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金融の裏側と僕たちの挑戦

こんにちは、シンプルフォームの中野です。半年ほど前に初めてnoteを投稿したのですが、その際に未来の自分に申し送りをしていたので、改めて書きたいと思います。

内容は、「僕たちが挑んでいる領域の面白さや難しさ、この領域を選択している理由など」です。
ですので、仰々しい題名をつけてますが笑、「僕たちの挑戦」について少し書き記しておければと思います。

ちなみに、この半年も色々なことがありました(創業4年目、当たり前ですが)。

事業は、有難いことにこれまで以上に多くの期待をいただき、次の段階へ歩を進めようとしております。私自身も引き続き、より事業・会社を成長させられるように日々生きております。

シンプルフォームは、主に大手の金融プレイヤーの皆さまをご支援している会社です。
本日は、より多くの金融の皆さんにお届けできるようになった今、過去の申し送りに答えながら、改めて、金融の表立って出てこない部分(特に私が金融機関の内部にいたのによく知らなかった部分)の話を綴ってみたいと思います。


外に出て初めて知る、金融の裏側

私は日本政策投資銀行という、政府系の金融機関に新卒で入社しました。当時を振り返ると、金融という機能を通じて、社会に貢献したい!と、漠然と思っていたように思います。正直、金融というよりは、公的な領域に従事することに関心とやりがいがあった気がします。

私が述べるまでもなく、「金融」は、企業や経済の成長に欠かせないものであり、よく言われる様に本当に人類最大の発明の一つだと思います。

「お金を社会にとってよい方向に巡らせる」

それを実現するために能力を結集し、複雑な規制や仕組みを受け入れ、滑らかに提供する、それが金融機関です。

金融機関の内部で働いていた際、手法としての金融はよく勉強したつもりでした。しかし、金融機関自体が向き合っている課題だったり、法的・人的・システム的な制約などは外に出て初めて学んだようなものです。
外に出て、何も知らなかったのだとショックを受けたのを覚えています。

一見堅苦しそうな金融、一方で派手にも描かれることのある金融ですが、その裏側にあり、あまり陽の目にあたることのない、審査業務・コンプラ対応・システム構造などは金融機関の内部にいても中々知ることができません。

私がいわゆるフロント部門にしかいたことがなく、企画やコーポレートの部門にいなかったからかもしれませんが、私のような方は少なくないと思います。

ただなんとなく、「この事務作業に意味あるのか…?」「貴重な(?)銀行員の時間が…」「もっとこうしたらいいのに…」と、若輩の私は当時、偉そうに文句ばかり垂れていた気がします。

裏側にある事情を深く理解せずに、です。何も知らなかったのだなと、反省しています。

今や外から金融機関の皆さんをご支援することに従事していますが、これらを深く理解せずに、きちんとご貢献できる訳がありません。

同時に、自分が関与していた産業に、外からだからこそ貢献できる、そしてその機会がある現在の環境や会社の状況は、やはり今の私にとっても、人生の一部を捧げたいと思えるほど、すごく魅力的なものでもあります。


金融と言っても色々、課題も様々

社会のために「正しく」お金を流そうとすると、相手のことをよく知る必要があります。

私は、元銀行員でありながら、会社に対する融資の経験はあまりなく、特定のプロジェクトに対する融資(一部の方には釈迦に説法ですが、銀行用語でいうところの「返済原資」の依拠する先が、会社に対する融資、とは違う融資の形態で、プロジェクト・ファイナンスと呼ばれます)や、実際に企業の株式を取得するような投資業務の経験しかありません。

もちろん返済原資がプロジェクトであれ会社自体であれ、相手や事業を知る必要があることに変わりないのですが、そもそもそこに存在することが明白な発電所に対する融資や、何度も実際に会って審査やデューデリジェンスを実施する投資の経験しかないため、「相手を知る」ということが何を指すのか、正直よく分かっていませんでした。

冗談ではなく、なんで「反社チェック」ってやらねばならないのだろう、くらいのレベルです。

しかし実際には、昨日生まれた会社から口座開設の申込がある銀行、インターネットには情報がない地方の小売店に非現金決済を普及したいカード会社、など金融の世界にはいろいろなプレイヤーがいました。

彼らがいる環境は、私がかつて身を置いていた環境とは大きく事情が異なります。

相手の情報が得ようにも得られない、そもそもオンラインを前提としており、その上スピーディーに審査をしなければならない…といったような課題を抱えていたのです。

投資であれ、融資であれ、口座開設であれ、カード決済であれ、全ては世の中のお金の巡りに影響を与えるものです。

全ての領域、段階、で誤った方向に流してしまうと、それは社会をよくする方向に作用しない、かえって社会を悪くする方向に作用してしまいます。

だからこそ、金融機関には、厳格な規制が敷かれ、「相手を知る」ことをはじめとした、多くの遵守しなければならないことが定められています。


僕たちが本質的に向き合うもの

そこに僕たちとしてお応えするのはもちろんなのですが、本当に社会に貢献をしていくためには、現行の法規制への対応や、単純な業務改善の提案だけでは不十分です。

法律や規制がどうであれ、やはり正しくお金を流すためには、「規制がこうだから」ではなく、本質的な意味において相手を知る、「知り続ける」、「より深く知る」ことが求められます(そして、今後一層求められていくと思います)。

