にそう思った。
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