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リボルビングドアの不在と政策起業家

先日、岩手県立大学の役重 眞喜子教授とゼミ生の皆さんと意見交換をしていて、その時に出た話を今日は書きたいと思います。

役重先生は自治体職員のご経験もされて、その上でアカデミアの道に進まれた方でしたのでアメリカと日本での政策起業家の発展の違いがどこから生まれるのかについて重要な示唆をいただきました。

政策起業家研究が海外に比べて30年近く遅れている日本、
そもそもなぜ政策起業家が日本で登場せず、確立されてきていないのかについてのヒントはリボルビングドアの不在にあるのではないかということです。

リボルビングドアとは、「回転扉」を意味します。
つまり、行政の人が民間にキャリアチェンジし、民間の人が大学などにキャリアチェンジしたり行政にキャリアチェンジしたりということです。
もっと言えば、民間の中でもNPOなどもありますので、いろんなアクターを横断していくことが求められるのではないかと。

こちらは官民協働が進まない構造についての記事もご参照ください。

アメリカの場合だと、このリボルビングドアが非常に良く機能しているとされています。行政から民間へ、民間から非営利へとキャリアチェンジすることでキャリアアップできる仕組みにもなっています。

そしてこれがどういうことかというと、
「政策に詳しい民間人」「民間の事業活動に詳しい行政職員」「非営利セクターの活動を十分に理解している民間、行政職員」がたくさんいるということです。
このような人たちが「政策起業家」として活躍してきたのではないかと思うのです。

翻って日本はどうでしょうか?
戦後日本における終身雇用の仕組み(その当時はよかった)などによって、民間の人はずっと民間で働くことが多いのではないでしょうか。

また行政職員は安定している、解雇がないということで一度行政職員になったらそのまま行政職員で居続ける人が多いのではないでしょうか?

民間企業から非営利セクターにキャリアチェンジすることがキャリアアップと捉えられる社会的状況でしょうか?
賃金形態などを考えてもなかなか非営利セクターにはキャリアチェンジする人は多くはないのが現状ではないでしょうか?
(これはこれで非常に問題で日本のNPO経営者はアメリカの経営者の半分程度の報酬しかもらっていないという調査結果が出てきています)

これがセクターの分断を生み出し、言語が通じなくなり、政策と事業と社会活動が乖離していってしまっている構造なのではないかと思います。

そして政策起業家という存在が社会の中で確立してこなかったのではないかと思います。

今、官民協働やリボルビングドアの必要性は各方面で言われておりますが、その流れに沿って政策起業家も育成、台頭してくると良いと思います。

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これまでの政策起業家に関する記事一覧はこちらになります。

また、政策起業家の行動原理など、海外の30年間の研究蓄積がまとまっている書籍の翻訳本の出版を行います。30年分の差を、この1冊で埋められるとは思っていませんが、少しでも日本で早く「政策起業」が拡がればという思いでいます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
日本では「政策起業家」に関する研究が非常に遅れています。
研究を応援いただける場合には、
「サポート」していただけますと大変嬉しく思います。
サポート資金は全額、「博士後期課程」への進学資金にさせていただき、
更なる政策起業家研究に使わせていただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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