しかし、そういった宿命を負ったプレイヤーには、この現代においても、情報が不足しているのです。
もっと言えば、一部は世の中に既に存在している情報なのに、それを知りようにもない状況にあるのです。

例えば…
既に取引のある企業や個人が、悪意を持って金融サービスを利用しようとしてないか。これを調べるのに年1回、という時間軸は本当に十分なのか。
顧客から申告された名前をそのままデータベースに照合するだけで本当に十分なのか。

私自身、答えは仮説の域を出ませんが、少なくとも僕たちは、「常に網羅的に」「これまでにない深さ」で相手のことを知ることができるプロダクトを開発しようとしています。

現状の法規制では、必ずしも対応しなくても良いことまで、金融に携わる人(つまりは全ての人になるのですが)のために必要なことはやる、そうすることで、本当の意味で社会課題の解決に繋がる、そう考えています。

それを実現するためのプロダクトはとんでもないものだと思いますが、本気でそれを作っていきたいと思っています。


シンプルフォームの3つの顔

これらを踏まえて、まとめとして(まとめになればいいのですが…)、僕たちシンプルフォームの3つの顔をご紹介できればと思います。
1つ目は、まだこの世にない「新たな情報技術基盤」をつくるスタートアップであるという顔。
2つ目は、正しさを追い求め、「社会の公器」になろうとするという顔。
3つ目は、金融の負を解消し、本来の金融としての「シンプルな金融」を取り戻す集団であるという顔。
です。

1. 「新たな情報技術基盤」をつくるスタートアップ

本当に一からつくっています。
金融機関に直接使っていただけるアプリケーションや、システム・業務へシームレスに繋ぎ込むためのAPIなどは、もちろん、極めて重要です。
しかし僕たちはそれだけではなく、実際にそれらを通じてお届けする情報・データ、それを実現するための技術をプロダクトの基盤として開発しています。
全てのアプリケーションとこれらすべての情報技術基盤、これらの集積が僕たちのプロダクトです。
ないなら探して一からデータを集める、そのデータを掛け合わせて新たなデータを生み出す…
それらを実現するために技術を駆使する、人間では導き出せない答えを見つける…
新たな情報技術基盤をつくる戦いはまだまだ続きます。終わることもありません。進化し続けます。

2. 正しさを追い求める「社会の公器」

僕たちが集め、そして発展させていくデータ・技術は、社会のために使われます。
正確には、強い意思を持って、本当に社会のためになるように開発しています。
具体的には、金融機能の不正利用、金融機関を欺いた資金洗浄などを防ぎ、抑止することに貢献していくことになります。
僕たちのデータや技術が強くなればなるほど、またより多くの皆さんに使っていただける様になればなるほど、より大きな貢献をすることができます。
それをより広く、より深く届けるためのBizDevチームであり、届ける対象としてのデータやすべての基盤それ自体を強くする使命を負う開発・調査チームです。
私自身、シンプルフォームは、とてもシンプルな事業・組織構造だと思っています。「(ないのであれば一から)作って、(最も複雑な領域に)届ける」。これを誰よりも死ぬ気でやるだけです。
いずれにしてもそうして、単純な業務改善に留まらない、それ以上の価値を社会に対して届けていきたいと思います。

3. 「シンプルな金融」を取り戻す集団

そうはいっても、これまで述べたような事情にある金融機関には、重い社会的責任に基づく、重い業務がのしかかっているのも事実です。
これら業務の負荷を、その品質を維持したまま(むしろ高度なものにした上で)、軽減できれば、とてつもないインパクトになります。
これはこれでものすごく大きな話なのですが、そうして業務をシンプルに、滑らかにしていくことは、金融自体をシンプルにしていくことに繋がっていきます。
裏側にある審査や規制対応、などといった金融特有の事情がシンプルになれば、UIやUXに留まらない、本当の意味でのシンプルな金融――「商いを加速するための金融」「悪しき人を排除し、正しき人にお金が流れること」を実現することができます。
やたらシンプルと言ってしまいましたが、これらを実現するために金融機関を中心にご支援し、シンプルで本質的な金融を取り戻すために挑戦していく、それがシンプルフォームの最後の顔です。


さいごに

僕たちは、幸運なことに、多くの期待をいただきながらも、成長の途上にいます。
常に人が足りない、これは事業としては、とても有り難い状況でもあります。
まだ出会えていない、僕たちの将来の同志とお会いできることを、楽しみにしています。

いよいよ、情報を発信し始めていきたいと思います。ご関心がある方は、是非ご覧ください!

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中野

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